暗殺教室2 #12 空間の時間



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数学テスト最終問題。生徒の半数はここまですら来れなかった。残り半数もほとんどが時間ギリギリで最後まで解ける余力はすでにない。残り時間で満点を出せる可能性を残していたのはカルマと浅野だけだった。

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カルマは、渚が、同じ人間なのにどうしてここまで差がつくんだろう。やっぱカルマくんは才能が違うねとよく言っていたことを思い出した。よく言うよ、俺に言わせりゃ本物の天才はどっちだって話。

要するに人間はみんな他人の見えない部分を才能と呼ぶんだ。杉野みたく、あっさり人の輪に入っていけるやつ。奥田さんみたく、好きなことにはバカみたいに没頭できるやつ。寺坂みたく、何にも考えないで動けるやつ。どれも俺から見りゃ才能だ。どんなやつにも俺には見えない才能の領域があって、そういう意味じゃみんな同じなんだ。で、問題は、俺の才能でこの問題が見えるかだけど。これ絶対に時間たりないとカルマは思った。

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浅野は、余計な言葉に惑わされてはいけないと思った。問題の要点はいたってシンプル。敵に囲まれたこの箱の中で自分の領域の体積を求めるんだ。立方体の中を8体の敵に囲まれている。つまり封印エリア8個分の体積を求め立方体から排除した残りが僕の領域だ。この空間を完璧に把握すれば正解となる。

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空間の支配。僕にぴったりのテーマじゃないかと浅野は思った。親とは違う支配者の形。今の父は自らの合理教育が正しいのを証明するのにとりつかれている。それは人を壊しこそすれ育てはしない。僕が間違いを正し説教してやる。支配することが僕の親孝行だ。見えた。封印1個の体積は三角錐3つと六角錐ひとつの集合体だ。浅野は問題を解きはじめた。

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問題を読んでいたカルマは、待てよコレ難しい計算は何もいらなくね? と思った。狭い立方体で区切っていたけど、原子が作る結晶ということは外にもずっと同じ構造があるってことだ。つまり世界はここで終わりじゃない。そして俺から見ればみんなが自分の才能や領域を持っていて、それはみんなも同じ。俺が箱から見ているのはみんなのかけらにすぎないんだ。

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俺がめいっぱい自分の領域を主張したら他のみんなも同じように主張する。みんな同じ大きさで同じ間隔。それをひとつの箱に切り出すということは、8つの箱に同じ比率で分かれるということだから、みんなのかけらは、ひとりにつき8分の1になる。つまりこの立方体の中で俺と他の8人の比は必ず1対1。おれが主張できる領域は立方体の半分まで。

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なんだ、小学生でもわかるじゃん。長々と計算しなくていい。複雑な図形を考えなくていい。ただ、自分の外に世界があるって気づけたら。

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浅野はあと1行で時間切れ。わかっていたのにと悔しがった。

こうして怒涛のような期末テストは終わった。

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テストの答案が返される。君たちの2本目の刃はターゲットに届いたでしょうかと殺せんせー。総合順位も発表される。

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二学期期末テスト・トップ50、E組のビリの寺坂が46位。全員が50位以内に入った。上位争いも五英傑を引きずり下してほぼ完勝。そして1位は初のカルマ。

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高レベルの戦場で狙って1位を取った気分はと殺せんせーに聞かれたカルマは、別にって感じと言いながら顔を赤くした。完璧を誇った浅野くんとの勝敗は数学の最終問題で分かれましたねと殺せんせーに言われて、なんかよくわからないけど、みんなと1年すごしてなきゃ解けなかった気がする。そんな問題だったよと言った。

ここまで長かった。暗殺の次に達成したい悲願だったし。本当にA組に勝ったんだね。みんな志望校に行けるのでは。これで女の子にモテモテか。などと喜ぶE組の生徒たち。ちなみにA組はテスト前半の教科は絶好調だったが後半の教科になるにつれ難関問題で引っかかる生徒が増えたようだと殺せんせーは言った。

殺意ってそんなに長く続かないよと中村。日頃から暗殺訓練をしていても1日ずっと殺す気でいるのは大変だもんと言った。一夜漬けの殺意じゃなくて、時間をかけてじっくり育てるべきだよ。

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あそこまでやったのに負けるなんてと落胆する五英傑の仲間に浅野は君たちの勉強じゃ勝てなかった。それだけのことだと言った。斯く言う僕も君たちに誇れる成績を取れなかった。このくやしさは絶対未来に生かす。高校に行っても僕が勝ち、君たちも勝たせる手段を探し続ける。だから、君たちも僕を支えてくれ。

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君は生死をかけた勝負のあとでも同じことが言えるのかと理事長。人生は常にわからないものだ。その戦いが負けたら死ぬ勝負かどうかは戦いが終わって初めてわかる。だから君たちは勝ち続けなければならなかった。私はそれを君たちに教える義務がある。卒業まで徹底して脳みそを改造しようと言う理事長に、五英傑の4人が言った。

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はっきりわかりました。今のやり方では僕たちはE組に勝てません。E組や浅野くんは負けを経て強くなった。僕らの強さは、彼らが持つしなやかな強さにかないません。力およばず申しわけありませんと全員が頭を下げる。お気に召さなければどうぞE組に落としてください。そっちのほうが僕たちは成長できる気がします。

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理事長、これが答えですと言う浅野を理事長は殴り飛ばした。誤作動でも起こしたような顔をしているね。やっと父親らしいあんたを見れたような気がするよと殴られた浅野は言った。失礼しますと理事長を置いて生徒たちは教室を出て行った。

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晴れて全員、E組を抜ける資格を得たが、この山から出たい人はいますかと殺せんせー。いないに決まってんだろと生徒たち。2本目の刃は持てたしここからが本番でしょう。こんなに殺しやすい環境は他にないしね。今回の褒美に先生の弱点を教えると殺せんせーが話していると大きな音がした。

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校舎の取り壊しが始まっていた。退出の準備をしてくださいと理事長。今朝の理事会で決定した。この旧校舎は今日をもって取り壊す。君たちには来年開校する系列学校の新校舎に移ってもらい卒業まで校舎の性能試験に協力してもらう。監視システムや脱出防止システムなど刑務所を参考に牢獄のような環境で勉強できる。私の教育理論の完成形だと話す理事長に、移るのは嫌だ、この校舎で卒業したいと生徒たちは言った。

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どこまでも己の教育を貫くつもりですねと殺せんせー。勘違いなさらずに。私の教育にあなたは用済みだ。今ここで私があなたを殺します。理事長はそう言うと解雇通知書を見せた。うろたえる殺せんせー。

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これは標的を操る道具にすぎないと理事長。私の教育に不要となったので私はあなたを暗殺しに来たのです。確かにあんたは超人的だけど、思いつきでやれるほどうちのタコは甘くないよとカルマ。理事長は中で仕事をしてくるから取り壊しを一時中断するようにと告げた。

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いきなり解雇通知とは何を考えているんだ。烏間先生とビッチ先生も来た。この教室を守りたければ私とギャンブルをしてもらいますと理事長。5教科の問題集と5つの手りゅう弾が用意される。4つは対先生手りゅう弾、残りひとつは対人用の本物の手りゅう弾。どれも見た目やにおいでは区別がつかずピンを抜いてレバーが起きた瞬間に爆発する。

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ピンを抜き、問題集の適当なページにレバーを起こさないようにはさみ、これを開きページ右上の問題を1問解いてください。ほぼ確実に爆発をくらうが解けるまでは動いてはいけない。殺せんせーが先に4冊解いて残りを理事長が解く。このギャンブルで私を殺すかギブアップさせられれば、あなたとE組がここに残るのを認めましょうと理事長は言った。

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殺せんせーが勝てる確率はと聞かれた寺坂が答える。あんたを殺すには5冊目まで本物の爆弾を残しておかないといけないから5分の1で20%だと答えた。しかもタコが4回も殺す爆弾を受け続けなきゃいけないのに、てめえは危なくなったらギブアップして無傷。圧倒的に不公平だろうがと言う寺坂に理事長は、社会に出たらこんな理不尽の連続だよ。強者と弱者の間では特にねと言った。

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だから私は君たちにも強者になれと教えてきた。チャレンジしますか、これはあなたの教職に対する本気度を見る試験でもあると言われた殺せんせーは、もちろんやりましょうと言った。

クビをちらつかせあからさまに有利なギャンブルを仕掛ける。計算上では今までのどの暗殺より確率が高い。強者という立場こそが最強の刃。これが理事長の暗殺。

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問題集を開けた瞬間に解いて閉じれば爆発はしない。あなたのスピードなら簡単かもしれませんねと笑う理事長。もちろんですよと言った殺せんせーだが、すっかりテンパっていて1冊目は解けずに爆発。知恵の輪でテンパったときの反応や思考速度は把握していると理事長。対殺せんせー弾で触手が破壊された。

まずは1ヒット。あと3回たえられればあなたの勝ちです。回復する前にさっさと次を解いてくださいと理事長。あと3発たえられるダメージじゃない、こんな単純な方法でやれらちまうのかと生徒たち。弱者は暗殺でしか強者を殺せないが、強者は好きなときに好きなように弱者を殺せる。

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この心理を教える仕組みを全国にばらまく。防衛省から得た金とあなたを殺した賞金があれば全国に我が系列校を作れるでしょう。さあ殺せんせー、私の教育の礎となってください。

☆次回 生かす時間

【感想】
期末テスト、カルマくんも他のE組のみんなもお見事でした。浅野くんやA組の生徒たちも負けて学んだようでよかったです。と、理事長、今度は自ら暗殺ですか。圧倒的に自分に有利な条件で。それにしても殺せんせーはテンパりすぎだろ。次回は理事長の過去が明かされるようで楽しみです。