須田恭也 風紀委員第177支部 14時00分00秒
須田は驚愕を目の当たりにしていた。
釘付けになっているのは177支部に置かれた薄型テレビ。
昼のワイドショーが終わり、テレビはニュースの放映に入っていたがそこで超能力についてのニュースをしていたのだ。
科学の力を用いた人為的な能力開発。唯一の開発機関は恭也が今いる学園都市。
(超能力を、、、人為的に発言する、、、だと?)
恭也は別に異能の力を全否定するような頭が固い男ではない。それどころか彼自信が異能の力に携わっている。
どんな生命体でも絶対に魂を燃やしつくす(と言うかそれしか燃えない悲しい能力でもある)煉獄の炎を初め、交わる事のないはずの世界と世界の間に門を開く水鏡の扉、他人の視界、聴力をジャッジし位置情報を把握する幻視、さらには絶対に滅びない永遠の肉体と絶対に滅びない永遠の魂の力。
勿論一部の力には間に宇理炎や焔薙など能力の使用に不可欠な呪具も必要となるがあくまでそれは力を補助するバイパスの様なものだと恭也は考えている。
本来異能の力とは只の人間には絶対理解出来ないごく稀な力であると恭也は信じていたが、、、
(このニュースが本当だとするならばとんでもない話だぞこりゃ、、、)
科学的な技術を使った自己暗示だの、発現しやすい能力だの、あまり恭也に理解出来る物ではなさそうだが、、、
恭也の根本的な所にあった疑問を加速させるには充分な内容であった。
やはり、、、異界にしか存在出来ぬはずの恭也が存在出来るこの世界はおかしい。あまりにも理解がしがたい所が多過ぎる。
どたばたとなにやら大変そうな学生服姿の男女数名の中、恭也を捕まえここまで引っ張ってきた白井に声をかけることにした。
「ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「上から貴方の処分は保留、ほったらかしにしておけと命令が下されてますの。手短にお願いしますわ」
「君も超能力者なのかい、、、?」
「、、、貴方は超能力についての予備知識をなにも知らないのですの?」
「知るわけないだろ。学園都市の人間じゃあるまいし。能力者ではあるけど、、、」
そこまで言うと白井はぶつぶつとやはり噂の原石、、、しかし本当に実在しているとは言い切れませんの。シラを切ってるようには見えませんし、、、となにやら殊勝な顔付きで考え込み始めた。
「もしもし?白井さん?」
「、、、とりあえず貴方は学園都市で行われている能力開発にまったく知らないようですわね。いいですこと、学園都市内能力者の数はいくらでもいますが超能力者はたった7人しかいないのですわよ。」
「???君の能力、、、瞬間移動みたいなのは充分超能力に見えたけど」
「私はレベル4の大能力者ですわ。それと瞬間移動では無く空間移動です。第3次元を第11次元に置き換える事によって空間移動していますのよ。」
「レベル4、、、?」
「学園都市は能力者を生み出す開発機関ですわ。つまり異能の力等珍しくともなんともない。だから学園都市は能力開発の時間割(カリキュラム)を受けるものにレベルを下していますの」
「つまり数多の能力者の中でも超能力者と呼ぶに相応しい段階に達成するまでレベルでカウントしていると?」
「見かけによらず頭の回転は速い様ですわね。学園都市の能力には実用性に乏しかったり、力が弱すぎたりする能力が多々ありますの。例えば、、、」
白井は適当に机にあった文房具入れからプラスチックで出来た定規を出し、恭也に指し示す。
「どんな才能のない人間でも一定のカリキュラムをこなし、投薬や暗示によってこのくらいの物なら触れずに折る事はできますわ」
「ふんふん。それで?」
「しかしそこに意味はあって。こんなものある程度の筋力さえあれば誰でも折るくらいはできます。つまり異能の力には違いなくてもそこに意味がない能力が多いんですの」
「それを超能力と呼ぶのはあまりにも侘しいと言うことか」
「発現しやすい三大能力は発火能力、発電能力、透写能力の三つ。しかしどれをとってもレベルが低ければせいぜい指先に火を燈せるとか、火花を散らせるとか、トランプの数字を言い表せるとかそんなものでしかないですの」
「ふーん。そういう能力もあるのか」
「ようは、実用性があるか、発現しにくい珍しい能力であり、かつその能力を人間離れするくらいまで極める事により初めて超能力者と呼ばれるレベル5に辿りつけるのですわ」
「難しいなぁ、、、そういや君はレベル4て言ってたけど?」
「ああ、テレポーターの数が絶対的に少なく、かつ私は自分自信もテレポート出来ますのでレベル4ですの。大能力と呼ばれていて結構自分の力に自信はありますのよ~。」
成程、、、能力開発は行ってはいるが実質に普通の人間が「だからなに?」と受け流さない様な力を持つものは一握りなのか。
恭也は少しほっとする。皆が皆、白井の様にすごい能力の持ち主ならばあわよくば逃げ出そうと思っている恭也の退路は断たれた事になる。
「ちなみに学園都市にはその全域をくまなくカバーしている監視カメラとどこまでも追尾を続ける人口衛星があり、また能力者でも太刀打ち出来ない近代兵器を武装した警備員(アンチスキル)もいますから逃げ出すのは無理ですわ」
まるで恭也の心を読んだ様に得意顔で話す白井。そりゃ人為的に能力開発を行うほど科学が発達したこの世界には恭也も知らぬ近代兵器があってもおかしくないか、、、。
出会ってまだ少ししか経っていないがあまり白井を刺激してはいけないと頭の中で警告ブザーが鳴っているので恭也は胡麻を擦っておくことにした。
「しかしレベル5て言うのが7人しかいないなら日常にもほとんど関わってこないんだろ?話を聞く限り230万も人間がいるなか7人しかいないんならほとんどの人が超能力者を見た事もないんだよな。ならレベル4の君とかが実質皆が知るすごい能力者なんじゃないの?すごいと俺は思うよ」
沈黙。
やべ、もしかしてレベル5への嫉妬とか会った!?と慌てるも白井が呟く。
「、、、レベル5は確かに会おうと思って会える様なものではないですの。しかしですね、、、」
そこで風紀委員室の扉がバーン!と開いた。
「もう御坂さん。コードレッドが出ていてただでさえぴりぴりしている中扉の電子ロックに不法侵入せずに普通に呼び鈴ならしてくださいよ」
と頭に花を生やしたツッコミ所漫才の風紀委員が言う。対して突然の乱入者はいいじゃないの、黒子の着替え持って来ただけだし、とどこかあっけらかんだ。
半袖の白いブラウスにサマーセーター、灰色のプリーツスカート。白井と寸分違わぬ制服を来た整った顔立ちの少女がそこにはいた。
「噂をすれば影法師、、、この場合噂をしようとすればですけど。」
「?先輩か?同じ学校の風紀委員の人?」
クエスチョンマークを乱立させる恭也。
と疲れた顔に僅かな笑みを浮かべた白井が呟いた
「彼女こそ学園都市に7人しかいないレベル5の第三位、、、発電能力者の最高峰。超電磁砲、御坂美琴ですわよ」
屈託ない笑顔を浮かべ白井のもとに歩みよった、この奇抜な都市が認める超能力者が口を開いた。
「黒子、なにその人?あんた仕事の忙しさにかまかけて男でも連れ込んでんの?」
ジャスト御坂の胸に飛びつこうとしていた白井がそのまま硬直し、勝てぬと分かっている勝負に(この猿人が私の彼氏に見えまして!?と叫びつつ)踊り出て、あっさりと撃破されたのは言うまでも無かった。
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