彼とは7つ歳が離れていて、小さい頃はよく面倒を見てもらい、最近ではよくドライブで色々なところに連れて行ってもらう程には仲が良かった。
従兄弟は昔からゴリゴリのイケメンで、運動神経は抜群に優れファッションセンスも素晴らしく、性格も男らしく潔が良かったために学生時代から大層モテていたのを今でもよく覚えている。
そんな彼が突然結婚すると言い出したので、僕は相手がどんな人なのか楽しみにしていた。
そして迎えた当日。親戚の車で地元の横須賀に向かい、いざ会場に到着すると見知らぬ外車がずらりとその向きを揃えて駐車されていた。
きっと友人たちが駆けつけてくれたのだろうなとその壮観な景色を眺めていると、案の定スーツ姿の従兄弟が車から姿を現した。
「よっ!来てくれてありがとな!」
片手を上げてこちらへ近づいてくるその立ち振舞いは、結婚式ということも相まってか相変わらずイケメンだった。
「結婚おめでとう。奥さんは?」
「向こうで親戚達に囲まれてる。後で紹介するから楽しみにしててな」
実は今年の正月に彼女を連れて帰省したらしいのだが、ちょうどコロナとインフルに同時感染していたので僕だけまだ会えていなかったのだ。
それじゃ準備があるから、と颯爽と立ち去る背中を見送った後、僕は披露宴の会場へ向かった。
だだっ広いホールの扉を開けると、中から綺麗なバイオリンの音色が耳に飛び込んできた。
誰か弾いている人がいるのか。
音のする方へと足を向けると、一人の若い女性がバイオリンを奏でていた。
何をしてるのかと話を聞くと、どうやら従兄弟に演奏を頼まれたので練習していたとのこと。
「奇遇ですね、実は僕もピアノ頼まれてまして」
「あー、なるほどー」
「…………」
「…………」
「あ、もしもし?ちょっと今バイオリニストと遭遇したんだけど、どゆこと?」
『あれ言ってなかったっけ、ごめんセッションで頼むわ』
「うわ雑ー」
というわけで急遽二人で相談しながらセッション用に曲を練り上げ、軽く練習を繰り返した。
やがて披露宴が始まり、一段落ついたところで僕は鍵盤を弾き始めた。少し遅れてバイオリンが合流し、結婚式の定番曲を横須賀っぽくJazz風に彩ってゆく。
会場が徐々に盛り上がりを見せ、最後に新婦の好きなバンドのメドレーを演奏し僕は今日の出番を終えた。
追記
新婦さんめっちゃ美人で良い人でした。
僕も早く結婚したいです。
The end
