一昨日の昼頃、父が倒れたと叔母から連絡が入る。集中治療室に入っているので、すぐに来るようにとのこと。


 

100キロメートル以上離れているため、一瞬、どの交通手段で行こうかと悩んだが、現地で何かと動くこともあると思い車で行くことにした。

 


幸い自宅から数キロのところに高速道路の入口がある。車に飛び乗り高速道路に入った。


 

運転を始めて30分もすると、移動する看板などを眼で追うのが厳しくなる。脇に目もくれず前を走る車だけを見て、どうにか運転する。

 


次第に瞼が痙攣し、それが頬まで下りてくるのが分かる。病院に着くころまでには喉の奥まで違和感が広がり、すっかり構音障害が完成した。

 


病院のHCUに入ると人工呼吸器、様々な管に繋がれた父がいた。幸い意識はしっかりしている。

 


看護師さんから心臓疾患の疑いがあるが、肺に水が溜まっており、その水が無くなるまでは検査ができないとの説明を受ける。原因がはっきりするまで当面、HCU住まいになるようだ。

 


その他、腕の動脈に点滴を入れているので夜は拘束する、首からの点滴は○○を入れるためなど、看護婦さんから矢継ぎ早に説明を受けるが、気が動転していたのかよく覚えていない。


 

また、聞き返そうにも呂律が回らないので質問もせずに黙って聞いていた。

 


とりあえず服用している薬を実家から持ってきてほしいとのこと。疲れていると言っている暇もなく、母と実家へ向かう。


 

実家に入ると洗面器一杯のティッシュ、床に散乱しているティッシュが目に入る。


 

一昨日の夜、呼吸がだんだんと浅くなるなか、とりあえず痰を出そうと二人で悪戦苦闘したとのこと。


 

狭心症の持病があるので、呼吸が苦しいのは心臓の影響と思ったらしい。

 


ニトロを5錠も立て続きに服用したものの一向に回復しないため、朝9時になって主治医(糖尿病)に電話したところ、主治医が異常を察知して救急車を手配してくれたと、母から聞かされる。


 

母が言うには、10時間以上も苦しんでいたのに救急車を呼ばなかったのは、まず、主治医(高血圧・糖尿病)に診てもらいたいと父が頑なに拒んだからだそうだ。


 

病気持ちの私を心配させないようにと気遣う母の気持ちが痛いほど解る。


 

すぐに駆け付けることができない自分の身体を恨み、不甲斐なさを痛感する。

 


薬を持って病院へ戻ると、貧血のため輸血をしたとの説明を受ける。

 


色々な管に繋がれているが意識がしっかりしているのは幸いだ。

 


母も高齢で左足首を骨折しているので無理はできない。父の症状が安定しており、看護師さんは母を連れて家に帰れと言う。


 

あとは病院にお願いして、一旦、実家に戻ることにした。