一週目はすべて基礎学習であった。インフォーメイションテクノロジーについての一般教養で4時間、OSウインドウズの解説が3時間、ワードは6時間で例の分厚い教科書をこの時から使い始めた。ワードでは別に数冊、厚めのコピーを付属のワークシートとして渡された。

教科書の例題は易しくて、解説に従っていけば、いくらでもどんどんと前へ進めた。コピーの方は違った形の質問が二、三あって回答は書かれていない。本の例題を参考にしながら、自習で進めていく。出来なかった分は自宅へ持ち帰りホームワークとなるのだ。これは非常に手間のかかる作業であった。

教科書の進み具合を同時にチェックされ、コピーの方を完成、それをプリントアウトして提出する。同時にフロッピーディスクに記録、その証拠品となる。教師からそれらの点検を受けた後、パスのイニシャルサインを貰うのだが、この欄は科目ごとに細かく分類されて数が非常に多かった。頻繁に教師に会ってチェックを受けねばならなかったのである。

二、三週目からは手紙や請求書の書き方、レポートや重要書類の作り方、編集の方法等、本格的なワープロ技術の習得で、そのチェックマークは三週間で合計10箇所あった。 私は初歩をマスターしていたから、難なくクリアーし、イニシャルサインを貰った。

四週目中頃よりコミュニケーション(対話)の科目が加わった。インフォーメイションテクノロジーでは人との接し方、交流が重要だからである。しかしこの内容が退屈そのもの、時間の無駄、無価値、なにを目標としているのか、さっぱり分からなかった。

4人ずつが1グループになり、教師から課題を与えられると、それについて個々の意見を述べ合う、又はゲームやトランプまでやらされる始末、これでは小学校低学年のお遊びの時間である。それにしても、誰からも、こんな内容の授業に苦情が出ないのが不思議である。大人がもっともらしい態度で真面目にやっているのを見ると滑稽である。この授業は週6時間、5週間に渡ってあった。高い授業料を払ってコンピューターを習いに来ているのである。もっとソフトやハードウエアーのことを学びたい。ITコースの責任者に文句をつけに行こうと思ったが、始まって間もなかったから、少し様子をみることにした。

二週目と四週目の終わりにワードのテストがあった。教師のコンピューターから各生徒のパソコンにLANで出題された。試験問題をコピーして取り込む、質問にそって、その回答をしていくのだ。文章を切り取ったり、張り付けたりする簡単な作業で二つ共、無事パスをした。

五週目の終わり、ワード三度目のテストである。その朝、車のエンジンをいくらかけてもスタートしない、しかたなく自転車で行くことにした。学校までは車で20分の距離、自転車だと一時間もかかった。途中きついアップダウンになった道路があって、大汗を掻きながら学校に辿り着いた。

すでにテストが始まり、ドアーは中から鍵がかかっていた。ノックをしたら教師が開けてくれた。みんな一生懸命テストに取り組んでいた。 時間をみると始まってからすでに30分も経過していた。私は空いているパソコンを見つけてブートアップ、ちり紙で顔の汗を拭きながら、試験の準備に取り掛かった。すぐテストのデータがこちらのモニターに写し出された。

しばらくして試験の雰囲気にも慣れてきたが、こんなハプニングがあったのでテストの詳しい内容がどうしても思い出せない。前回より複雑で難解だったことは確か、文章の所定位置にイラストを挿入したのを記憶しているが、あとはすっかり忘れてしまった。

このテスト、自信はなかった。間違いなく落ちたと思った。でも再試験を受ける場合、一度やっていると、非常に楽である。忙しい思いをしたがそれで良かった。数日後、その結果が知らされた。なんとぎりぎりの線だったがパスしていたのである。これには自分でもびっくりした。