先日、今年から制定された恐怖の制度に少し触れたが、
それが「技能実習責任者講習」である。
外国人技能実習生を受け入れる会社では必ず責任者を
立てなさいという制度は昔からあったが、その責任者は
必ず「技能実習責任者講習」を受講し、70点以上取って
合格し、「受講証明書」を頂かねばならないという法律が
制定されたのだ。
この取り決めに従って、9月某日、小生も都内某所で
行われる1日講習に参加した。朝から夕方まで丸1日、
高層ビルのタコ部屋のような部屋で受講証を出し、指定
の席に着席した。
周囲を見回すと、他社からも多くの技能実習責任者が
来ていた。
よれよれの70歳くらいの社長や無理矢理責任者に任命
されたであろうヤンキー兄さんのような奴などなど、これらの
人間が果たして本当に責任者を務められて、しかもこの
セミナーの最後に出題される確認テストに合格できるのか、
甚だ疑問という感じ。
9時20分から午前の部は丸々2時間。退屈な法律の
解釈であった。
午後、引き続きセミナーを受講。何とか居眠りせずに
持ちこたえた。
最終章の前半に理解度テスト。合格すれば修了証が
もらえ、不合格であれば不合格証が配布されるのだと言う。
試験問題は技能実習研修生の基礎級試験と同じく20問
であり、70点が合格ライン。内容は最近の働き方改革
関連の内容や最低賃金や36協定などにも及ぶ広範囲な
もので、入管法や技能実習関連法に限定されている
わけではなく、平素労務に関わっておらず、これから
技能実習生を受け入れるなどという会社の、しかも若い
ヤンキー兄さんのような奴らには無理というような感じ
であった。しかも終了後問題は回収され、スマホなどの
媒体で写真を撮ったり、問題を外部に持ち出すことは一切
不可という決まりがはまっていた。
すなわち、丸1日セミナーを受けて不合格を喰らった場合
次回の試験対策もできず、再度1日セミナーに参加しても
再び不合格を喰らう確率もかなり高い。
しかも、講師の先生様の説明はやや脆弱で
出題内容は8割程度しか反映されていないと感じた。
小生のように労務と技能実習生の月次監査立会などに
平素従事している人間でも迷う問題が4問程度あった。
すなわちある程度この内容に精通していても80点しか
取れないということである。
何とか修了証をGETし、撤収。
セミナーの最後にセミナー主催会社の事務員が無表情
で同じA4サイズの修了証と不合格証を受講者1人1人に
裏返しにして配布するので、その場では誰が不合格を
喰らったのかはわからない仕組みになっている。
しかし高層階から撤収する下りエレベーターにすし詰め
になった受講者の様子・表情などから、何名かは
確実に不合格を喰らっていると確信できた。恐ろしい
お国の金儲け制度、恐怖の小企業締め出し制度である
とも言える。おそらく本当に労働力確保に困窮している
小さな会社では外国人技能実習生の受入は今後も
かなり狭き門のままであろう。
電車で行きつけの神保町の飲み屋に向かいながら、
暗澹たる気持ちになった。
気軽に外国人労働者を受け入れられる世の中が
早く来ますように。小生にできることはお祈りのみである。