小路幸也さんの「妻と猫と暮らす 蘆野原偲郷」読了しました。
不思議な小説です。
家に帰って嫁さんがいると思ったら猫がいた。しかもそれが嫁さんだと信じちゃう主人公の「和弥」の生い立ちは別として、色々な妖怪(?)を友人と妻(猫)と一緒に倒していく(?)物語。
陰陽師でもなく、悪霊払いでもなく、ましてや鬼太郎のように派手なアクション場面があるわけでなく。
周りの人に災いが降りかからないように、なんかバタバタと処理していくんだな。
だから読んでてハラハラしない。まさにカバーの写真のようにまったりとした空気の中で話が進んでいく。
時代は大正から昭和にかけて。ある意味で日本が一番文化的だった時代。だけどそこには戦争への軍靴が聞こえ始めた時代。
ちょっと前までは経済大国を謳歌していたのにリーマンショック以来の経済の不振が続き、今度の震災の影響を受けて不安だらけの暗闇に突入しそうな今の日本と雰囲気がかぶります。
それに対する警告を発するような作家さんではないけれど、そんな日本の行く末を考えざるを得ない作品でした。
この不思議な感覚は読まないと分からない。


