ミルス・ムリアイナ選手インタビュー③
ついに最終回です
デビット:
ここからは、ブレディスローカップについてお聞きしたいのですが
今後、どのように展開していくと思っていますか?
ミルス:
オーストラリアとニュージーランドにとって
この大会はとても因縁深いものです。
今年はオーストラリアと4回戦うことになっていて
東京での試合が4戦目になります。
しかし、4戦目とはいえども、集中力を落とすことなく
長年のライバルであるオーストラリアチームと激しい試合を見せたいと思っています。
決してレベルの低いプレーはお見せしません!
ニュージーランドには
「オーストラリアを憎むことを楽しむ」という言葉があります。
日本での試合でも、そのオーストラリアへの激しいライバル心を前面に押し出して
オーストラリアを打ち負かすことを楽しみにしています。
デビット:
オーストラリア代表チームであるワラビーズは
世界で一番のライバルなんですか?
ミルス:
国同士が非常に近いという意味で
オーストラリアは我々にとって最大のライバルと言えるでしょう。
我々がオーストラリアに負けてしまったとき
オーストラリアのはしゃぎぶりはすごいですから。
デビット:
今年に入ってのオーストラリアとの2試合、All Blacksが連勝しました。
この2試合を振り返って、どうですか?良いゲームでしたか?
ミルス:
オークランドでの初戦は、悪くなかったと思います。
前半、オーストラリアはかなりのプレッシャーをかけてきましたが
我々はうまくしのぐことができました。
そして、相手のペナルティーに乗じて、点を稼ぎました。
しかし、2試合目はかなり厳しい試合でした。
オーストラリアチームが大部分の主導権を握っていて
我々がようやく1点差のリードを取ることができたのが
残り36秒という時間でした。
わずか1点差という局面で、オーストラリアチームにボールを奪われ
大変でしたが、どうにか残り時間、ディフェンスラインを守り抜き、1点差で勝利しました。
ニュージーランドが2勝していますけど
両チームの力は拮抗していて
オーストラリアもそれを自覚しています。
でも、1点差とは言えども勝ちは勝ちで
我々にとっては、非常に意義のある1勝でした。
デビット:
オーストラリアとの2試合に関して、一部ではディフェンスが悪かった、との
評価があるようです。選手として、どう思いますか?
ミルス:
たしかにベストな試合ではなかったと思います。
やってはならないミスもありました。
だから評論家の評価が低いのだと思います。
ミスが多くて見ごたえがなかったのではないでしょうか。
しかし、試合前の週末の内情を知っている当事者としては
満足できる結果だったと思っています。
みっともない試合でも、勝ちは勝ちで、
負けることに比べれば、選手にとって嬉しいものです。
でも、ベストな試合をできなかったこと、
基本的なミスがあったことは残念なことなので
この週末(第3戦)で問題点を克服し、東京での試合に臨みたいと思います。
デビット:
日本での試合はどのようなものになると思いますか?
ミルス:
最初の試合と同じくらい緊張感のある激しい試合になるでしょう。
今回が初来日という選手が多いので、私たち選手にとっても、大試合になると思います。
会場は違っても、All Blacksとオーストラリアチームの間の
激しい攻防が変わることはありません。
日本、そして東京のファンのみなさまに楽しんでもらえるような試合を
お見せできると思っています。
デビット:
僕もAll Blacksの1ファンとして、とても楽しみにしています!
プレー自体ももちろんなのですが
やはり本物の「HAKA」を観ることができるのが、すごく楽しみです。
「HAKA」は日本でもとても有名なのですが
試合前にHAKAを踊るとき、どのような気持ちなんですか?
ミルス:
最高の気分です!私たちは、HAKAから多くのことを学びました。
HAKAは世界的にも有名で
対戦相手を威圧し怖がらせるように見える踊りですが
私たちにとってはとても歴史的な意味を持つもので
マオリ族の文化が投影されています。
ハワイの交易相手の前でも披露されていました。
ニュージーランドの人種は多様で、マオリ族だけではなく
欧州系、サモア系、もともとの原住民、日系、中国系の人々が住んでいます。
でも、すべての人種の人々が、HAKAに誇りに思っています。
All BlacksはHAKAを披露することで
忍耐力とニュージーランドの文化を表現しているのです。
デビット:
HAKAを踊る前と、踊り終えた後では
気持ちが変わりますか?
ミルス:
気持ちの変化というか、HAKAを踊ることで
闘志が激しく湧き上がる選手もいます。
血がたぎるというか、血が沸き立つような感じがあると思います。
そして一刻も早く試合を始めたいという気持ちにさせてくれます。
でも、HAKAの後に肝心の試合があるわけですから
HAKAを上手に踊ることに気持ちが行き過ぎると問題ですね。
デビット:
それは本音ですね。
ミルス:
ええ、そうです。
肝心なことは試合に勝つことですから。
HAKAを見事に踊っても、試合に負けたら意味がありません。
でも、世界中の人々がAll BlacksのHAKAを楽しんでくれることは良いことで
私たちも日本の皆さんの前でHAKAを披露するのを心待ちにしています。
デビット:
では最後に。
日本のファンへのメッセージをお願いします。
ミルス:
日本のみなさん、東京へ行くのをとても楽しみにしています。
All Blacksにとって今年16試合目を東京で戦うことになるのですが
みなさん、ぜひ応援に来てください。
All Blacksとして、みなさんが大いに盛り上がる試合を
披露したいと思っています。