大阪府立急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)は31日、入院中の60代の男性患者に誤って筋弛緩(しかん)剤の点滴を投与し、男性が死亡したと発表した。医師から抗生物質の処方を指示された薬剤師が薬剤を取り違え、点滴前に確認した看護師2人も気づかなかったという。センターは遺族に謝罪し、府警に届けたという。
 センターによると、男性患者は抗がん剤治療のために約2週間入院。発熱の症状が出たため29日、主治医が抗生物質「マキシピーム」の点滴を指示したところ、女性薬剤師が薬剤の入った棚から誤って筋弛緩剤「マスキュレート」を取り出し病棟に送った。
 二つの薬剤は別の棚で保管されており、薬剤師は男性への点滴が始まった約2時間後、別の患者用に「マキシピーム」を取りだそうとして取り違えに気づいたが、男性はすでに心肺停止状態だったという。
 薬剤師は院内の調査に対し、「抗生物質だと思って筋弛緩剤を出してしまった」、看護師らは「その患者の薬だと思った」と説明しているという。
 吉岡敏治院長は31日会見し、「あってはならないことで患者やご家族に心からおわび申し上げます」と話した。