2月11日、僕は高尾の書店で本を5冊、立ち読みしました。それは外山滋比古『新版 思考の整理学』(ちくま文庫・単行本)、(漫画家)ハルノ宵子(吉本隆明の長女)『猫屋台日乗』(幻冬舎)・(漫画家)ハルノ宵子『隆明だもの』(晶文社)、ブレイク・スコット・ボール著(今井亮一訳) 「スヌーピーがいたアメリカ『ピーナッツ』で読み解く現代史」(慶應義塾大学出版会)、北原モコットナシ著・(漫画)田房永子『アイヌもやもや』(303BOOK)の5冊。それから今朝(2月13日の朝)、TBSテレビ「THE TIME.」で安住紳一郎氏のインタビューをご自宅で受けられたエッセイスト内田也哉子さんの『BLACK PAGE −−空っぽを満たす旅』(税込1,760円 文藝春秋 単行本)は読みたい本になりました。
今回は、この6冊の中から『新版 思考の整理学』に付いてお知らせします。旧版の『思考の整理学』は文庫本で読みましたが、この『新版 思考の整理学』の存在は昨日、初めて知りました。ちなみに『思考の整理学』から中学入試・高校入試・大学入試に多数出題されています。小中高生もご一読あれ!!
 ちなみに僕は10年以上前に、たまたま本屋さんで立ち読みした『月刊武道』という雑誌に外山滋比古氏(「高専柔道」で鍛えられたためか?)(2020年7月30日96歳没)が書かれたコラムが気になったので、その場でメモをとりました。それで、今でもはっきりとその文章を覚えています。そのコラムの中で外山氏は「私は長年に渡り『英語青年』の編集長を務めたが、私がその中で一番大変だったのが『編集後記を書くこと』だった。英語の文章ならば、すぐに書けるのに日本語で書く『編集後記の文章』がなかなか書けなかった。それから私は日本語で文章を書く訓練をするようになりました。」と述べられていました。『英語教育の専門家』である外山氏が、お年を召されてから思い立たれて、日本語の学習を改めて始められたという。それぐらい『母国語ですある日本語の学習は大切だ』ということを外山氏は強調されています。
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刊行から40年読み継がれて287万部
『新版 思考の整理学』(ちくま文庫 630円+税)(初版年月日2024年2月8日、発売予定日2024年2月13日)
(大きな活字の「単行本」あり!)
伝説の「東大特別講義−−新しい頭の使い方」(『思考の整理学』を読んだみなさんへ伝えたいこと)」を増補して、刊行から38年で初の改訂。
「アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには? 自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳した恰好の入門書。128刷・270万部突破の「知のバイブル」として読み継がれています。
ISBN:978-4-480-43912-3
『思考の整理学』特設サイトURL:https://www.chikumashobo.co.jp/special/shikounoseirigaku/
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「2009年の東京大学での特別講義」は、『思考の整理学』(ちくま文庫)が2008年の東大生協で一番売れたことを記念して2009年7月1日に東京大学駒場キャンパスで実施されたものです。100人を超える現役東大生に向け、90分間熱い講義が開かれました。
『思考の整理学』は、300冊以上の著書を持つ氏の代表作です。学術エッセイとして「自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書」で、1983年に「ちくまセミナー」の1冊として刊行し、その後、1986年に文庫化しました。文庫版は2007年までの21年間で16万部のロングセラーとなっていましたが、2007年に岩手県盛岡市のさわや書店で、当時店員だった松本大介氏が作った「もっと若いときに読んでいれば…」という書店店頭の促進用手書きポップをきっかけに再び注目を集め、2008年の東大生協本郷書籍部・京大生協の書籍販売ランキングで1位を獲得。“東大・京大で1番読まれた本”のフレーズが生まれ、2009年に累計発行部数が100万部を突破しました。
刊行から四半世紀後の大ヒットの舞台裏については、松本大介さんの著書
『本屋という「物語」を終わらせるわけにはいかない』(2018年刊)の中で詳しく綴られています。
https://www.chikumashobo.co.jp/special/sawayabooks/assets/data/tameshiyomi_03.pdf
40年間圧倒的な支持で読み継がれてきた「知のバイブル」を後世へとつないでいくためにどうするべきか。当時営業部に在籍し、ミリオンセラーのきっかけとなった松本さんのポップを見つけて全国に広めた窪拓哉が、現在は『思考の整理学』の編集担当として「外山さんの実際の声をもう一度聞きたい」と思いたち、15年前の特別講義以降、長らく使っていなかった営業部の資料を整理していたところこの「東大特別講義」の音声テープを見つけました。
見つかった「東大特別講義」の音声テープと参加した東大生の感想
音声を聞くと、受験という、知識の量や記憶力の戦いで見事勝ち抜いてきた東大生を前に、「知識の量と思考の力は反比例する」と断言して参加者を驚かせていたことが窺えます。
「知識をたくさん身につけていることが『頭がいい』ということだと思い込んできた。しかし知識を増やすばかりでは考える力は身につかないし、知識の記憶と再生については、とっくにコンピュータに負けている。(……)ただ、コンピュータにもまねできない『選択的忘却』の能力を高めることはできる。新しい知識を入れたら不要なものはどんどん忘れ、頭の中をきれいに整理していれば、その人の個性に基づいて新しい知識をこれに適応させたり、かつて頭に入れた情報の芽が自分の中から出てきて、新しい発見につながったりということが起きる」と述べ、「ただ忘れるのではなく、『うまく忘れる』ことが重要。そのためにはどのような方法があるか……」と、具体的な方法を講義されています。
「講義を受けた東大生との質疑応答」も白熱しており、「文科系の情報の蓄積、理科系の思考性を兼ね備えた総合的な人間は、専門家という寒々しい存在に対し、豊かで人間味があり、しかも新しいものを生み出す創造力のある存在となるだろう。ここにいる皆さんも、個人の生活の中で理性と知性の融合を試み、成功して大きな成果を得てほしい」と伝えています。
「若い方には、未来の日本をリードして、さらに世界をリードしていく力になってもらいたいという純粋な願望を持っている。その一端を『思考の整理学』の中に込めた。刊行から二十年以上たって、書いたときとは全く違う読者の方々にも届いていることがたいへんうれしい。そして、この本を見つけてくれた若い人たちが持っている力というものに、密かに敬意を表したい。これは新しい世代の人が、新しい感受性と思考力を持っている一つの現れだと考えている。皆さん方が世界的な規模で独創性と発信力を持ち、新しい文化をこしらえていく、そういう力をぜひ身につけてもらいたい」と語るその声は、今後、初めて外山さんの本を手にする未来の若い読者に遺された『贈る言葉』としても聞こえてきます。
「東大特別講義」を増補した『新版 思考の整理学』(ちくま文庫)は2024年2月に刊行予定です。
音声テープをみつけ、『新版 思考の整理学』(ちくま文庫)の編集担当を務める窪は「当時、営業担当としてこの講義のお手伝いをしていましたが、当時86歳の外山さんは質疑応答までの90分間の講義中一度も座られることなくずっと立ちっぱなしで熱弁を振るわれていました。会場の学生たちが圧倒されるような空気だったことが目の前にありありと蘇ってきました。『思考の整理学』の読者にぜひこの言葉と熱気を届けたい、そう思って、『東大特別講義』を新たに本に収録しようと思い立ちました。ご家族にも了承をいただき、この本のことを誰よりも理解する元さわや書店の松本大介さんにもご協力をいただいて、刊行から38年で初の改訂となる『新版 思考の整理学』(ちくま文庫)を刊行できる運びとなりました。当時の私たちが驚いたように、半世紀後の読者にも響き続けるものになることを目指して、現在編集作業を進めています」と話しています。
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『思考の整理学』のヒットのきっかけとなった「もっと若いときに読んでいれば…」という書店店頭POPの生みの親である、岩手県盛岡市のさわや書店元書店員の『松本大介さん』による外山さんのインタビュー記事「自分の頭で考え、自力で飛び回る『飛行機人間』になるには 『思考の整理学』外山滋比古さんインタビュー」(記事:筑摩書房)もご一読あれ!!
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