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前回までのあらすじ。
マルコは18歳。母のアネモネと二人きりで暮らしていた。ある時デモンのアレンが現れ、アネモネをさらっていってしまった。マルコは母を取り戻すと誓った。

[マルコの冒険1‐2]

僕はアレンに壊された家を修理してから家財を売って旅に出た。デモンの山目指して来る日も来る日も歩き続けた。
「あら、ちょっとかわいい顔してるじゃない」
ある町の商店街で二十代のお姉さんに呼び止められた。黄色いレンガの商店街は客寄せと親子連れの声で活気に満ち、お姉さんの肌も一番美しい時期を迎えていた。
「あなた誰」
「私はエミリ。夜のお仕事をしているの」
言われてみると丹念に容姿を磨いているのがわかる。
「いま昼だよ」
「昼間はパン屋のアルバイト」
「すごい働き者だね」
僕が感心すると、エミリはにっこり笑いかけてきた。
「美味しいパンはいかが?」
僕はエミリの案内でパン屋に入り、商品を買ってイートインで食べた。狐色の卵パンは芳醇な香りがした。

僕の両隣にエミリと同世代の別のお姉さんが座った。この人も魅力的だったので僕は面食らった。これはサービス?
「あなたは?」
「私はソラリス。本当にかわいい子ね。私のおっぱいとパンとどっちがやーらかいか知りたい?」
エミリが割って入った。
「ソラリスったら、私のおっぱいの方がやーらかいに決まってるでしょ!」
僕は二人に挟まれて全ての目的を忘れた。
「二人とも白パンみたいだ」
「いいえ、私の方が上だもん」
「私だもん」
僕がおっぱい天国を満喫していたら、
ーーパン!
上から何かが降ってきた。僕が頭を押さえて振り向くと、正面に知ったような顔の女性が立っていた。銀のトレイを持っている。ワカメロングヘアー。僕は思わず立ち上がった。
「母さん!」
「母さんじゃない!」
僕は彼女にたずねた。
「何してるの?」
「ちゃんと助けに来いや!」
「でも、おっぱいが大変で」
「おっぱいじゃない!」
その時、パン屋の中に黒煙とともにアレンが現れた。母さんがトレイで一撃を放つと彼はまともに食らった。しばらく女座りでメソメソ泣いて、次に立ち上がる。
「じたばたしても連れて帰るぞ!」
彼が右腕を凪ぎ払った。するとパン屋の正面玄関が吹っ飛んで直接道路が見えるようになった。何てことするんだ。彼は飛び立ちざま、母さんをかっさらった。
「アネモネはいただいたぞ!」
「どうして逃がしちゃったんですか?!」
「はははははは、悔しかったらデモンの山まで来るんだな!」
アレンと母さんが青空に舞い上がった。僕は力いっぱい叫んだ。
「母さーん!」
「マルコー!」
アレンはみる間に遠ざかり、僕達親子はまたや引き裂かれてしまった。
(続く)