ヤマノススメ セカンドシーズン
二十三合目 「約束」
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谷川岳肩ノ小屋に到着したあおいたち。雨は降り続いていた。晴れてくれないと、ひなたとの約束が叶わないと心配するあおい。遅れてほのかが小屋に到着。トマの耳まで行って来たと言った。あおいが、いい写真とれたかと聞くと、雨が降ってたから景色はあまり見えなかったけど、花とか岩とか撮ったとほのかは言った。

写真っていいよねとかえで。でもカメラには別の使い方もあるんだよと言うと、ほのかのカメラを持って山小屋のご主人に写真を撮ってもらえますかと言った。みんなで記念撮影。突然のことに驚いたほのかだが、人はあまり撮らないから新鮮だと言い、かえでに、ありがとうございますと言った。

ほのかも交えて5人で同じテーブルで食事。美味しい。そういえばあおいは富士山のときは、ごはん食べなかったんだよねとひなた。高山病でダウンしたことをほのかに話してしまった。無事に登ってこれてよかったですねとここな。お母さんにプレゼントでもらった靴のおかげだなとここなは思った。

いきなり今日は何月何日だったっけと言い出すひなた。何いってんの今日は8月11日じゃないとあおい。8月11日といえばとかえで。「ここなちゃん、お誕生日おめでとう」あおいがバイト先でレシピをもらって作ったパウンドケーキをプレゼントした。他の登山客もおめでとうと拍手。ここなは大喜びだった。

食事のあとトランプをしていたが、ここなが眠そうなので、みんなそろそろ寝ることに。片づけをするかえでとひなた。かえでが、あおいちゃんのサプライズ、大成功だったわねと言うと、ひなたが実は気になっていたことがあると言った。あおいへのサプライズをひなたが計画した三ツ峠。あおいが本当に喜んでいたのか気になっていたとひなた。かえでは、大胆そうに見えて繊細なんだねとひなたに言った。

さっき、ほのかちゃんに余計なおせっかいしたけど、満更でもなさそうなさそうだったでしょとかえで。だからいいんだよ、きっと。笑顔って人から人に伝わっていくものだと思う。私は自分のやったことを信じる。だからひなたちゃんもとかえでは言った。ひなたは実はもうひとつ、約束が叶ったら、その後は、と言いかけてやめた。

ほのかは今日とった花の写真をあおいに見せてくれた。晴れているときの花もいいけど、雨のときは別の良さがあると思うとほのか。写真は自分の目線がそのまま残るから後で見るとそのとき何を考えていたかがわかって面白いとほのかは言った。

明日、晴れるといいねとほのか。あおいは、でも自分でも変だと思うんだけど、約束が叶っちゃうことが何だか不安なんだと言った。何かが変わってしまいそうで、今までの私たちじゃなくなっちゃうんじゃないかって。ほのかは、写真でずっと撮りたかった景色、それが撮れても終わりじゃないと言った。また別の撮りたい景色がきっと出て来るから。たぶん、それはずっと続いていくと思う。

ずっと続いていく。あおいはほのかに、ありがとうと言った。よかったらアドレス交換しないかとあおい。またお話したいし写真も見たいから。あおいとほのかはアドレスを交換した。よかったら飯能にも遊びに来てねとあおいは言った。そろそろ消灯だってとひなたとかえでが戻って来て就寝。

翌朝。朝日を見るため暗いうちに出発する。雨はやんでいた。霧の中を歩く。あとは霧が晴れてくれれば。あおいはほのかに何で山に登るのと聞かれたことを思い出していた。何でだろう、わかんない。でも登り続けていれば、いつかその答えが出せるかもしれない。

見えてきたよとひなた。あたりが少し明るくなってきた。トマの耳に到着する。来たね。うん、来た。とあおいとひなた。いろいろあったよね。


いつかまた、ふたりで来ようね。ぜったいだよ。小さいころにふたりでそう話した思い出の山に朝日が昇る。あおいとひなたは手をつないだ。そう、約束。




トマの耳からオキの耳へ。山頂でみんなで写真を撮った。

約束が叶っても、それは終わりを意味しない。ひなたと、みんなと、約束はずっと続いていく。次はどこへ行こう。どこまで行こう。思えばきっと、どこまでだって行けるよ。これからも、たくさん作るんだ。忘れられない思い出を。
★谷川岳、無事登れて朝日も見れてよかったですね。山の景色もきれいで、いいお話でした。あ、最終回ではないの?w