冬から春は街の木々も葉を落とし、花や緑(葉や茎[くき])が少なくなり、寂しい季節と思われがちですが、実は色鮮やかで寒さに強い冬の花があります。
僕は1月9日・10日11日の3日間、住んでいる町を廻るとともに隣り町にも足を運び、この冬の寒さに耐えて咲いている花々の写真を撮りました。今回は、この中で木に咲いている花々の写真をご紹介します。この写真が皆様の目の保養(美しいものや綺麗なものを見て楽しむこと、きれいなものを目で見て心をなぐさめ楽しむこと)になれば幸いです。ホテルや公園などで普段からフラワーアレンジメント(花を整えること、飾り付けること)が施(ほどこ)された花や緑は私たちの心を癒(いや)してくれますが、人知れず街に咲いている花々も人の心を癒やしてくれるはずです。
ちなみに「花にはなぜ色がつくのか」というと、「昆虫を惹(ひ)き付けて受粉に役立てるためだ」と考えられています。つまり、「植物が子孫を残すために花には色がついている」のです。次に「葉や茎がなぜ緑なのか」というと、「植物が光合成を行う際に葉緑体という色素が反応し、その反応によって葉や茎は緑色になっている」からです。「葉や茎が光合成を行って栄養補給をし、その補給した栄養で花に色をつけて虫を惹き付けて受粉させる、この一連の関係性が花と緑で成り立ち、植物として生きている」のです。
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ご覧あれ、冬の寒さに負けずに咲いている花々を!
《木(気)になる木々に咲く冬の花々6種》
(ロウバイ)(十月桜)(サザンカ)(寒椿)(バラ・冬薔薇[フユソウビ])(ヒイラギナンテン)
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《蝋梅(ロウバイ)の花2態》
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蝋梅(ロウバイ)=(中国原産の落葉低木)
蝋梅(ロウバイ)=(黄色く明るく光輝いている花)  
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《十月と冬桜》
春と秋に美しい花を咲かせる桜が『十月桜』です。 10月頃から咲き始めることが名前の由来です。 春でも秋でも気温が10℃前後であれば花を咲かせ続けるという面白い性質を持っています。花弁は白、または、うすいピンク色。 『十月桜』は、全体のつぼみの3分の1が 10月頃から咲き (開花ピークは11月)、 残りの3分の2は春に咲きます。 1年に2回、花を楽しめます。 春の花のほうが少し大きいようです。秋や冬に「季節はずれに桜が咲いてるな」と思われる時は、この『十月桜』だと言えます。 なお秋から冬にかけて咲く桜に『冬桜』があります。『十月桜』と『冬桜』は似ていますが、『十月桜』の「花びらはやや細め」で、「八重のもの」もあります。『冬桜』の「花びらは太め」で5枚です。両方が並んでいたら区別は難しいです。群馬県藤岡市鬼石(おにし)には 『冬桜』の名所があります。 なお『十月桜』も含めて、秋から冬にかけて咲く桜のことを総称して『冬桜』と 呼ぶこともあります。
《十月桜3態》
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十月桜の大きな木に咲く花々
十月桜の小ぶりな木に咲く花々
十月桜の花をズームアップしました  
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《サザンカ(山茶花)の花12態》
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サザンカの花その1(赤い花)
サザンカの花その2(赤い花)
サザンカの花その3(垣根[かきね]に咲く桃色の花)  
山茶花(サザンカ)の花が散った様子⇒このように「山茶花」は花が散る時に『花びら』が落ちます。 
「山茶花」と「椿」は同じ『ツバキ科』ですが、「椿」は花が散る時に『花首』から落ちます。     
サザンカの花その4(桃色の花)
サザンカの花その5(桃色の花)

サザンカの花その6(桃色の花)
サザンカの花その7(珍しい形と色の花)
サザンカの花その8(白い花)
サザンカの花その9(白い花)
サザンカの花その10(白い花)
サザンカの花その11(八重の白い大輪の花)    
サザンカの花その12(八重の白い大輪の花)
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《山茶花の花の絨毯(ジュウタン)》
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2021年11月24日(水)、山茶花の木の下の桃色の絨毯
八王子市寺田町の「子の沢公園」の奥に、ほとんど人に見られることもなく寂しそうに花を咲かせている5本の大きな山茶花の木があります。この山茶花の木の下に桃色の花びらが落ち敷いていて、とてもきれいでした。まさしく「山茶花の花の絨毯」です。ちなみに「椿の開花時期は12月から4月」ですが、「山茶花の開花時期は10月から12月」です。山茶花の方が椿よりも早く咲くのです。今(この1月)、咲いている花は山茶花だと言えます。椿の花は未(いま)だし[まだ早い]!
「ツバキ」は「春に花が咲く木」という意味から『椿』という「日本国産の漢字」(国字)が使われるようになったと考えられています。また、漢字表記の『山茶花』は、中国語でツバキ類一般を指す「山茶(サンチャ)」に由来し、『サザンカ』の名は『山茶花』の本来の読みである「サンサカ」が訛(なま)ったと思われます。もともとは「さんざか」と言いましたが、「音位転換」して、現在の読み『サザンカ』が定着したと言われています。なお『山茶花(サザンカ)』は「日本の固有種」ですが、人間によって意図的に改変または選択された「栽培種」の歴史も「花を観賞する」という歴史も、それほど長くはないようです。『椿』は8世紀に編纂(へんさん)された『万葉集』に記述が見られますが、『山茶花』の記録は室町~江戸時代初期まで現れません。これは「古来、サザンカはツバキと区別されていなかったためだ」と思われます。ちなみに『山茶花』の名が書誌に登場するのは室町時代の「一条兼良(いちじょうかねよし=1402-81)」の著と伝わる『尺素往来(せきそおうらい)』が初めてのことで、「それまでは『山茶花』と『椿』との明確な区別はなかった」と考えられます。また「栽培の歴史」も不明です。江戸時代の儒学者「貝原益軒(かいばらえっけん)」の著書『花譜(かふ)』(17世紀末)に初めて漢名の「茶梅(サバイ)」が登場します。『サザンカ』の漢名は「茶梅」であり、これ以降、主要な園芸書には「茶梅」が現れてきます。ただし、古い書物には「茶梅」の記述は見らません。『サザンカ(山茶花、茶梅、学名: Camellia sasanqua)』は「ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹」です。別名では、「オキナワサザンカ」とも呼ばれます。なお「山茶花」は、江戸時代中期から盛んに改良されるようになりました。1695年(元禄8年)に「江戸の園芸家・伊藤三之丞(3代目伊藤伊兵衛)」が著した『花壇地錦抄』や1710年の『増補地錦抄』、1709年(宝永6年)に「貝原益軒」が著した『大和本草』などでも解説されています。
11代将軍・徳川家斉(とくがわいえなり)は山茶花を非常に好んだといわれています。現代でも童謡『たきび』の歌詞で「サザンカ サザンカ 咲いた路(みち) たき火だ たき火だ 落ち葉焚(た)き」と歌われたり、大川栄策の歌謡曲「さざんかの宿」で歌われたりしています。なお「山茶花」や「椿」を歌った日本の曲は76曲もあります。  
《サザンカを詠んだ俳句五句》
山茶花を旅人に見する伏見かな(井原西鶴)
山茶花のここを書斎と定めたり(正岡子規) 
山茶花にあるは霙の降る日かな(河東碧梧桐)
霜を掃き山茶花を掃くばかりかな(高浜虚子)
山茶花に雨待つこころ小柴垣(泉鏡花)
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《山茶花を詠んだ詩》
童謡『たきび』
作詞:巽聖歌(たつみせいか)
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かきねの かきねの まがりかど
たきびだ たきびだ おちばたき
「あたろうか」「あたろうよ」
きたかぜ ぴいぷう ふいている


さざんか さざんか さいたみち
たきびだ たきびだ おちばたき
「あたろうか」「あたろうよ」
しもやけ おててが もうかゆい

こがらし こがらし さむいみち
たきびだ たきびだ おちばたき
「あたろうか」「あたろうよ」
そうだん しながら あるいてく
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童謡『たきび』の作詞者である巽聖歌が、日野市旭が丘に25年近く住んでいたことから、その偉業を讃(たた)え、平成22年(2010年)1月23日よりJR東日本の協力を得てJR豊田駅の「発車メロディ」が童謡『たきび』になりました。上りホームと下りホームで異なる曲調になっています。
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《寒椿(カンツバキ)の花々》
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寒椿(カンツバキ)の小ぶりな桃色の花々
『寒椿(カンツバキ)』 は、ツバキ(椿)とサザンカ(山茶花)の「交雑種」とされる「ツバキ目ツバキ科ツバキ属の常緑中低木」です。 「花弁と雄蕊(おしべ)が合着している椿の特徴」と、「花弁が一枚ずつ散る山茶花の特徴及び性質」を合わせ持っています。冬の代表的な花木として「八重咲きの薄紅花」が出回っていますが、「赤や白、桃色の一重や八重咲き」もあります。
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《薔薇(ばら)・冬薔薇(フユソウビ)》
冬薔薇:冬に咲くバラ。ふゆばら。かんそうび。
『冬薔薇』という品種があるのではなく、「冬に咲く薔薇」を総じて『冬薔薇』と呼びます。特に「雪が降る頃に咲く薔薇」を『冬薔薇』と言い、「秋に咲いた四季咲き薔薇の残りが、冬に咲いたもの」です。
《冬薔薇・ガーデンローズの花7態》  
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ガーデンローズその1(赤い大輪の花)
ガーデンローズその2(小ぶりの桃色の花)
ガーデンローズその3(庭に咲く桃色の花)
ガーデンローズその4(五輪の小ぶりの白い花)
ガーデンローズその5(八重の白い大きな俳句)
ガーデンローズその6(八重の白い大きな花)
ガーデンローズその7(八重の白い大きな花)
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《「冬薔薇」を歌った曲》
さだまさし『冬薔薇』
松原健之(たけし)『北の冬薔薇』
谷村新司『群青』(1981年8月に公開された東宝映画『連合艦隊』の主題歌)    
(「群青」とは紫がかった深い青色のこと。戦争で散った息子達は、いまは「雪降る冷たい群青の海」に眠っています。冬に薔薇が咲くが如[ごと]く、お前達も冷たい海からその姿を見せて欲しいと、悲痛な親の願いを歌っているのです。)
「手折(たお)れば散る 薄紫の
野辺に咲きたる 一輪の
花に似て 儚(はかな)きは人の命か
せめて海に散れ 想(おも)いが届かば
せめて海に咲け 心の『冬薔薇』」
((出典: 群青/作詞・作曲:谷村新司)
松田聖子『冬の妖精』(作詞:松本隆) 
(この歌詞の中に「白い『冬薔薇』にカードをそえるわ 
 今ハートの走り書き 」とあります。) 
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《ヒイラギナンテンの花》
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『ヒイラギナンテン』は、「常緑で濃い緑色の葉」、『早春に長い花穂に多数つく黄色い花』、「初夏に熟す黒青色で粉を吹いた果実」と、1年を通じて観賞できる植物です。和名の『ヒイラギナンテン』は、「葉がナンテンのように複葉で、ヒイラギのようにとげのあることや、果実のつき方がナンテンに似ること」に由来しています。