って、漫才コンビみたいな名前ですよね。

と若者が言うので、失礼ながら思わず大爆笑してしまった。

 

いうまでもなく、島崎藤村である。

 

聞くと、文学史の教科書で見たことあるとのこと。最近でも国語の教科書には夏目漱石やら森鴎外、志賀直哉などの小説が採用されているらしいから、今の若者にも明治~昭和初期の作家は身近なんだそう。でも、遙か昔の歴史上の人物として捉えているから、その作品も歴史書、古典みたいなものと言う。

 

『舞姫』『城の崎にて』と『源氏物語』『徒然草』が同じカテゴリーなの?と質問したところ、中世と近代は現代ではないという意味で同じ古典だという答えが返ってきた。

 

彼との会話はそこまで。その後一人で少々考えた。

私の祖父母は明治生まれであって、明治・大正の話を直接聞けた。

彼らの祖父母は戦後。それ以前のことは映像や文字から間接的に知ることになる。

 

この違いは大きいんだろうな。

祖母と高校生の私の会話。祖母の父(私の曾祖父)が兵隊に取られ、外地に赴いたが幸い生きて帰ってきて、当時子供だった自分は娘として喜んだ、と言う。はて、どの戦争だ?祖母の生年から日露戦争だと推理した。すると祖母が乃木大将の名言を諳んじ始めた。「決して贅沢するな。贅沢ほど人を馬鹿にするものはない」。確信した。

 

祖母の本棚には、森鴎外、樋口一葉、夏目漱石が並んでいた。