小生の両親は、小生が生まれる一年前に結婚しました…









当時、社内で同じコーラス部にいた事が、出会いのきっかけになったそうです…










ところが、付き合い始めても、常にマイペースな父に母親は…












「この人、本当に私と一緒になる気があるのかしら?」











母親は不安な気持ちのまま、毎日を過ごしたそうです…











ある日の事…











そんな父の態度に痺れを切らした母親は、人生一度の賭けをしたそうです…










定時を過ぎて社内の人も疎らになった頃…











父のいる営業部に内線を入れ、もし父が電話に出たら、結婚しよう!











母親は、父のいる営業部のダイヤルを回し、心の中で祈ってました…














何度めかのコールの後…










「はい、営業部です」











それは、紛れもなく父の声だったそうです…











母親は勇気を出して、「話があるから、この後会って欲しい」と…












母親が会いたいと言って来た事に、父も覚悟を決めた様です…












その夜、父の方からプロポーズをして、結婚する事になりました…











結婚後一年は、父の実家で生活してたのですが…












父方のお母さん、小生のおばあちゃんと言うのが、とても気の強い人でして…











まさに、「渡る世間は鬼ばかり」状態になり、小生が生まれたのをきっかけに、家を出て行く事になったのです…














ところが、若くして結婚した為、当時の父の給料では生活もおぼつかず












付き合いで飲んで帰って来ては、タクシー代が無いので、夜中に近所からお金を借りての生活が続きました…











家もプレハブ小屋で、風呂も庭に大人一人が入るのがやっとの、小さな風呂場でして…













日曜日には、まだ幼かった小生と、薪割りをして風呂を沸かせる生活を何年も過ごした時…













「いつか、立派な家を建ててやるからな」











父は幼かった小生に、そう話してたそうです…












それから十年が経ちました…












父が家を新築するからと言って、時間がある度に、設計図を広げ小生に説明してくれたのです…













半年後に出来た家を見た時の父の顔は、誰よりも輝いて見えました…













家の中にお風呂があるだけで感動し、トイレも水洗になった事に感動し…

(笑)












その家には、六年住みました…











その頃、父方のおばあちゃんが、東京でたった一人っきりの生活をしてた為…













父は実家に戻る事を決意したのです…












やっと慣れた生活を捨て、東京での生活に不安もありましたが…












父はまたも古くなった東京の家を潰し、家を改築したのです…












前の家を売り、そのお金で新築したとは言え、また借金生活を続ける事に…












しかし、その借金は父の退職を機に、全額返済をしました…













幼かった小生に伝えた夢を、二度も現実にした父…













現在七十も半ばになり、二度の大病をして、さすがに体力も気力も落ちて来ましたが…













小生にとっては、大切な父…












男同士なので、お互いに顔を合わすと、照れてしまうのですが…













親父の背中は、しっかり目に焼き付けておきます…