小学4年生の時に

飼っていたシマリスは

メスのはずだった。

 

ペットショップのおじさんが

数匹チェックして

選んでくれた1匹だった。

 

 

ある日の放課後、

実家から150mほど離れたところに住む、

クラスメイトの家に行ったところ、

「⚪︎⚪︎ちゃん(私のこと)のリスの声、

うちまで聞こえるんだよ。」

と言われた。

 

まさか、こんなところまで?

 

確かに、甲高いシマリスの鳴き声が

近所中に響いていたことは

知っていたが・・・。

 

 

シマリスはある頃から

狂ったように宙返りを

何度もやっていた。

 

日の出とほぼ同時にシマリスは

カゴの中でガタン、ガタン、と、

宙返りをする度に音を立てたので、

母がその音でよく

目を覚ましてしまっていた。

 

どこかおかしくなっちゃったのかな・・・?

 

でも、まるまると太っていて

病気というわけでもなさそうだった。

(餌のやり過ぎだった)

 

不安な気持ちでしばらく眺めていたが、

私はあることに気づいて衝撃を受けた。

 

しっぽの付け根あたりに、

何かが見えたのだ。

 

あれは、何・・・?

 

その丸い膨らみは、何なんだ?

 

無知だったとはいえ、

なんとなく、それが何なのか

分かってしまったのだ。

 

キュン、キュン、と鳴くのは、

多分、さかりのついたオス

だったからなのでは?

 

当時、よく読む本は

動物に関するものが多く、その中で、

“繁殖期を迎えた動物は、

オスがメスを引き寄せるために

することがある”と、

書いてあったことを思い出した。

 

孔雀なら美しい羽を広げて見せびらかし、

動物は独特の鳴き声でおびき寄せる、

みたいな記述を見たことがあった私は、

複雑な気持ちでシマリスを見つめた。

 

絶対にそうだ。

 

メスじゃなくてオスだったんだ・・・。

ずっとスーちゃんって呼んでいたのに、

本当はスーくんだった・・・。

 

ペットショップのおじさん、

もしかしたら、性別の見分け方なんて

本当は知らなかったんじゃないの?

 

おじさんに騙されたのかもしれないという、

腹立たしい気持ちにもなった。

 

それでも半年近くも一緒に過ごしてきた

リスを手放す気はなく、

その後も変わらず世話を続けた。

 

シマリスの赤ちゃんに

巡り会えることを楽しみにしていたのに、

これで絶望的になったと

がっかりした私であった。