今日の読書

 

 

感想+粗筋

 

高校時代に、国語教師の谷川に恋をして教員住宅に押しかけて大騒ぎに。

その後、20歳以上年上の、既婚者の和菓子職人と駆け落ちした順子。

 

その順子を取り巻いた女達の物語。6編の短編連作集。

 

普通に幸せを掴みたいけど、中々現実で空回りの彼女達。

 

一人一人が必死だったが、妙に印象に残ったのはこちらの作品達👇

 

 

《弥生》

父から受け継いだ老舗和菓子の幸福堂。夫が売り子の順子と駆け落ちしてから、店を守るため、メインのラインナップを変えたり、協力者のアドバイスを得て、必死に努力して店を守って来た。やっと百貨店に店舗を置かせて貰えるまでになった。

父の店の職人だった夫。父に見込まれてそのまま夫婦になった。決して夫婦仲が悪かったとも思えなかったが、夫は順子との間に子供まで作って家出してしまった。

逃げた夫よりも、夫を奪った順子よりも、自分を責め続けて来た弥生。

 

このまま失踪宣告をするはずだったが、知人から順子の居場所を知らされ、夫に会いに行く事にした弥生。

東京の場末のラーメン屋で働く夫婦。ひたすら泣いてあやまる夫に『失踪届け』『離婚届』のどちらかを選んで欲しいと言う弥生。

☜う~ん、この人の気持ちわかるわ~。憎しみも通り越して愛が残ってるからこそ自由に手放してあげるって感じかしら・・・照れ

 

《静江》

順子の実の母親。

スーパーの総菜部門に回されて、寒くて水が冷たい職場で苦労する毎日。若い頃から男と一緒に暮らすことばかり考えて来た静江。今は一人暮らし。

娘が既婚者と子供を作って駆け落ちしたと聞いても、自分に娘を責める資格などない。

が、その孫が20歳の大学生になると言う。

親の葬式にさえ呼んで貰え無かったこんな自分でも娘達と一緒に暮らすことは出来ないのだろうかと図々しく夢を見てしまう静江。

孫はどうやら角膜手術が必要になるらしい。

今は保険会社で働いている順子。男☜元和菓子屋の職人の保険の受け取り人は幸福堂の奥さんの弥生であると言う。

☜いや~。生涯女であった母親から見た娘の幸せ。駆け落ちこそしたけどこんな優しい娘に育っちゃって・・・胸が痛いだろうなショボーン

 

・職場もうまく行かなくて恋人が小心者だったり、

・仕事は満足していても、恋人が既婚者だったり、

・腹の読めない婚約者の本心が知りたくて過去にイライラしたり、

・両親の突然死から中々立ち直れなかったり、

 

でも、みんなが各々に思う、駆け落ちして、逃げて売れない場末のラーメン屋になって、最後には息子の角膜を自分の命と引き換えにしようとしている順子。

でも必死に生きて幸せだったんだろうな・・・・って。