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2/18「熱海殺人事件 40years' NEW」@紀伊国屋ホール
超久し振りのブログです。
昨年はテニミュに沸いたり、桐谷美怜さんの幕末純情伝も観劇したり、タンブリングで泣いたり、クラブセブンでロウマに恋をしたり、そのままRENTで新たな扉を開いたり、サイケデリックペインでは今でもあの舞台の衝撃で「ジーザス!」と歌いだしたり、ペルソナで女装番長に爆笑したり、五右衛門ロックⅢで三浦春馬さんのキレキレダンスに感銘を受けたり、シャルルに恋をしたりしていました。
そして今年も既に馬場さん充スタートしてます。
(大阪公演前ですがネタバレもあります、気になる方はバックで)
熱海殺人事件の木村伝兵衛役がばーちょんということで、今年もつか舞台を見る事になりました。幸いにも(?)、私はつか舞台は好きなのでこうして出演している事が嬉しい限りです。
もうね、長台詞ばっかりで息つく暇も無いんですよね。だからこそ演者の善し悪しがモロに出るんだと思います。表情、喋り方、声量、ひとつひとつがどれだけ観客を引き込む要素になるのかを肌で感じる事が出来るかと思います。
個人的にはやはりばーちょんの伝兵衛は麗しいなと思いました。大胆かつ繊細な表情に、時折見えるばーちょんらしさがいい。初演と千秋楽では全然違っていて、見事なまでに成長していたと思います。喉が持たなかったのは勿体ない!神が喉の健康も与えたなら、もっともっと素晴らしかったなと(何いってんのってツッコミはおいといて)
花束を叩き付けるシーンは圧巻でしたね。あの鬼の様な顔がいい。
あとは、朋子とのやりとりの一つ一つが面白く、またどこか突き放したかんじなのがいい。
お互いに一歩踏み込ませなかった間柄というのも実に惜しい。
熊田役の牧田さんも、千秋楽までよくぞ頑張ったと言いたいです。正直、最初は何言ってるのかよくわからないところもあったのですが、パワーがあって、それが伝兵衛と相反するものなのがとても馴染んでいたと思います。ていうかイケメンなのにあの扱いなのが勿体無いくらい。でもイケメンにこそああいう役どころをやってほしい!と思わせるほどに素敵でした。
英子さんも綺麗で隙の無い婦人警官役で、驚く位に流暢に演技をする人でした。そしてNAOKIさんは体力も演技力もあり、あの登場シーンで、初演に黄色い声があがったのは今でも忘れられません。ファンも沢山観に来てるんだな~!
カッコよすぎる登場シーンからのあの展開に最初は爆笑しまくりでしたが、だんだん引き込まれていき、最後には泣いていました。演者としてのNAOKIさんの今後に凄く注目したくなりました。(エグザイルとしてはよくわかんないので(というか三代目~のメンバーだったのも最近知ったという))
内容は、ちんけな殺人を犯した容疑者大山金太郎を、3人の刑事(警官)が自分の美学に則って、歴史に残る犯人に仕立て上げようとするという、エゴイズムと差別思想の残る戦後日本の戯曲で、ドロドロしていて、全くあっさりとしていないのにどこか美しく幕を引くものでした。
少なくとも幕末純情伝よりかはアクもなく、見易かった。
俺を立てろ!俺より前に出る奴は許さん!!!というひんまがったナルシズムを持った伝兵衛はどこか哀しく、しかし強く美しい。婦人警官の朋子もそんな伝兵衛を愛し、それでも他の男のモノになる。熊田も最初はまともかと思ってはいたが、二人以上に狂気的で、獰猛な一面もある。
おかしな三人と一人の容疑者が、数時間の内に言い争い、押し付け合い、そして気持ちを一つにして、最後は和解する。正直に言えばやっていることは何一つ正しくないのだが、この舞台においてはあのラストは正しいものだったのかもしれない。
伝兵衛が熊田に煙草に火を付けろと言う。
「火を付けてくれませんか」
熊田は、俺の安い100円ライターじゃ部長の口に合わないと思いまして、と断る。だが伝兵衛はつけろという。
「熊田君、もう少し人間と言う物を買い被ってみてはどうですか」
そう言われて熊田が付けようとすると、火が熱いと怒られる。やはり僕の100円ライターじゃ!とまた断ろうとする熊田に伝兵衛はこう言う。
「君の優しい心が、ガスを変える」
そして一服。
「んー…いい火加減だ!」
熊田が、伝兵衛の煙草に安いライターで付けた火は、どの程度の熱さだったのか。
もし、この舞台のラスト一言を先に観れるとしたら、きっと本編も観たくなる舞台だったと思いました。
大阪も頑張って!!