【テーマ・かていか】
娘との2年越しの約束を
ようやく果たせました
娘が小学一年生のとき
学習発表会の劇で着た
ツーピースの
お気に入りの洋服がありました
からだが大きくなり
着られなくなったとき
「給食用のエプロンに
リメイクしてみようね」
そう約束しました
ずっと気になりながら
果たせずにいた
大切な約束でした
縫い目をほどき
布を裁つとき
わたしは小さな娘の
からだに鋏を入れるような
小さな恐怖を感じました
長い間
約束を果たさずにいた
ひとつの理由は
それでした
学校の家庭科以来
どなたからも
洋裁のてほどきを
受けたことはありませんが
並み縫いと
まつり縫い
あいじるし
糸のしまつと
折り伏せ縫い
これだけあれば
繕えました
写真はその残骸です
ピンクッションは
以前処分した
わたしの通勤用スーツの
切れ端を使った
思い出の品です
むかし
わたしが幼いころ
父方の祖母が
おさるのぬいぐるみを
こしらえてくれました
祖母が亡くなり
わたしが成人したあと
祖母の娘である伯母から
わたしの母に
「あのおさるさんを
返してもらえないか」
と申し出がありました
母はたいへん驚いて
伯母の申し出を
少し理解し難い様子でしたが
おさるのぬいぐるみを
伯母のもとに返しました
あのときは
わからなかった
おさるの持つ
言い尽くせぬ
ひとのおもい
あの厚く立派な生地は
きっと誰かの
衣服をほどいたものに
違いない
当たり前のように
和裁に秀でた
伯母の母の
手作りのしな
目にいれても
痛くないほど可愛い姪から
義理の妹にどう思われようと
取り戻さなくては
ならない品物だったのです
娘の洋服をこわし
前掛けに仕立て直しながら
しばらくのあいだ
懐かしい祖母を
思っていました
出来上がったエプロンを
娘は喜んでくれるかな
約束してからずいぶん
待たせてしまって
ごめんね
娘との2年越しの約束を
ようやく果たせました
娘が小学一年生のとき
学習発表会の劇で着た
ツーピースの
お気に入りの洋服がありました
からだが大きくなり
着られなくなったとき
「給食用のエプロンに
リメイクしてみようね」
そう約束しました
ずっと気になりながら
果たせずにいた
大切な約束でした
縫い目をほどき
布を裁つとき
わたしは小さな娘の
からだに鋏を入れるような
小さな恐怖を感じました
長い間
約束を果たさずにいた
ひとつの理由は
それでした
学校の家庭科以来
どなたからも
洋裁のてほどきを
受けたことはありませんが
並み縫いと
まつり縫い
あいじるし
糸のしまつと
折り伏せ縫い
これだけあれば
繕えました
写真はその残骸です
ピンクッションは
以前処分した
わたしの通勤用スーツの
切れ端を使った
思い出の品です
むかし
わたしが幼いころ
父方の祖母が
おさるのぬいぐるみを
こしらえてくれました
祖母が亡くなり
わたしが成人したあと
祖母の娘である伯母から
わたしの母に
「あのおさるさんを
返してもらえないか」
と申し出がありました
母はたいへん驚いて
伯母の申し出を
少し理解し難い様子でしたが
おさるのぬいぐるみを
伯母のもとに返しました
あのときは
わからなかった
おさるの持つ
言い尽くせぬ
ひとのおもい
あの厚く立派な生地は
きっと誰かの
衣服をほどいたものに
違いない
当たり前のように
和裁に秀でた
伯母の母の
手作りのしな
目にいれても
痛くないほど可愛い姪から
義理の妹にどう思われようと
取り戻さなくては
ならない品物だったのです
娘の洋服をこわし
前掛けに仕立て直しながら
しばらくのあいだ
懐かしい祖母を
思っていました
出来上がったエプロンを
娘は喜んでくれるかな
約束してからずいぶん
待たせてしまって
ごめんね
