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夕暮れ。昔なつかしいのどかな田園風景。いやここは1000年後の世界。

♪遠き山に日は落ちて....

『家路』(交響曲第9番ホ短調・新世界より)が聴こえてくる。

「すぐに家に帰らないと。ネコダマシが出る.....」

☆前の話は→ 第1話~第24話 あらすじまとめ


第25話(最終回) 「新世界より」


早季の悪鬼をたおす方法とは?

・あの子は悪鬼ではない。生まれてすぐ両親から引き離され、バケネズミによって育てられたため、自分をバケネズミだと思っている。攻撃抑制も愧死機構も無効ではない。対象が人間ではなくバケネズミだということ。だから同族であるバケネズミは殺せないが、異類の人間なら殺せる。

人間と間違えてバケネズミを殺してしまえば、愧死機構が発動しあの子は死ぬ。人間に扮した奇狼丸を殺してしまったとしたら。それが瞬が言っていた切り札だった。

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鏡を使って敵陣を映し、早季が呪力でバケネズミを殺す。そして覚の服を着て包帯で顔を隠した奇狼丸が飛び出し早季が後に続く。前方にあの子が現れた。奇狼丸は人間が呪力を使うように逃げ遅れたバケネズミを指さし、黒子の早季が攻撃し吹き飛ばす。

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叫び声を上げたあの子が奇狼丸を攻撃、身体に穴があいた。人間なら即死していただろう。だが奇狼丸は立っていた。顔に巻いていた包帯を取るとバケネズミの言葉で何か言った。そして奇狼丸は倒れた。

★「あなたにお願いしなければならないことがあります」そう言って作戦を話した早季に、奇狼丸は自分にできることなら何なりとと言った。そして、これが終われば町はバケネズミ駆除の意見に傾くと思うが、大雀蜂コロニーの女王だけは救ってほしいと言った。「コロニーの構成員すべての命であり希望である、我が母だけは」約束すると答えた早季に奇狼丸は「ありがとうございます」と言った。

早季は奇狼丸に駆け寄った。すでに絶命しているその顔は、会心の笑みを浮かべているように見えた。前方であの子が悲鳴を上げた。胸を押さえて苦しみ出した。呪力によって同胞を殺害したという意識が愧死機構を発動させた。すると早季の胸も痛み出した。「私は殺していない」何度もつぶやいた。

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「早季」覚が駆け寄る。胸の痛みは消えていた。早季はすごいよと言う覚に、「ううん、瞬が教えてくれたのよ」「シュン? 瞬って...」ようやく覚の中でも記憶の封印が破れたようだった。

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地面に横たわった小さな姿はすでに事切れていた。その傍らに野狐丸が茫然と立ちつくしていた。風が吹いてきて赤い髪が揺れた。真理亜と守の姿が目に浮かんだ。

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もし普通に町で生まれていたら、きっと、とても愛らしい利発な少女に育っていたに違いない。叶わぬことだったとはわかっている。せめて最期は人間として迎えさせてやりたかった。

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「なぜ、あんなことをしたの?」裁判にかけられる前に野狐丸にたずねた。どうして罪もない人を虐殺したのかとの問いに、すべては戦術の一環、反逆したのは、我々は奴隷ではないからだと言う。改革をもたらそうとしたのは、すべての同胞を解放するためだったと。殺した人たち全員に謝罪してと早季が言うと、野狐丸は言った。「いいですとも、その前にあなたがたが謝罪してくれればね。あなたがたが、何の良心の呵責もなく虫けらのようにひねりつぶした我が同胞全員に対して」

早季の両親は、町で不浄猫を解放した。鏑木肆星の遺骸が八丁標の綱の上に曝され多くの人が抵抗する気力を失っている時だったが、悪鬼を足止めすることができ、両親は図書館で敵の手に落ちると危険な書籍や文書をすべて焼き捨てた。しかし煙が不信感を抱かせ図書館を出たところ悪鬼に遭遇してしまった。覚の家族も全員亡くなっている。


清浄寺の悪鬼調伏の護摩は、効力を発揮したらしい。一時、悪鬼が攻撃を躊躇したり放心したりした。気づいた野狐丸が反応、ほどなく清浄寺は焼け落ちた。無瞋上人、行捨監寺以下、僧侶の大多数が寺と運命を共にした。


裁判で、野狐丸は自分たちは獣でもおまえたちの奴隷でもなく、人間だと言った。自分が死んでもいつか必ず後を継ぐものが現れ、そのときこそおまえたちの邪悪な圧政が終わりを告げるときだと。野狐丸には全身の神経細胞から脳に極限の苦痛を与えつつ呪力で損傷を常に修復して死なせない、無間地獄の刑が宣告された。富子さんが言っていた、未だかつてどんな生物も味わったことのないほどの苦痛の中で、ゆっくり命を奪ってやるという約束が現実のものになった。残酷な復讐をすることに意味があるだろうか。早季には何が正しいかわからなくなった。


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バケネズミは人間だった。あれほどの惨劇の中、ハダカデバネズミが無事だったのは理不尽な気さえするが、異類管理課の課長と倫理委員会メンバーを兼任することになった早季は飼育を続けていた。初仕事はすべてのバケネズミを駆除するという決定を覆すこと、書類に目を通していた早季はバケネズミの学名について不思議な文書を見つけ覚に話をする。人間とハダカデバネズミの組み合わせのようなバケネズミの提案された学名、人とそれが変わった様を表す「化」という漢字。それを聞いた覚が話し出す。

バケネズミの遺伝子は倫理規定により、あらゆる分析、研究が禁止されていて理由がわからなかったが、調べてわかった。DNAを解析するまでもなくあきらかだった。バケネズミの染色体は性染色体を含めて二十三対、持っている形質のかなりの部分は染色体三十対のハダカデバネズミのものだが、ベースになる生き物は二十三対の人間だった。

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夏季キャンプでミノシロモドキを捕まえた時、瞬がした質問が脳裏に浮かび上がった。「奴隷王朝の民や狩猟民たちは呪力、PKがなかったんだろう? その人たちはどこへ行ったんだ?」「残念ながらご質問の点に関しては不明です」ミノシロモドキの答えは不得要領なものでしかなかった。

呪力を手にしてからの人類はそれまで以上に血みどろの歴史を刻んできた。何とか安定を図ろうと、呪力による対人攻撃を不可能にするために「攻撃抑制」と「愧死機構」が遺伝子に組み込まれた。しかしそこで呪力を持たない人間の扱いが問題となる。支配者である呪力を持つ人間が対人攻撃が使えなくなると立場が逆転する。呪力のない人間は自由に人を殺せるから。

呪力を持たない人間にも組み込めばという話になるが、呪力を持つ人間は、それ以外の生殺与奪を握る圧倒的な優位を手放したくなかった。そして愧死機構のメカニズムはいわば呪力による強制自殺。呪力がなければ機能しない。そこで特権階級の地位を守るため、邪魔になった呪力を持たない人間をバケネズミに変えた。

攻撃抑制や愧死機構の対象外にするために、人間とは「異類」であることが一目瞭然で、殺すことに同情を感じないほど醜い生き物にする必要があった。人間とハダカデバネズミの遺伝子を混ぜ合わせて作られたのがバケネズミだった。早季も覚もたくさんの「彼ら」を平気で殺した。そして愧死もしなかった。


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戦争記念館。 茅の輪の郷の中心部にはバケネズミの襲撃によって大勢の人が亡くなった悲劇を忘れないための記念公園ができた。まだ町中の多くの建物は廃墟のままだったが(戦争が終わって1か月あまり)公園は早々と完成、一番奥には戦争記念館が作られていた。

見晴の郷で追悼行事が行われていて見学者はいなかった。一番奥のガラスケースに交替で詰めている職員の小野瀬さんに早季は追悼式典で亡くなったお嬢さんにお花をあげて来るようにと外出させる。そこには無間地獄の刑を受ける、すでに肉塊となったスクィーラ(野狐丸)がいた。

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もう充分苦しんだから終わりにしましょうと言って、早季は呪力で呼吸中枢を麻痺させる。「ねえ、スクィーラ、初めて会ったときのことを憶えてる?」早季はひとしきり話すと、復活させられることがないよう、スクィーラの遺体を炭化するまで焼いて記念館を後にした。

追及されたら、つい憎しみと激情に駆られてやってしまったと言うつもりだった。倫理委員会のメンバーとしては、とんでもないことだろうが、早季は規則より大事なものがあると思うようになっていた。

・公園を出るとメロディーが聞えてきた。再建された公民館が「家路」を流している。

コロニー存続 バケネズミを根絶するという提案は、小差で否決された。終始一貫して人間に忠実だったと認定された大雀蜂コロニー以下、5つのコロニーだけが存続を許されることになり、奇狼丸との約束は何とか果たすことができた。

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早季と覚は結婚した(2年後の話。さらに3年後、早季は倫理委員会の史上最年少の議長に就任、10年後に至る)


十年後

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不浄猫。 かわいい不浄猫の子猫がお目見え。それは、悪鬼と業魔についてのレポートで、出現した事例とその10年前の社会情勢に相関関係が見られると発表されたため。10年前の悲劇の直後に生まれた子供たちがもうすぐ呪力を持つようになる。もし一人でも患者が生まれてくれば町は今度こそ滅亡の危機となる。倫理委員会は10年ぶりに不浄猫を再製することを決めた。

・これまで日本に点在する町は、最小限の連絡を取り合うくらいだったが、早季の提案で変えていこうということになり、交流を推進する準備が始まっている。

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「ねえ、わたしたち、本当に変われると思う?」

「変われるさ、変わらなきゃ」

・早季の身体に新しい命が宿った。

「この子が大きくなるころには、もっといい社会になっているといいわね」

「だいじょうぶ、絶対、そうなるよ」

補足・早季

・二人で話し合って、男の子なら瞬、女の子なら真理亜という名前にすると決めていた。

・十年前の事件以来、瞬は一度も現れていない。きっと、わたしの心の奥底、無意識の大海の中で長い眠りについているのだろう。しかし彼はどんなときも、わたしたちを見守っているはずだった。

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早季は手記をこうまとめた。そして、最後に、全人学級の壁に貼られていた標語を記した。

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【感想】

★いくつか、気づいたことを。

・前回のタイトル「闇に燃えし篝火は」は、『家路』の歌詞なんですね。「遠き山に日は落ちて」しか知りませんでした。遠き山には1番の歌い出しで、2番の最初が「闇に燃えし篝火は」なのでした。数日前に知りました~

・真理亜と守の子供、「女の子」だったんですね。「普通に生まれていれば...少女に...」ずっと男の子のつもりで記事を書いておりましたわ。前のほうに「少年」となっているところがありましたら、見逃してくださいませw

・どうでもいいことかもですが、最後の手記の画像、「渡辺早季」になっていますね。この時代は夫婦別姓だったのかな。覚は朝比奈でしたよね。

と、毎回なにやらゴチャゴチャと補足して最終回となりました。長くおつきあいいただき、ありがとうございました。途中心配もしましたがw きれいにまとまって、いい最終回でしたね。

原作を読んでいるので選んだアニメでした。とはいえ、実はちゃんと読んでいなかったのです。画像より文章のほうが厳しいこともありますよね。エロいとグロいのきつさに、飛ばし読みを一部しておりましたw ちゃんと読みなおすきっかけとなってよかったです。

毎回、ネタバレしてしまいたい衝動にかられつつw 自分がわかりにくくて本を読みなおした部分を補足説明する記事に徹しておりました。こうだったのか、って伝わったことが、ひとつでもあれば幸いです。

物語にまったく関係ない最終回の感想となりました。25回、アップできて安堵しております。これも読者の方々のおかげと感謝しています。また機会がありましたら、お会いしましょう。