進撃の巨人 完結編 前編 第一章 地鳴らし

☆前のお話は
★Part 2 → 「The Final Season 第76話~第87話 あらすじまとめ」
★Part 1 → 「The Final Season 第60話~第75話 あらすじまとめ」
★1期 → 「進撃の巨人 第 1話~第25話」
★2期 → 「進撃の巨人 第26話~第37話」
★3期 → 「進撃の巨人 第38話~第59話」

「行ってらっしゃい。エレン」

「あれ...? ミカサ...」
「そろそろ帰ろう」
「何で...ここに...?」
「そんなに寝ぼけるまで熟睡してたの?」
「いや...なんかすっげー長い夢を見てた気がする...だけど何だっけ...思い出せねぇな...」

「エレン...どうして泣いてるの?」

「え...?」


「いいかハリル。これの在処を知ってるのは俺とお前だけだ」

「この袋いっぱいになるまで金を貯める。そしたらきっと、みんなでいい所に住めるようになるから」

「でもラムジー...これ以上続けたら...いつか左手も切られちゃうよ...もう、じいちゃんを悲しませちゃダメだよ...」
「でも誰かがやらなきゃ。みんなあのボロボロのテントから出られずに、冬を越せなかった人が毎年何人も死んでいく...だからハリル。俺が死んだら、この金をみんなに渡してくれ」
「ラムジー...」

「何だろう...? 街の人が...逃げてる?」




(あと、どれだけ先かわからないが...俺はこの人たちを皆殺しにする...近いうちにみんな死ぬ...いや...俺が殺すんだ...そうすると決まってる)

(きっとこの先もパラディ島が生き延びる道が見つからなかったんだろう...)

(何もかもがなくなる...家も...人も...動物も...人生も...夢も...)


(母さんは...どう思う? 死ぬべきは...俺たちエルディア人なんじゃないのか? 壁の王が自死の道を選んだように...少なくとも島と外じゃ死ぬ人の数が違い過ぎる。エルディア人が完全に死滅すれば巨人の問題がなくなるのも事実だ...そんな結末...納得できない!)

(この光景...未来の記憶で見たことがある。おそらく俺は...この少年を助ける...)
「このガキは異国の難民でスリの常習犯。つまりここで商売する俺たちにとっちゃ、こりゃ害虫駆除ってわけだ。あんたには関係ねぇよ。失せな」
「ああ、そうだな...」
(俺は何を考えている...いずれこの少年も殺すくせに...何を思い上がって...暴力の限りを尽くす俺が...正義を気取っていいわけないだろ...)

(未来は...変わらないらしい)

「ありがとう」
(俺も同じだったよライナー...半端なクソ野郎だ...いや違う...それ以下だ...)

「ごめん...ごめん...ごめん...」
「なんで...泣いてるの...?」

「ラムジー! ハリル! 早く! 来るんだ! ...」

「巨人が山を登ってるじゃないか!」
「もうダメだ...」
「逃げ場なんかどこにもないぞ!」

「ラムジー...僕たち...踏み潰されちゃうの?」
「そんなことない! 諦めちゃダメだ!」

「島を...エルディアを救うため...それだけじゃない...」


「お金が!」
「ハリル!」

「壁の外の現実は...俺が夢見た世界と違ってた...アルミンの本で見た世界と違ってた...壁の外で人類が生きていると知って...俺は...ガッカリした...」

「俺は...望んだんだ...すべて...消し去ってしまいたかった...ごめん...ごめん...」

「ごめんなさい...」






*ジークの祖父母
「あなた...来たのね...私たちの裁かれる日が...」




「生まれた時からずっと俺の目の前にはうっとおしい壁があった...炎の水。氷の大地。砂の雪原。それを見た者は...この世で一番の自由を手に入れた者」

「これが...自由だ! ついにたどり着いたぞ...この景色に...なあ、アルミン!」


「エレン...」

「もうケガは治ったの?」
「あれ...? アニ?」
「うん...時間があったから。まさかこんな、のんびり過ごすことになるなんて...思いもしなかったよ」
「座ったら...どう?」

「まだ...お礼を言ってないと思って...何年も私に話しかけてくれて...ありがとう」
「ああ...うん...」
「寂しくて気が狂いそうだったから、あんたとヒッチの話だけが楽しみだった...」
「アニ...」
「でも何で相槌のひとつも返さない岩なんかの相手して喋ってたの? もっと明るくて楽しい子とかいたでしょ?」
「それは...違うよ...」

「会いたかったからだ...アニに...」
「...何で?」
「えっ!? 本当にわからないの? ヒッチがあんなにからかってたのに...」

「わからない...」
*( *´艸`) 地獄絵図からのラブコメw
「本当に...何やってんだろ...今、世界中で何千何億の人が踏み潰されてる最中に...私たち...わかった。あんたが、いい人だから私みたいな敵にも話しかけてたんでしょ? エレンとの対話を諦めないのと同じ理由。いつ目を覚ますかわからない化け物の相手をすることも争いを避けるため...でしょ?」

「座りなよ。あと...前にも言ったけど、いい人って言い方がやっぱり嫌いだ。大勢の人を殺した。軍人じゃない人も...子供も...そして今、生まれ育った島のみんなを裏切る選択をして...仲間を殺した...」

「僕もとっくに化け物だよ。頭のどこかでいつか...エレンと一緒に未知の世界を旅するって約束...それが叶うと思ってたんだ」

「未知の世界はそんなにいいものじゃなかったでしょ?」
「うん...僕らが夢見た世界とは違ったよ...でも...」

「まだ...僕らが知らない壁の向こう側があるはずだと...信じたいんだ」


「静かですね」
「オディハの住人はもう南に逃げたのでしょう。船もすべて出払ってますから」

「では頼みます。アズマビトの皆さん」
「ええ。何としてでも飛行艇を空に揚げてみせます」
「ホロを剥がせ! 急げ!」

「クソっ! 爆薬が邪魔だ!」
「切り捨ててしまおう! 」

「待って! 何かに使えるかもしれない...飛行艇に積んでおこう」

「うわあああー!! そんなあああーっ!!」

「もう...みんな死んだんですか!? マガト隊長も! リベリオの俺の家族もみんな!」

「もう...地鳴らしはマーレ大陸の大半をのみ込んでいる」
「じゃあどうするんですか!? これから...どうしたら!? 俺たちだけで!?」
「ごめん...わからないの...」

「アニ。装備の確認をして。まだ新型の立体機動装置に慣れてないでしょ? ライナーとその辺りを飛んで慣らしてきて」

「...何で?」
「今できることをやるべき...なので」
「私は降りると伝えたはずだけど」
「飛行艇にも乗らないつもりなの?」
「悪いけど...乗らない。人類を救うとか...私には...よくわからない...むしろ私たちマーレのエルディア人はその人類から迫害を受けてきた。生まれた時からずっと...仮に今、地鳴らしが止まったとしてもマーレが滅んだ後じゃエルディア人を守る後ろ盾は何もない...」

「本当に悪いと思ってる。故郷を救うわずかな望みにすべてを懸ける彼らに対して...」

「でも...私はもう戦えない。最期の時間くらい...穏やかで...いたい」

「...」

「あっ...!」

「...いつの間に?」
「何が!?」
「そう...わかった...」
「何が!?」

「あなたはもう...辛い思いをしなくていい。でも...アルミンは私たちと飛行艇に乗りエレンのもとに向かう」
「わかってる...それで...あんたはどうしたいの? 人類を救うためにエレンを殺しに行くの?」
「殺さない。遠くに行ったエレンを連れ戻す。私はただそれだけ...」

「ところであんた...マフラーなくしたの?」
「持ってる」

「無茶ですよ! まだ寝てなきゃ!」
「まだ寝てろだと...? これ以上寝てたら、お前ら俺の存在を忘れちまうだろうが! それよか骨折の熱とかで寝込んでたクソ髭女の意識が戻った! エレンの行き先を吐かせるぞ!」


「世界連合艦隊がパラディ島制圧に乗り出すとすれば、このカルファ軍港に集結するはずです」

「レベリオ襲撃後1か月の猶予を与えて連合軍を終結させた後ジークと接触して始祖の巨人を手中に収め地鳴らしを限定的に発動。シガンシナ区の外壁分の巨人数百体で問題なく撃破できるはずです」

「攻撃目標はそれだけか? それで何十年もパラディ島に手出しされないのか?」


「艦隊を失った国は財政破綻に追い込まれます。主要国のすべてがそうなれば十分すぎる打撃となるでしょう」

「強いて言えばマーレ大陸南の山脈にある砦...飛行船の研究基地が少し気になります」

「おそらくそこが...エレンの第二攻撃目標」
「スラトア要塞...確かに少しでも始祖の巨人に攻撃できる兵器の存在を知っていれば...」
「カリファ軍港の次に向かうでしょう。飛行船を潰しに」

「えらく従順に答えたな」
「皆さんに頼みがあります...認めてください...ジークは敗れた...でも正しかった...二千年に及ぶエルディア人問題の解決策は安楽死計画しか無かったのです...この惨状を見ればおわかりでしょう...!」

「ああ。認めるよ。エレンに何の解決策も...希望や未来を示せなかった私の無力さを」

「船にあった燃料はこれで全部だ!」

「そこに置いといてくれ!」


「二人をお願いします。船で逃げれば安全...というわけでもありませんが、あの飛行艇に乗せるよりいい」
「もちろん構いませんが、あの子たちはよろしいのでしょうか?」

「船室に閉じ込めます。飛行艇が飛び立つまで出さないでください」

「あにたは?」
「死んだ仲間に報いなければなりません。戦士の務めを果たします」


「ハンジさーん! あと1時間ほどで離陸準備に入ります!」
「わかった!」

「聞いての通りだ。それぞれ装備の点検を行ってくれ」

「了解!」

「くっ...! 2本も指がありゃ十分だ...問題ねぇ」

「私だけ逃げることになるなんて...」
「気にしないで。あなたは最初からマーレに服従してなかった。今さら背負うものなんて何もないよ」

「ずっと...謝りたかった。お前とベルトルトに...すべてはあの日...俺が作戦を続行したことから始まった...あの日...もし引き返していたら...お前もベルトルトも故郷に帰って家族に会えたのに...謝ることすらおこがましく思える...」

「うん。何度殺そうとして思いとどまったかわからない」

「よく...我慢できたな」
「ふっ...」

「ガビとファルコを頼んだ」
「了解した」

「アニ!」
「アニ! 気をつけてな!」
「またね!」


「アルミン。これでよかったの?」
「あ...何が?」
「正直...頼りにしてたからな」
「でもアニはもう十分戦っただろ...」
「よかったよ...アニは...アニのままでいいんだから」

「君たちもこっちでいいの? 地鳴らしが止まったとして後のエルディア人の立場を考えたら...」
「悔しいけど...ハンジさん。あなたの言う通りマガト元帥は私たちに最後の司令を遺したんでしょう? 力を合わせて為すべき事を為せ...と」
「ピーク...」

「ぜひ今度、車力の巨人の背中に乗ってその体温を感じながら...」
「嫌です。何ですか急に気持ち悪い」

「相変わらず巨人とは片思いのままだな。クソメガネ」
「すぐに仲良くなるさ」
「ねぇ...リヴァイ。みんな見てるかな? 今の私たちを死んだ仲間に誇れるかな...」
「奴みてぇなこと...言ってんじゃねぇよ...」

「よし! 燃料の注入を開始してくれ!」
「了解です!」

「よかった...地鳴らしが来る前に何とかなりそうだ」
*うしろ...


「フロック...? まさか...船にしがみついてここまで...」

「ハンジさん! 燃料タンクに...穴が! これじゃ飛行できません!」
「まだだ! 穴を塞げば何とかなる! 」
「溶接の準備を!」
「どのぐらいかかります!?」
「ブリキで塞げば何とか...1時間で...」

「!」

「来た...地鳴らしが...来た!」

「行く...な...行か...ないで...くれ...島の...みんな...殺...される...俺たちの...悪魔...それだけ...希...望...」

「おい! フロック!」
「死んだよ...」
「確かに君の言う通りだよフロック...でも...諦められないんだ」

「今日はダメでも...いつの日にか...って」


「何で!? 開けて! 巨人がそこまで来てるんでしょ!?...」
「うるさい!」


「アルミン...何か手はないの?」
「もう...これしか無い。僕が残って足止めを...」
「お前はダメだ! エレンを止める切り札はお前しかいない! ここは俺が!」

「ダメに決まってるだろ。巨人の力はもう一切、消耗させるわけにはいかない」

「みんなをここまで率いてきたのは私だ。大勢の仲間を殺してまで進んできた。そのケジメをつける」

「アルミン・アルレルト。君を15代調査兵団団長に任命する。調査兵団団長に求められる資質は理解することを諦めない姿勢にある。君以上の適任はいない。みんなを頼んだよ」

「というわけだ。じゃあね、みんな。あー、リヴァイは君の下っ端だから、こき使ってやってくれ」


「おい、クソメガネ」
「わかるだろリヴァイ。ようやく来たって感じだ...私の番が」

「今...最高にカッコつけたい気分なんだよ。このまま行かせてくれ」


「心臓を捧げよ」

「ハハッ。君が言ってんの初めて聞いたよ」

「やっぱり巨人て素晴らしいな...」



「もうそこまで来てる!」
「燃料はここまでだ! エンジンをかけろ! 機体を前に押すんだ!」







「じゃあな...ハンジ...」

「見ててくれ」

「あ...」

「飛行艇は?」

「飛び立ったよ」
「え...?」
「ハンジ。お前は役目を果たした」
「エルヴィン...みんな...」

「...そうか...」
*モブリット...

「まったく...団長なんかに任命されて大変だったよ。エレンのバカがさぁ」
*サシャ...
「あぁ。大変だったな。ゆっくり聞くよ」
「うん...」
