小さなわたしはやっぱり一人で泣いていて
小さく小さく縮こまっていた。


怖いよ
寂しいよ

小さな声で、かすれた声で
何度も何度もくり返す。


わたしは彼女を抱きしめて一緒に泣く。

泣き止むまで一緒に。


20分ほど経つと
彼女の姿が消えて
わたしの辛い気持ちもスーッと姿を消す。



恐らく、わたしは
母に虐待をされていたのだろう。

しかし母は、
わたしよりももっともっと強烈な虐待を受けて育ち
見捨てられ、
15歳で天涯孤独になった。

そんな人を責めるなんて
しちゃいけないことだった。

母が自分のことを見つめるなんて
怖くて怖くて、できるわけないじゃない。

わたしでさえ、こんなにも苦しいのに。

こんなに苦しいのに。

向き合える力のあるわたしでさえ。



わたしの母はダイヤモンド❖だ。

酷い過去を生き抜いてきた。
結婚してからも姑や叔母にも攻撃され
父からも暴力、浮気。

そんな酷い中でも生き抜いてきたんだ。

そのしわ寄せが子供の私たちに来て当たり前だよ。


わたしも辛かったけど
今もまだ傷は痛むけど
わたしの傷は私が治す。

原因なんて今はもうどーでもいい。
母は精一杯生きたんだ。

今だって精一杯生きてる。

わたしは結果と向き合い、自分で自分を癒す。
昔は、母を腹のそこから恨んだが
もうそれも必要ないことだと理解できた。


今は母を腹の底から尊敬している。

母の仕事のセンスや
お金を生み出すエネルギーや
人を見る目があることや
お客さまを大切にするおもてなしの心や
笑いのツボや
味覚の良さや
まだ少女であることも。

全てあなたの魅力です。

わたしには叶わない。


わたしはあなたの娘でよかったよ。

辛かったし
これからもまだまだ傷が出てきて
一杯悲しいかもしれない。

でももう大丈夫かもしれない。

でもあなたを恨むことはもうない。

わたしはいろんな経験をしたくてここへ来たんだ。


お母さん
ありがとう。