人が集まる都会に、人がさらに集まり、行列のできるラーメン屋が並んででも食べたくなり、行列をさらに長くするという光景はよく目にすることができる。コンビニエンスストアでは外から見えるところに雑誌を配置して立ち読み客を利用してお客が入っていることを通行人にPRしているのだ。このように小売業やサービス業では人が集まりやすい店を作らなければならない。

アメリカの心理学者ミルグラムの実験では協力者数人が一定の場所で立ち止まり上方を見上げていると、そばを通った通行人の六割が立ち止まって同じ方向を見上げ、5人以上の人だかりができた場合には8割が立ち止まって同じ方向を見上げたという結果が出ている。つまり人間には集団と同じ行動をとる習性があるため、集団を説得する場合にはあらかじめ同調してくれるサクラを作っておくと説得しやすいことが心理学で証明されているのだ。

都会は人間の五感に加え、人込みがもたらす第六感コミュニケーションともいえる活気を内包する。そして店舗は魅力的な店づくりをし人を集める。

また人込みには2つの効果がある。1つは大勢の人と同じだという安心感である「同調行動効果」、もう一方はコンサートやスポーツ観戦などで客席ガラガラだと盛り上がりに欠けるが満員だと演奏者や選手もエキサイトし、熱気に満ちたコンサートやゲームになるという「活性化効果」である。

これらの「人込み効果」を念頭にお客に来店してもらう方法を考えることが先決なのである。

 

行列というのは非常に魅力的である。ちょっと小汚いラーメン屋に行列ができているだけで、この店は名店なんじゃないかと思ってしまう。行列に並んで店にやっとの思いで入れた後に多少クセの強いラーメンが出てきてもこれがツウのラーメンなんだと勝手に思い込んでしまうことも多々ある。それだけ行列、人込みの影響は強大なんだろう。さらには周りの人が好印象の中、自分だけ嫌いとは言い出しにくいし、もしかしたら自分が間違っているのかと錯覚してしまうこともある。逆に言えば集団というのは安心するのだ。とりあえず大勢についていけばみんなで失敗してもいいだろうみたいな気持ちになってしまう。だから店側はとりあえずどんな方法でも人をサクラとして利用できる店づくりをする必要がある。