僕だけがいない街 第10話 歓喜

★前のお話は→ 第1話~第9話 あらすじまとめ

オリジナルの人生の1988年。
加代とヒロミと中西彩が失踪し死体となって発見された。誰も救えなかった自分を責めた。俺は忘れようと努めた。そして残ったものは、胸の中にポッカリとあいた穴だった。卒業式の後、八代先生は言った。
「楽しい事、悲しい事、成功も失敗もいっぱいあったね。小学校は今日で卒業だけど、みんなまだまだ足りない事だらけだ。それはこの僕もだ。だけどその足りない何かを埋めていくのが人生なんだと僕は考える」

悟はケンヤとヒロミと一緒に公園でひとり本を読んでいる中西彩に声をかけた。誰さと言われて3人はそれぞれ名乗った。ピアノ上手なんだってねと悟が言うと、ピアノ教室で会ったっけと彩。いや、そういうことじゃなくてと悟。その本なに読んでるのとケンヤが聞くとシェイクスピアのリア王だった。ロミオとジュリエットしか読んだことないとケンヤ。ピアノもシェイクスピアも親がすすめるからさと彩は言った。

なんか見覚えあると思ったら、いつも川の向こうの建物に忍び込んでる子たちだべと彩。アジトはこっちからは丸見えだった。アジトと聞いて子どもっぽいと彩。ケンヤが子どもっぽいに反応して怒る。どうせヒーローごっこでしょと言われて今度は悟がヒーローをバカにするなと大声を上げた。

もう時間だからと帰って行く彩。カズとオサムは隠れて様子を見ていたが、カズは待てと彩の前に飛び出し、アジトは男のロマンだと言った。暇ならアジトに来てみろ。そうすりゃわかる。変な人たちと言うと彩は走って帰った。


翌日みんなでアジトへ。18年前に置き忘れた手袋があった。そろそろ中西さんが公園に来る時間だよとヒロミ。アジトの窓から見えるから大丈夫と悟は答えた。昨日はしくじったな。どうやって近づけばいいんだろうと悟が考えていると、いきなりドアが開いて彩が入って来た。暇だから来てみたわと彩。カズが俺たちのアジトへようこそと言った。

放課後、急いで帰り支度をするカズに今日も彩ちゃんのとこかと悟。後で一緒にアジトに行くわと言うと一足先に帰った。あのふたりがくっつくなんて不思議だねとヒロミ。中西彩の件はこれで一件落着てことだなとケンヤが言った。

ヒロミが悟とケンヤにありがとうと言った。ひとりぼっちの時間をなくすって凄くいいことだと思うとヒロミ。僕の家も両親が共働きで帰ってもいつもひとりだったからよくわかる。僕にもそうしてくれたし、加代ちゃんや彩ちゃんのときも誘ってくれて嬉しかったとヒロミは言った。

彩も一緒に6人でアジトで過ごす。中西彩、杉田広美、そして雛月加代。殺されるはずだった3人はあいつのターゲットから外れているに違いない。だけど手がかりを失った今、あいつを見つけ出せるだろうか。探偵ごっこはこれで終わるつもりかとケンヤに聞かれた悟は、もちろん、まだ終わってたまるかと答えた。

2006年でお袋は澤田さんに真犯人が誰だかわかったと言った。おそらく1988年の時点でお袋が知っている人間だ。先生のアメの話じゃないがターゲットを失ったあいつは新たな代償行為を求めているに違いない。

ケンヤとオサムは浜田が出るアイスホッケーの試合を見に行くと言って帰る。遅れて出て来たヒロミが柳原さん(美里)が最近ひとりなの知ってたかと悟に聞く。あの給食費のことがあってから、みんなから浮いちゃっているみたいと聞いて、月曜日にでも声をかけてみるよと悟は言った。

3月15日(火) 朝、家を出る時に今日はちょっと遅くなるかもと悟。いいけど帰る時間がわかったら電話ちょうだいと母は言った。放課後、何て声をかけようかと悩んでいると美里はひとりバスに乗って行ってしまった。たぶん若葉体育館だよ。八代先生が浜田くんの応援に誘ったって言っていたからとヒロミ。そういえば先週もひとりで試合を見てたよとオサムも言った。

俺たちも行こうかと言われたが、様子見だし俺ひとりのほうがいいなと悟。探偵ごっこの続きなら明日ちゃんと報告しろよとケンヤ。なんかあったらアジトに来いよとカズが言った。したっけ~とみんなに手を振って帰る悟。毎日大げさだね、どうせ明日も会うのにとヒロミとケンヤ。


体育館に着くとクラスの子たちが浜田を応援に来ていて、八代先生は白鳥食品の弁当を用意していた。美里はひとり離れた席で何か飲んでいた。選手のウォーミングアップが始まる。

それにしても二人いっぺんにターゲットを失ったあいつには、おあつらえ向きの標的と悟が思っていると美里が席を立った。後をつけるとトイレだった。だが試合5分前になっても美里は出て来ない。悟がトイレをのぞいているとアメをなめながら八代先生が来て、ちょっと一服だと言った。

どうした、もう試合はじまるぞ、そこで何をしているんだと八代先生。ちょっと美里に用があってと言うと、ドアを開けて外を見た。美里は外に出て行ったのかと聞くと、うんと八代先生は言った。まだ試合前だぞ。

外を見るとユウキさんの家、白鳥食品の車が走って行くのが見えた。悟は八代先生に急いで確かめたいことがあるから協力してと言った。

八代先生の車で白鳥食品の車の後を追う。悟の話が本当なら事件だぞと八代先生。悟は、僕らは探偵ごっこと呼んでいるけど、誘拐犯がいるという設定で、ひとりぼっちの女の子に声をかけて仲間にしている。誘拐事件の予防策のつもりでもあるんだけどと言った。

結果的にごっこでもかまわないさと八代先生。悟のシートベルトをこのところ調子が悪くてと止めてくれた。ヒロミに聞くまで美里がひとりぼっちだと気づかなかった言う悟に、それでもお前の精神と行動力には敬意すら感じるよと言った。今回は結果的に美里をおとりみたいにしちゃったと悟が言うと、けっこう本格的じゃないか。最近友好的に人と接するようになったのはそんな裏があったのかと言った。

心の中にあいている穴を埋めたいと思ったんだ。人のも自分のもと言って、八代の受け売りだった、いけねえと思う悟。気が合うな悟、それは僕の人生哲学そのものだ。6年生を担当したら卒業式の日にその話をするくらいだと八代先生。美里をおとり扱いしたことに罪悪感を感じたり恥じたりする必要はないと言った。

善行も悪行も本質は同じ。人が自らの欠陥を補うための行いにすぎないと言う八代先生。極端な考え方だなと悟は思った。僕も最近ある人に近づくためにあらゆる手段をこうじたよ。時にはストレート、時には変化球、反則技も使ってみた。楽しかったなあと言う八代先生に恋人かと悟が聞くと、確かに恋愛に似ているけどなと笑った。

心の穴を埋めるという点では同じかと八代先生。癖の指トントンがまた出たのを見て、悟がアメ取ろうかとグローブボックスを開けたがアメは入っていなかった。車はトンネルに入る。ありがとう悟、でもアメは入ってないんだ。だってこれ僕の車じゃないんだと八代先生は言った。

(以下、八代先生は八代で)
一番しあわせな瞬間て、どんどん更新されていくものだと思わないか。僕は今日それが更新されたよ。心の中の足りない何かを埋められた時こそが最高の瞬間だ。探し物を見つけた時、そしてそれを手に入れた時。困難であればあるほど乗り切った時の幸せの度合いは大きいものさ。

何いってんだ。何の話をと悟がアメが入っていなかったグローブボックスを見ると下剤が入っていた。君は嘘をついているねと八代。誘拐犯がいる設定と言ったけど君は誘拐犯がいると確信して行動している。受け入れるには抵抗があった。信じられなかった。いや信じたくなかったんだ。車がトンネルを抜けた。
僕の思考を先読みするような存在を。八代は白鳥食品の車と違う道にハンドルを切り、心配するな、あの車に美里は乗っていない。乗っているのは白鳥潤の親父さんだけさと笑った。

中西彩を尾行していた君を見かけたあの日までまったく気づかなかった。君たちを車で送った日は計画を実行に移す日だった。なのに笑っちゃうよな、僕の獲物を横取りしようとする君の相談に真面目に答えていたんだから。八代は続けた。
君に計画を阻止されたのは二度目。偶然じゃないかもという疑念が湧いた。そこで仲間から浮いていた美里にホッケーの観戦をすすめてその情報をヒロミに伝えてみた。君が来れば疑念は確信に変わる。君が敵だとね。時間をみはからって美里に下剤の入ったドリンクを飲ませ、白鳥の弁当を注文しておいた。

嘘だ、嘘だ~
すべてのピースが計画通りうまくはまったよ。これこそ僕本来の姿だと八代。この車はさっき拝借してきたと言った。バカだな俺と悟は思った。

もともと明白だった。ただ俺が受け入れられなかっただけだ。澤田さんの容疑者リストにも八代学の名前はあった。ただ同時にお袋の名前もあったことでリストの持つ意味が俺の中で軽くなっていた。俺は八代を信頼するあまりに疑惑の対象から排除しようとしていた。

だけどあいつは、今、目の前にいる八代だ。
(ワンパクキャンプ場まで1.5kmの看板)

八代が車をとめて窓を開けた。雪が降り始めていた。悟は降りようとしたがシートベルトは外れなかった。それ外れないよ、ゲームオーバーだよ君も僕もと八代は言った。



家では佐知子が悟の帰りを待っていた。ケンヤたちはそれぞれ家に帰り、加代は祖母が待つ家に帰った。

いまだに信じられないと八代。この僕の計画をことごとく先回りして潰した。ここまで追い詰められるなんて正直しびれた。君はまるで未来でも見てきたようだ。僕も目覚めが悪くならないようにいちおう言っておく。これからすることは計画を邪魔した君への復讐なんかじゃないんだ。欲望が満たされなかったことの代償行為だと思ってほしい。八代はバッグからバスケットボールを出した。

お前もゲームオーバーだったんじゃなかったのかよと悟。八代は君が手にするのはこの街の平和だ。君が望んだものそのものだろうと言った。僕が手にするのは、僕の手による、僕のためだけにある死だ。

お前の破滅をこの目で見るまで死んでたまるかと悟。それは高望みってもんだと八代は言うとアクセルペダルにボールをはさんで車を発進させ自分は車から離れた。


車は川に落ちる。水が入ってきた。僕はこの街を去ることにしたんだよと言うと八代は去った。八代、俺はお前の未来を知ってるぞ。冷たい水が車内に入ってくる。車から出られない悟。ヤバイ。




母さん、見上げるとよく目が合ったな。みんな、加代、愛梨...
【感想】
ついに正体を現しましたね。真犯人。まあ原作を読んでいるから知っていたけど、ネタバレしたくないから八代先生のことはなるべくふれないできたけどw けっこうバレバレだったかな。悟は父親と重ねて見ていたりしたから、かなりショックだったろうね。
それより悟は無事なんだろうか。この状況だと指紋とか残していなくても犯人はわかってしまうと思うんだけど、どうなんだろう。
もともと原作を知っているから選んでいるので、アニメはオリジナル展開でも省略しても気にならないけど、今回はちょっと削りすぎの感は否めないな。思ったよりハラハラドキドキしなかったような。残り2回。どうまとめてくるのか楽しみにしたいと思う。
・今回は犯人もわかったことだし、おまけはナシでw