厚生労働省が3日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報)で、働き手1人平均の現金給与総額は前年同月より1・3%多い27万2779円だった。物価の伸びを加味した実質賃金指数は同1・5%減と19カ月続けてマイナスだったが、下げ幅は前月より縮小した。

 現金給与総額が上がったのは、賃上げする企業が増えていることに加え、ボーナスなどが前年同月比で10・8%、残業代なども同2・6%、それぞれ増えたことが大きい。早出や残業時間は、建設業やサービス業、製造業など幅広い産業で増えている。

 パートタイムの労働者に限ると、現金給与総額は同0・1%減の9万3075円で3カ月続けてマイナスだった。総労働時間が同1・3%減っており、短時間で働く人が増えるなどして1人平均で働く時間が減り、給与の減少につながったとみられる。

 実質賃金はマイナスで、賃金が上がっても消費増税を含めた物価の伸びに追いついていない状況が続く。ただし、最近の原油安などで物価上昇は鈍っており、下落幅は3カ月続けて縮小した。「実質賃金は、増税の影響が一巡する4月以降にプラスになる公算が大きい」