《当たり前田の耳寄りテレビ番組紹介》
このコーナーは、今までずっと親しい友人だけにラインで送っていましたが、今回はアメブロの読み手の皆様にも御紹介します。お時間があれば、是非とも『デフ・ヴォイス』をご覧あれ。(デフ【deaf】⇒[耳が聞こえないこと。 聴覚障害。 また、その人。 聾者 {ろうしゃ}。])(ヴォイス【voice】[声])
再放送は今夜の深夜です。深夜なので録画をしてご覧ください。
    前編:1月6日(土)深夜0:14〜1:27
    後編:1月6日(土)深夜1:27〜2:42
手話つき放送⇒NHK Eテレ
                             前編:2月4日(日)午後3時45分〜
       後編:2月11日(日)午後3時45分〜
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2023年12月23日(土)午後3時過ぎ、テレビをつけたら『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(前編の再放送)というドラマに出逢った。有り難いことに前編と後編を連続して観られた。久しぶりにドラマというものを夢中になって観た。聾唖者と手話通訳士の交わりを描いた実に珍しい番組だったので見入ってしまった。草彅剛の好演が光った。本当に久しぶりに良いドラマを観ることができた。
実は、僕は昔、聾唖者にかかわったことがあった。僕が小学生の時、我が家に聾唖者の人が農家の手伝いとして雇われていた。僕の父が雇ったのだ。父は身体障害者だった。父は戦前、満州で通訳として働いていたが、現地で左の片腕を肘から下を無くした。(どこでなくしたのか未だにわからないが、それは父が満州の話をすることはなかったからだ。)その片腕は水木しげるさんの片腕のようだった。敗戦後、ソ連に抑留されず、無事に鹿児島に戻って来られたのだ。片腕を失っていた父はは菱刈町の身体障害者の役員になり、身体障害者の世話をするようになった。それで、この聾唖者を我が家で雇い、我が家の近くに家を建てて住まわせ、家の手伝いをさせて生計を立てさせていた。僕は、この聾唖者に可愛がられた。僕は手話はできなかったが、このおじさん(聾唖者)の口元を見て何を言いたいのかを理解した。また耳をそばだて、聾唖者のおじさんの言うことを理解するとともに口の動きを良く見て理解を深めた。僕はおじさんの言いたいことを父達に伝えていた。この時に僕は聾唖者を始めて意識した。
僕は大学を1976年に卒業したが、その後、空手の師範と寝起きを共にしながら約3年間、空手の修行を行った。空手では食えなかったので、借りている部屋の一室で子供たちに勉強を教えていた。それでも生活費は足りなかったので深夜、牛丼の吉野家でパートとして働いていた。大学時代に知った「三浦つとむ」や「吉本隆明」の本を読んだり、その他にも自分の興味がある本を読みまくった。そんなさなか、1979年(昭和54年)に小金井公会堂で「吉本隆明の講演」が行われることを知り、講演を聴きに行った。(僕が吉本隆明を知ったのは「三浦つとむ」の著作を通してだ。この二人は雑誌『試行』の編集や郵送手続きなどで関わり、とても仲が良く、家族ぐるみの交際をしていた。「吉本ばなな」も三浦さんの所へ行くなどしていたそうだ。)この講演の最後に聾唖者の人かが壇上に上がり、吉本さんに質問をしたが、吉本さんは、それまで聾唖者と語らったことがなかったので「通訳をお願いします。」として言われた。その言葉を聞いた聾唖者の取り巻きが「通訳とは何だ!」とか言って紛糾した。(僕はその時の聾唖者の発言内容を理解できたが、どうすることもできなかった。)そのうち、吉本さんは主催者に手を引かれて会場をあとにされた。その出来事があった1週間後に運営の失態を詫びる手紙が僕の手元にも届いた。それで、僕は吉本隆明の講演が行われた日程を記憶しているのだ。この講演で聾唖者と健常者の語らいが難しいことを知らされた。

僕の手元に残っているパンフレットその1
僕の手元に残っているパンフレットその2
テレビで『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』に出合って、さらに聾唖者のことを知ることになった。このテレビ番組によって聾唖者の出会いは3度目になった。以下に、『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』というドラマについて列挙します。
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デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士
あなたは、私たちの味方? それとも敵?
2023年12月16日(土)、23日(土)に前後編で放送!!
放送予定(NHKプラス) 
再放送 ⇒NHK総合     
前編⇒1月6日(土)深夜0:14〜1:27
後編⇒1月6日(土)深夜1:27〜2:42
※字幕スーパー 
【原作】丸山正樹
【脚本】高橋美幸
【音楽】原摩利彦
【手話・ろう者監修】木村晴美
【コーダ考証・手話指導】米内山陽子
【手話指導】江副悟史
【ろう者俳優コーディネート】廣川麻子
【演出】渡辺一貴
【制作統括】伊藤学(KADOKAWA) 坂部康二(NHKエンタープライズ) 勝田夏子(NHK)
【出演】草彅剛、橋本愛、松本若菜、前田亜季、遠藤憲一ほか
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【あらすじ】
仕事と結婚に失敗した荒井尚人。家族や恋人に心を開けないでいるのだが、生活のため唯一の技能を活かして就職活動をはじめる。その技能とは“手話”。彼は耳が聞こえない両親をもつコーダ(Children of Deaf Adults)だったのだ。そして彼は手話通訳士として働くことに。
やがて仕事にも慣れ、新たな生活を送りはじめた尚人のもとに届いた依頼は法廷でのろう者の通訳。この仕事をきっかけに、尚人は自身が関わった過去のある事件と対峙することに。現在と過去、二つの事件の謎が複雑に絡みはじめる…
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【前編「記憶の中の少女」】
初回放送日: 2023年12月16日
荒井尚人(草彅剛)は、コーダであることに複雑な感情を抱えながら生きていた。しかし、交際する安斉みゆき(松本若菜)との将来を考え、手話通訳士の道を選ぶ。そんな尚人のもとを刑事の何森稔(遠藤憲一)が訪れ、殺人事件について尋ねる。その事件は17年前に尚人が手話通訳を担当した、決して忘れることのできない事件と関係していた。再び法廷での手話通訳を決意した尚人は、手塚瑠美(橋本愛)からの仕事依頼をきっかけに…
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【後編「もうひとつの家族」】
初回放送日: 2023年12月23日
荒井尚人(草彅剛)は、海馬学園理事長殺人事件の重要参考人とされる門奈哲郎と対面。17年前に尚人が手話通訳を担当した門奈には、娘が2人いたはずだったが、娘は1人だと伝えられる。不審に思った尚人は真相を知るため事件を追いかけることに。手塚瑠美(橋本愛)は罪に問われることを覚悟の上で門奈を守ろうとしていた。過去の事件と現在の事件の関わりを確信した尚人は、刑事の何森稔(遠藤憲一)に門奈の居場所を告げ… 
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《出演者コメント》
【前田亜季さん コメント(松山千恵美 役)】
色んな考えや生き方があり、互いを理解し合うという事はどんな時も難しいと思いますが、伝えたいと思ったり、理解したいと心を動かし続けたいな、と撮影を終えて思いました。
私は草彅さん演じる尚人の別れた妻を演じました。尚人の真っ直ぐさや正直さが1番側にいて辛かった時もあっただろうな、と想像しますが、良き理解者として新たな関係性を構築している2人の空気感はとても清々しく、心地よいものでした。
わたしの視野も一つ広くなったような、想像力を広げてくれる作品だと思います。ぜひ、たくさんの方にご覧いただきたいです。
<役柄/松山千恵美>
草彅剛さん演じる荒井尚人の元妻。
【和田正人さん コメント(米原智之 役)】
私が演じる米原は端的に言うと、ろくでもない人間です。家族を翻弄し、愛する事を放棄してしまった男です。大切な人達の言葉を聞く機会は何度もあったはずなのに、彼の耳には届いていなかった。耳は不自由であろうとも、手話を使って心を通じ合おうとする、ろう者の方々とは、ある意味、真逆にいる存在だと思いました。家族を持つ身としては腹立たしい役どころです。そんな彼にも救いがあります。一体どんな言動が彼を動かすのか?家族の在り方という観点でも本作を味わって頂けると、米原という役柄がより救われそうな気がします
<役柄/米原智之>
松本若菜さん演じる安斉みゆきの元夫。
【中島歩さん コメント(半谷雅人 役)】
僕は最近言葉だけに頼らないコミュニケーションについて考えていました。なぜなら映画やドラマは言葉だけではなく映像や音による表現であり、台詞はその一部の要素だからです。手話の演技でのコミュニケーションは、観客にどんな影響を与えるのかとても興味があります。こんなこと言うと僕も手話の演技をしたと思われるでしょうがやっていません…橋本愛さんの見事な手話を隣で見ていてそんなことを感じました。その手話を操る手は美しく、彼女の想いを雄弁に語っていました。ぜひともご覧ください。
<役柄/半谷雅人>
橋本愛さん演じる手塚瑠美の婚約者。
【根岸季衣さん コメント(安斉園子 役)】
今まで同じ共演者と何度か夫婦や親子になる事はありましたが、今回は孫役の磯村アメリさんが映画「スイート・マイホーム」に続いて2度目の孫でした。
現場では大胆、豪快な自然児で、今回もなかなかのキーパーソン。
出来上がりを観るのが、とても楽しみです。(孫バカ?)
<役柄/安斉園子>
松本若菜さん演じる安斉みゆきの母。
【浅野和之さん コメント(手塚総一郎 役)】
台本を読んで"面白い"と強く感じた作品でしたので、参加出来たことを嬉しく思っています。 
障害のある家族を軸に、社会的な問題とサスペンスの要素を混ぜ、普段私達が感じる事、知る事の無かったろう者の方達の問題にも触れた、上質な作品だと思います。
<役柄/手塚総一郎>
橋本愛さん演じる手塚瑠美の父。
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『デフ・ヴォイス』は、作家・丸山正樹による日本の長編ミステリー小説。2011年7月25日に文藝春秋から刊行された。刑事事件に問われたろう者の法廷通訳を担う手話通訳士の物語を描く。
2015年8月4日には文春文庫から『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』として文庫化された。
東京創元社より続編が刊行されシリーズ化されている。
文庫本名である『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(デフ・ヴォイス ほうていのしゅわつうやくし)と題し、NHKによりテレビドラマ化され、NHK総合テレビ(NHK G)およびNHK BSプレミアム4K(NHK BSP4K)の土曜ドラマ枠にて2023年12月16日及び12月23日に全2回で放送された。
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ドラマ「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」制作決定のお知らせ
NHK  公開2023年5月16日(火)午前11:00
「手話通訳士」草彅剛が事件を追う!
感動の社会派ミステリーをドラマ化
近年、手話やろう者の世界について、テーマとして取り上げたドラマが放送されたり、海外でも高い評価を得る映画が公開されたりするなど、社会的な関心が高まっています。2025年には世界規模で行われる聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会「デフリンピック」が日本で初めて開催されることが決まっており、「ろう者・ろう文化」についての理解がより広く求められていると言えます。そんな今日的な題材に向き合ったドラマの制作が決定しました。原作は、丸山正樹さんによる小説『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』。口コミで静かな話題を集め、“読書の甲子園”と言われる全国高校ビブリオバトルでグランドチャンプ本にもなりました。読者の熱い要望によりシリーズ化され、10年以上にも渡って根強い支持を得る作品群の中からドラマ化されるのは、人気に火をつけた1作目。仕事や家族を失い人生に迷う男性が自分の唯一の技能である手話を活かして「手話通訳士」になり新たな人生のスタートを切る物語が、殺人事件をめぐるミステリーとともに繰り広げられます。
主演を務めるのは草彅剛さん。本作の主人公・荒井尚人はろう者の両親の間に生まれた耳が聴こえる子ども、コーダ(Children of Deaf Adultsの略)であり、自身の生き方や他者との関わり方について悩み、現在と過去の事件を追う中で自身が果たして何者なのか周囲の人から問われ自分自身にも問いかけることになる人物です。ドラマの中では手話を使って演じるシーンもあり、手話で会話する草彅さんに注目です。
またドラマ化に際してオーディションを行い、20名近い「ろう者・難聴者」のほぼすべての役を実際にろう・難聴の俳優が演じるのが本作ならではの試み。原作ファンの方は、様々な思いを抱く登場人物たちを誰が演じることになるのか、これからの発表を楽しみにお待ちください。
演出は『岸辺露伴』シリーズなどを手掛ける渡辺一貴。制作統括の伊藤学プロデューサーを中心に3年前からじっくり取材を重ね、構想を温めてきた作品でもあります。従来のドラマや映画を超えたリアリティで『ろう者』や『コーダ』が抱える悩みや葛藤を繊細に描きます。もちろんこの作品の特徴でもあるミステリー要素も存分に堪能できる、たくさんの方に見ていただきたいドラマです。
【草彅剛さん コメント(主人公・荒井尚人役)】
今回、ろう者の方たちとご一緒させていただき、毎日、楽しい現場を共有しています。
手話の演技も初めてなので緊張しますが、ご覧になる皆さんが楽しめる作品になるよう、頑張ります!
【原作/丸山正樹さん コメント】
この度、最高のスタッフ&キャストにより『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』が映像化されることが決まり、大変嬉(うれ)しく思っています。脚本を拝読し、素晴らしい作品になることを確信しています。
主演の草彅剛さんはもちろんのこと、信頼するろう者及びコーダの方に手話監修・指導をお願いすることができ、さらに「ろう者役はろう者俳優で」という当事者たちの長年の夢を実現できたこと、関係者の皆さんに心より感謝いたします。
【演出/渡辺一貴 コメント】
昨年春、ろう者劇団の所属メンバー、映画や演劇への参加経験者から、演技経験はないがお芝居に興味のある方まで、老若男女多くのろう者の方にお集まりいただき、このドラマのためのオーディションを行いました。
驚きました。その表情の豊かさ、あたたかさ。表現の多彩さ、細やかさ。手話の「手」だけではなく、顔や全身を使った感情表現に圧倒されました。何よりも皆さんが「演じる」ことを心の底から楽しんでいる。こんなに楽しく、そして刺激的なオーディションは初めてでした。
この思いをぜひ皆さんにもお届けしたい。
いえ、お届けしなければいけない、と思っています。
【制作統括/伊藤学プロデューサー コメント】
生き方や境遇が違うわたし達は、一体どれだけ分かりあえるだろう。聴者同士でもコミュニケーションが難しい世の中で、聴者とろう者の隔たりはどれほどだろう。
その狭間で生まれ、もがく男の目線を通して、たくさんの気づきをお届けしたい。
そんな思いを持って、草彅剛さんをはじめ、多くの素晴らしいろう者俳優の皆さん、心強いスタッフと共に、日々楽しく撮影を行なっています。
このドラマを見て下さった方達の世界を見る目が、より豊かになればと願っています。
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《ヤフーニュース》12/27(水) 16:00配信
草なぎ剛主演「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」社会の問題を全面に出した原作と、家族の物語に重心を移したドラマ 違いはあれど誠実な映像化!
 推しが演じるあの役は、原作ではどんなふうに描かれてる?ドラマや映画の原作小説を紹介するこのコラム、今回はろう者や中途失聴者の役者さんが多く出演したこのドラマだ! 
■草なぎ剛・主演!「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」(NHK・2023)
 ああ、誠実な映像化だ──というのが第一印象だった。もちろん長編を前後編の単発ドラマに収めるために改編された部分はある。カットされたシーンも多いし、逆に原作にはない場面が加えられたりもしていた。けれど主要エピソードはいっさい省くことなく、たっぷり見せてくれるた。 主演の草なぎ剛さんや橋本愛さんらの芝居はもちろんだが、ろう者や中途失聴者を演じた役者さんたちの圧巻だったことといったら。このあたり、「あそこよかったね」「あれすごかったね」と語りたい気持ちが膨れ上がっているのだけれど、手話もできずろうの問題の当事者でもない私が安易に「わかったようなこと」を言うのも違う気がするので、ここでは私の専門である「小説」との関係に絞って語ります。ドラマでのろうや手話の描かれ方については、NHKの中の人や手話に詳しい人たちがさまざまな情報や分析をwebに載せてくれているので、ぜひそれらをお読みください。手話のわかる人が見ると、手話の意味と字幕の言葉が微妙に違う部分があって、そこにろう者と聴者両方への配慮が感じられるんですって! うわあ、そういうのがわかるといっそう楽しめるんだろうなあ。