今日の読書
感想+粗筋
安倍公房さん生誕100周年!との事で前回に続いて丸善からチョイスした第2弾!
いや~。深かったわ~。やっぱこの作家さん天才ね?
素晴らしい作品だと思うんだけど表現がリアル過ぎてもうね、読んでる間、自分もず~と体中が砂にまみれてるのよ、首のまわりとか下着の間とかさぁ
アイスコーヒーやら紅茶やらお茶やら自分のお気に入りのドリンク飲みながら読書する訳なんだけど、全部の飲み物に砂が混じってるような気がしちゃって、どれも最後までスッキリ飲めなかったと言うね・・・
それぐらい、砂との戦いが凄かった!!
主人公の教師の男は夏休みに休暇を取って、趣味である昆虫採集に砂丘に行く。
そこにさびれた部落があり、最終バスが無くなってしまったので、1件の砂の穴の中にある家に泊まる事になった。
そこの家では寡婦が砂を掃きながら暮らしていた。
翌朝、縄梯子がはずされており、どうやら男はこの砂の穴の中の家に閉じ込められた事を知る。
部落には砂を掃き出す人手が必要だったためだ。
砂を掃き出す作業をすると、週1回、タバコやら新聞やら不気味な焼酎やらが支給される。あと水も。
生活はいつも見張られている。
☜作業をしないと水の配給も止められてしまう!
しかも女はこの砂に苦しめられる厳しく貧しい生活に順応して満足しているようなのだ
男はいつのまにか女と夫婦のようになり、女は内職、二人で砂を掃きながら生活せざるをえなくなる。
男は勿論何回か脱出を試みた。が、つど失敗。
ある日、女を疲れさせてから焼酎と薬で寝かせ付け、その間に梯子を作って地上に出たが、砂の中でおぼれ死にそうになり追手に救出?され、再び捕まって女の家に戻される。
男は慎重に暮らしを続けるようになる。
ある日《希望》と勝手に名付けた鴉の罠を作ったが、その桶に水が溜まっているではないか?
男はそれが砂の毛管現象である事を知る。
たまたま作った鴉の罠が、偶然の現象を引き起こしたのだ。
水さえ作れるようになれば、何も恐れる事はない。
翌年女が妊娠、外部の病院に運ばれる事になり、縄梯子が降ろされる。
しかし、自分と、いや村のために溜水装置の開発の研究を必死に始めた男はそこから逃げなかった。
7年後男は失踪者とされ、死亡認定がされた・・・・
って大筋。
う~ん、最初は男が命がけで砂の中から、そして女の人から逃げようとしていたのが、溜水装置作りに必死になって自分の居場所を作っていくあたり、一人の人間の完全図と言うのか、達観の素晴らしさと言うのか?
拗ねてふてくされて腐るのではなく、与えられた環境に適応して何とか生き延びようとするっての?
最後の一文が大好きになったわ~
《逃げるてだては、またその翌日にでも考えればいいことである》☜長い人生の縮図よね~
ちょっと、砂の印象が強くて☜鳥取砂丘には行きたくなくなったけど、一人間の自己完結ってのかしら?を表した素晴らしい作品だったなって感想。