ICC(国際刑事裁判所)は2024年5月20日にイスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフ、同国国防大臣のヨアヴ・ガラント、一方ガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスの最高指導者(ムフティ)のイスマーイール・ハニヤ師、軍事部門トップのムハンマド・デイフ、ガザ地区指導者のヤヒヤ・シンワルの5名について、逮捕状の発行を請求した。


 イスラエルのネタニヤフ首相とハマスの最高指導者ハニヤ師は共に抗議した。イスラエル支援国の米国の反応はバイデン大統領がICCへの抗議を検討、野党共和党の極右派はICCへの制裁まで主張した。


イスラエル首相 ベンジャミン・ネタニヤフ


イスラム武装組織ハマスのムフティ(最高指導者)ハニヤ師


 ICC(国際刑事裁判所)の決定は非常に不公平な物だと感じた。イスラエルの殺人鬼ネタニヤフ首相とガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスのムフティ(最高指導者)のハニヤ師の同時逮捕は結局の所イスラエルの極右軍国主義政権の主張を正当化しているだけに過ぎない。

 
 確かにガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスは市街地への無差別テロでイスラエル市民を殺害し何千人もの市民を拉致し人質にした。これは許される行動ではない。

 しかしその後のイスラエル政府の行動は正に常軌を逸した物だった。何百万もの人々が犇(ひし)めき合いながら暮らすガザ地区を軍隊で封鎖し人為的な飢餓を引き起こし多くのパレスチナ人を殺害した。

 イスラエル首相ネタニヤフは、「テロ組織ハマスを壊滅させる」という理由でガザ自治区全土を空爆、何万人ものパレスチナ人が空爆により命を落とした。

 更にイスラエル国防軍はガザ自治区の奥地ラファへ軍事侵攻し4月にガザ地区内部で武装組織ハマスの最高指導者ハニヤ師の家族を虐殺。その中にはハニヤ師の孫でまだ幼い子供も含まれていた。

イスラエル軍に殺害されたハマス最高指導者ハニヤ師の孫

 イスラエル国防軍はハニヤ師の家族に限らずラファ周辺住民を根絶やしにした。上空からは爆弾が、陸からは戦車や兵士が襲撃する中パレスチナの人々は逃げ惑うしかできない。今ガザ地区は血に飢えたイスラエル軍の侵略で地獄と化している。これでもICCは侵略者イスラエルと被害者ハマスを同罪と言うのか?今回のICCの判決を公平な物だと主張する人間もICCの判決をイスラエルの観点から批判する人間もハマスの攻撃が起きる前のイスラエル人の悪行の数々を知らないのだろう。元々このエルサレム周辺にはアラブ系のパレスチナ人しか住んでおらず英国の委任統治の下でパレスチナ人のフサイニー大統領を首班とする「全パレスチナ政府」がパレスチナ全土を支配していた。

 しかし終戦後にユダ王国の神話を信じた一部のユダヤ民族主義者が移民としてパレスチナに渡ってきて1946年それらの移民と米国の支援によりイスラエル国が建国された。この建国は国際連合の総会によって認められたが、少数のユダヤ移民にパレスチナ国土の大部分を与え多数を占めるパレスチナ人には少しの配分しかない不平等な物だった為パレスチナと同じアラブ民族の国とイスラエルは戦闘状態となった(第一次中東戦争)。

 これによりイスラエルはパレスチナ全土を制圧しパレスチナ政府を事実上併合し、パレスチナ自治区を設置した。

 パレスチナの多数を占めるパレスチナ人はこのパレスチナ自治区に押し込められた。しかしイスラエル国防軍はその狭い領土の自治すら認めずパレスチナ人を殺害しその土地をイスラエル人に分け与えた。イスラエルによる土地収奪によりパレスチナ人は更に多くの領土と資産を失った。自治区とは名ばかりだったのだ。そしてイスラエルはパレスチナ人から信仰さえも奪った!イスラム教徒が多数を占めるパレスチナでラマダーンと呼ばれるイスラームの祝日が祝われている中でイスラエルの極右市民は祝日で丸腰のパレスチナ人を銃で脅し暴行を振るった。イスラエルの警察や軍はイスラエル極右市民を全面的に擁護し逆に被害者のパレスチナ人を罪人として逮捕さた。パレスチナ自治区とは名ばかりの生き地獄の中でイスラム原理主義組織ハマスが台頭したのだ。諸悪の根源はイスラエルによるパレスチナ植民地化とそれを支えた米国にある!!逮捕状はハマスの最高指導者ではなくネタニヤフとバイデンとイスラエル極右派市民に送るべきだ。
イスラエル反戦反政府デモ