夏目友人帳 陸 第4話 「違える瞳」



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☆前のお話は → 第3話 「二体さま」

★5期はこちら →「夏目友人帳 伍

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(12時) 護符だらけの部屋にいる男性。そろそろ時間だと出かけた。

夏目はニャンコ先生と名取が出演している映画『きらめき探偵』を観に。

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夏目:『おもしろいけど知り合いが出ていると気が散るな...』

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夏目:『本当にみんなには見えないんだな。あのヤモリ。見えるだけの俺と違って複雑な事情が重なっている名取さんは多分、妖怪のことを憎んでいる』

映画鑑賞終了。

先生:「いや~笑った笑った~」
夏目:「笑うところなんかなかったぞ、先生」
先生:「相変わらず奇妙なオーラ出しまくってたな」

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外に出ると雨が降っていた。まずい、傘がない。走ればなんとかなるか。ニャンコ先生はそこのカフェでケーキでも食べていくぞと言ったが夏目は何か気配を感じた。誰か知り合いが立っていたような気がしたが気のせいだったか。ニャンコ先生が足元だなと言った。

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名取の紙人形が落ちていた。

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滲んでほとんど読めないが『桜洗塚 十四時』と書かれていた。

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今日のことかわからないけど行ってみるかと夏目が言うと、お前宛てとは限らんのだぞとニャンコ先生(また食ってるしw)

夏目:「そうだけど、もし緊急のものだったり、名取さんの身に何かあって助けを呼ぶためのものだったら...」

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夏目が桜洗塚のあたりに到着すると雨は本降りになっていた。このあたりらしいけど、閑静な住宅地というか、お金持ちの家ばかりで傘を売っているところもなさそうだ。

夏目:『やっぱり俺宛てではなかったようだ。たぶん祓い屋の仕事の...』

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傘をさした女性が来て夏目に大丈夫かと声をかけた。

「さっきからこのあたりをうろうろしているのが見えたけど、この近くにご用? ひょっとして迷子?」

傘を忘れたのでお店を探していたら道がわからなくなってと夏目。ニャンコ先生がくしゃみをした。

「あら大変、私の家そこなんです。ビニール傘いっぱいあるから貰って行ってください」
「え...ちょっと...」
「さあ早く。そのスコティッシュちゃんを拭いてあげないと風邪ひいちゃうわ」

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タオルを取ってくるから入って待っててくださいねと家に駆け込む女性に、お嬢様いけません。そのようにバタバタととお手伝いさん。夏目がおじぎをすると、まったく~と行ってしまった。

先生:「う~ん、何か妙だな。この家は気持ちが悪い」

女性がタオルを持ってきて、これで遠慮なくスコちゃん拭いてあげてねと言った。夏目がニャンコ先生を拭いていると、君、何か少し気配が不思議ねと言った。そのとき頭上で何か音がした。

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「最近、何か屋根の上に落ちてくるような音がして...」
「石か何かが当たったような」
「そうなんです。それで最初は鳥が石を落としたり近所の子がイタズラで投げているのかと思っていたんだけど、深夜にもこの音がすることがあって気になって仕方ないんです」

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「あの、よかったら梯子を押さえていてもらえません? 雨が上がったら。あ、おかしなこと頼んでごめんなさい。でも怖くて、何が起こっているのか確かめないと。家族が心配で...」

それならタオルのお礼に俺が見てきますよと夏目が言うと、いえ、これは他の人には頼めないんですと言った。が、梯子を持って来たが高いところが苦手で全然上れない。

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夏目が梯子を上って屋根の上の様子を見る。石がけっこう落ちていた。

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手に取ってみると石には顔があって動いていた。

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急に強い風が吹いて夏目は屋根の上から飛ばされた。

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名取:「やれやれ、何やってるんだい」

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夏目:「名取さん!」
名取:「やあ、久しぶり」
月子:「周一さん。私がこの子に無理を頼んでしまって。でもよかった。来てくださったんですね」

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柊:「夏目、大丈夫か」

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瓜姫:「相変わらず、どんくさいガキだ」
笹後:「しかし役立たずの猫ダルマなどさっさと捨てればよいものを」

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さては風を吹かせたのもお前らの仕業かとニャンコ先生が言うと、いくら気に入らないガキだからとそこまで陰湿なことするかと笹後が言いケンカになった。夏目がやめろと止めていると、あなたも妖怪が見えるの?と月子。それでちょっと気配が変わっていたのねと言った。

夏目:「ひょっとして、あなたも?」
月子:「私は見えないんです。見えていたのは父。祓い屋をやっていたのですが、最近見えなくなって廃業したんです」

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夏目が紙人形を渡して桜洗塚と書いてあったのでと言うと、心配になって来てくれたのか、ありがとうと名取は言った。月子から家で異変が起こっているから相談したいと連絡をもらい今日訪問する予定だった。その前に一度外で会って様子を聞こうとしたが雨で紙人形が落ちてしまったようだ。

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名取:「そういえば、タクマさんは?」
月子:「父にはお芝居をすすめて今出かけています。家で起こっていることにまだ父はあまり気づいていないみたいで。父を傷つけたくなくて、何が起こっているかはっきりわかってから話をしようと思って。ダメですね。何か少しでもおかしなことがあると、妖怪が仕返しに来てるんじゃないかって不安になるんです。だから周一さんに妖怪の仕業か私の思い過ごしか見てもらおうと思ったんです」

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月子:「それで、屋根の上はどうでした? ただの石でした?」
夏目:「それは...」
名取:「残念ながら妖怪の仕業のようですね。この子を襲った風も。人に害をなすタイプの妖怪が入り込んでいるようです」
月子:「そうですか。父は人を守るためとはいえ多くの妖怪を祓いました。恨まれることも多かったかもしれません。周一さん、調査をお願いできますか」
名取:「ええ、もちろん」

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夏目:『名取さんに妖怪について習いたいという気持ちが出て来る一方、彼らにふれればふれるほど友人帳を預かる身で祓い屋に近づくべきではないという気持ちも強くなる』

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夏目:『友人帳が大事になればなるほど重くなる』

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家で月子に詳しい話を聞くことになった。名取の式たちは外を見回りに行く。名取は夏目を駅まで送って行くと言ったが夏目はよかったらこのまま一緒にいていいですかと言った。無理しなくていいんだよ。夏目が祓い屋の手伝いなんてすることないんだと名取。

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夏目:「祓い屋だからじゃなくて名取さんだからだと思います。やっぱり友人のことは心配なんです。力になりたいんです。それに妖怪について知りたいという打算もちょっとはあるんですが」
名取:「正直だね。夏目は」

夏目:『正直...もし名取さんに正直に友人帳について話したらどんな顔をされるだろうか。多くの妖を操り命を預かる友人帳。宝物だと多軌のように笑ってくれるだろうか。それとも...』

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台所にお茶を入れに行った月子が急須を落として割ってしまった。何か嫌な視線を感じたような気がしたらしい。あらあらお嬢様とやって来たお手伝いさんに夏目が雑巾と箒ありますかと聞くと、はい、こちらにと言った。夏目はお手伝いさんと一緒に行く。

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月子:「ごめんなさい、周一さん。私が見えたら、私が父を守れるのに」
名取:「そういう人のために祓い屋がいるんですよ」

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名取:「タクマさんも、そういう人を守りたくて仕事をしていたんでしょう」

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夏目はお手伝いさんと別室に。

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ニャンコ先生はカステラ食べちゃったwww

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名取:「夏目、箒はあったかい? 」
名取:「夏目とお手伝いさん遅いですね」
月子:「え? お手伝いさんって...うちは父と私の二人暮らしですよ」

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見えるなんて妙なのが来たと思ったら祓い屋の仲間かい。邪魔するやつはお前も名取の若造も許さないよと妖怪は言った。

妖怪:「おや、どこかで見た顔だね。それに何かを持ってるね。この気配、ひょっとして...ああ、お前が噂に聞く友人帳の夏目か...」

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そこに名取が来た。祓い屋の小僧か。今の聞いたかい? と妖怪が言うと、いや、何の話だ。気になるなと名取。誰が話してやるもんか。半端者の祓い屋風情にと妖怪は言い、夏目のパンチをかわすと、何しろ早く出て行くことだな。邪魔するものは許さないと言って消えた。深追いしては危ないと名取。夏目に客間に戻ろうと言った。

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夏目:『本当に、本当に名取さんには聞こえなかったんだろうか』
夏目:「名取さん...」
名取:「夏目、いいんだよ。夏目はいつも気持ちを真っ直ぐに話してくれる。だから夏目が私には話せないと心のどこかで判断していることを心が決まる前に話す必要はないんだ」

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夏目:『友人帳はそこに名を連ねた妖たちの命を握っているに等しいもの。彼らがいつか言ったように人にその存在自体、知られるべきではないものなんだ。そのことを優しいからと祓い屋である名取さんに話してしまうのは妖たちへの裏切りのような気がした。そしてなぜだろう。名取さんは優しいから話してはいけない気がした』

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やはりこの家に妖怪が潜り込んでいるようなので強い結界を張って効かなければ封じてしまうのがいいでしょうと月子に話す名取。父に恨みのある者かと聞かれて屋根にあった顔のような石を呪詛の一種に似たようなものがあってと名取が話すと月子は青くなった。

でもあの妖怪、何か違和感ありませんでしたかと夏目が言うと、そうだね、確かにと名取。気のせいかもしれないがあの妖怪は見覚えがある気がする。本当はもっと心当たりがあるのではと言われて月子は話した。

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月子:「父は仕事についてあまり話してくれなかったから詳しいことはわかりません。でも見えなくなって祓い屋を辞めたあと父の部屋の前を通ったとき『どうかもう帰ってくれ。あるべきところへ帰ってくれ』と気丈にふるまい続けた父が顔を覆って呟いていたんです。声をかけることはできなかったんですが、そのことはずっと気になっていて...もしかしてそれが...私もほんとうに気になっていたんです。父が突然見えなくなったとき、父の従えていた式たちはいったいどうなってしまったんでしょう」

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 柊:「家のまわりに何か陰湿な気配が行き来している」
笹後:「呪詛が完成しつつあるのか。とにかく早く終わらせて面倒になる前に帰るぞ。あの小僧に主様が関わるとろくなことがない」
 柊:「そうだろうか」

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名取:「あの妖怪は元式か。妖力がなくなったタクマさんに解約の儀は行えず自由になれなくなった式がこの家のまわりを彷徨っているのか」

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名取:「その手の式が自由になるのに一番手っ取り早い方法は...」
先生:「契約主がこの世から去ることだな」
名取:「大体の契約は主の死をもって終了というのが多い」
夏目:「じゃあ名取さんは元式が自由になるためにこの家に災いを招こうとしていると? 本当にそうでしょうか。俺は少し違う気がします」
名取:「また希望論かい」
夏目:「違いますよ。だってそうでしょう。さっきの妖怪は...」

頭上で足音がした。夏目は柊たちかと思ったが、うちのはこういう音は立てないなと名取。

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名取:「タクマヨウスケさんは優秀な祓い屋で確か三匹の式を従えていたと聞く。あまり連れ歩く人ではなかったから私もさっきの式を一二度見かけた程度だな」
夏目:「三匹か。式って契約とか大変なんですね」
名取:「血縁者や妖力の強い者が引き継いだり契約したりできることもあるけど、まあ色々難しいのさ」
夏目:「(友人帳からの解放も血縁の俺にしか...) 約束なんて迂闊にするもんじゃありませんね」
名取:「ハハ、なんだい、何か心当たりでも?」
夏目:「いえ...」

さっきの音が気になるので手分けして調べることにした。

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先生:「それにしても、タクマという祓い屋はわからんな。どうでもいいところに強力な護符を貼ったりしている」
夏目:「先生は大丈夫か?」
先生:「私ほどの者になれば我慢できぬこともない。が、気持ちのいいものではないな」

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夏目:「名取さんは元式が自由になるために災いを呼ぼうとしていると言ってたけど、少なくともあの妖がそうだとは思えないんだ」
先生:「なぜだ?」
夏目:「違和感があるって言っただろ。あれがもしタクマさんの元式だったとして、もうこの家には自分の姿を見る者はいなくなったわけだろ。それなのに...」

『それなのに、まるでお手伝いさんみたいに...まるでこの家の一員かのように...』

夏目:「あの妖には、この家への情があると思うんだ。あの人はこの家で何が起こっているかわかっているんじゃないかな。俺が見えるとわかって何か伝えようとしたけど...」

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(・_・) :「見える」

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☆次回 「縛られしもの」

【オマケ】
ニャンコ先生がスコティッシュってwww あ、それより大変だ。夏目が持ってかれる~ 祓い屋絡みだと二話になること多いね。話は続くので、オマケ補足・タクマさん。最初は誰だかわからなかったけど、タクマさんは名取にとって大切な人で、5期にも登場しています。
→ 夏目友人帳 伍 第8話 歪みなき世界

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5期8話より、高校生の名取周一くんと払い屋だった頃のタクマさん。これは高校生の名取と的場静司のお話です。タクマさんのお嬢さんはチラっと登場していて私の記事には画像も載せなかったし名前もわからなかったけど、おっ、カワイイとか思った。

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こちら少女・月子ちゃん。

そういえば、名取さんの伊達メガネもタクマさんの影響だよね。

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