ミルス・ムリアイナ選手インタビュー②
デビット:
あなたのポジションにとって
一番重要な要素はなんですか?
ミルス:
私のポジションですか?
そうですね…、私はバックスなので
とても強いボールをキャッチする局面が多々あります。
誰かがディフェンスラインを破ったときには
特にそのようなことが多くなります。
またバックスは、相手のトライを食い止める最後の砦なので
キックでトライを防ぐこともありますし
タックルで食い止めることもあります。
フルバックが要求されるのは、このようなプレーをする素質だと思います。
デビット:
なるほど。
ラグビーの試合を観ていると、殴り合っているような場面がよくあるのですが
試合後、痛みを感じますか?
ミルス:
私は幸運なことにバックスなので、厳しいタックルを受けたり
スクラムでぶつかり合ったりする機会は少ないですど
一試合戦えば、それなりにいろいろとありますよ。
フォワードともなれば、激しいスピンも多くなりますしね。
でも、こんなにラグビーが激しいスポーツになったのは
意外と最近なんです。
20~30年前の選手は、もっと細身だったし
スピンもありませんでした。
今となっては、大型の選手たちが互いにぶつかり合い
果敢にタックルを仕掛けていくスポーツこそがラグビーという
認識になっていますけどね。
この激しい応酬の中に、おもしろさを見出して欲しいと思っています。
デビット:
ラグビーもチームで行うスポーツなので
勝利をつかむためには「チームワーク」が非常に重要になってくるのでは、と
思うのですが、All Blacksの「チームワーク」についてお伺いしたいです。
ナショナルチームによっては、選手の入れ替えが少なく
その分、チームワークが強くなりますが
All Blacksの場合は、選手の入れ替えが頻繁で
そのたびに新しいスター選手が誕生しています。
その分、チームワークを育てるのが難しい、という見方もありますが
その点について、どう思いますか?
ミルス:
確かに難しい問題です。
今年に入り、多くのベテラン選手が去った上に、負傷者も多く出たので
新しい選手を補充し、チームを新しく立て直すことが必要でした。
でも、この流れはいつか必ず起こることです。
新人のためにフォーメーションを変更したりした部分もあるけれど
逆に新人が、我々のこれまでのやり方に順応してくれた部分もありました。
お互いのやり方に慣れて、チームメイト同士の信頼関係を築くには
それなりに時間がかかるので、今年はその意味で苦労した面が多かったし
それがチームの成長の妨げになったこともあったと思います。
でも、どうにかここまでシーズンを戦ってこれたし
これからは、良い面がたくさん出てくると思います。
我々にとってベストな試合ができていないのが残念ですが
逆にこれからは、上り調子で強くなると期待しています。
デビット:
勝つことが一番大事なことであると私も思います。
しかし、ラグビーファンは世界一のチームであるAll Blacksに対して
勝利はもちろん、それ以上より多くのものを求めます。
ファンの高い期待に応えるためにも
今後、どのような点を直していくべきだと考えていますか?
ミルス:
基本的なプレー、たとえば、これまではライン上でもスクラムでも
ボールを圧倒的に支配してきたAll Blacksですが
そこが弱いという批判も多くあります。
ボールのハンドリング技術が未熟だとか
そのような批判が多くあるのです。
私も確かにその通りだと思います。
しかし、評論家は細かいミスをあげつらい
「こうじゃない、ああじゃない」と批判するので
このような環境でプレーするのは大変です。
ですので、外野の言うことに過敏にならずに
いかに自分のプレーに集中することができるか、ということが
今後重要になってくると考えています。
デビット:
All Blacksのユニフォームを身にまとうことは
大きな責任と重圧を伴うことだと思います。
All Blacksの一員としての人生のモットーは何ですか?
ミルス:
このユニフォームを着ることに
誇り(プライド)を感じることが大切です。
このユニフォームを着ることを許されたのは
過去1000人くらいしかいません。
ユニフォームのデザインは、その時々で変わってきましたが
「黒」という色と、「シダ」のマークはずっと変わっていません。
All Blacksには伝統があり
これまで数々の名選手が活躍してきました。
今度は、私が自分の歴史をこのジャージに刻み込み
次の世代がさらに強い誇りを持って着られるようにしたいです。
私がこのユニフォームに抱いている誇りこそが
一番大切なものだと思います。
そしてその誇りを次の世代のAll Blacksの選手に伝えることが
私の役目だと思っています。
デビット:
やはりAll Blacksのユニフォームを着る、というプレッシャーのある中では
家族の存在が大きくなってくるのではないかな、と思うのですが
そのあたりはいかがですか?
ミルス:
そうですね。家族は私をいつも支えてくれています。
試合に勝ったとき、チームの調子が良いときは問題ないのですが
自分が思うようなプレーができなかったり、チームが負けたときに
特に家族は私のことを支えてくれています。
周りがどんなに私を批判しても
家族はいつも私の味方で、励ましてくれます。
このように、理解のある家族に恵まれた私は、幸運だと思います。
その昔、母は私の試合を観るために一番に会場に来てくれたり
したこともありましたからね。
そして両親はもちろん、妻も私の立場を理解し、いつも応援してくれています。
私が選手としてベストな調子を保つために
妻は多くのことを犠牲にしていると思います。
デビット:
All Blacks自体も
あなたにとっては家族のようなものですか?
ミルス:
確かにそうですね。All Blacksも私の家族です。
遠征が多くて、妻や家族に会えない日が2~3週間続くことも
しょっちゅうですが、いつもAll Blacksの仲間が一緒です。
日本での試合も、6週間も続く遠征の初戦です。
その間、妻や家族、友達に会えないけれど
All Blacksという家族が一緒なんです。
みんな最高の連中で。
だからこそ一緒に戦えるんだと思います。
いつも「俺たちはAll Blacks家族だ」と自分たちでも言っています。
インタビューレポート③につづく・・・
