離婚後に残ったのは、
マイホームとトイプードル。
その頃の俺は、
会社でも、
役職こそ無かったものの、
そこそこのポジションに居た。
職場で神経をすり減らしながら仕事をし、
クタクタになって、
前妻が置いていったトイプードルの待つマイホームに帰宅。
いくら大嫌いな前妻が置いていったとはいえども、
ペットも大事な家族の一員だから、
夕食が遅くなった事を申し訳無く思いながら、
急いでゴハンを用意した。
こちらから前妻に連絡する事は無かったものの、
俺は「息子の父親」っていう事実はあったので、
電話だけはつながるようにしていた。
前妻曰く、
「マイホームは、息子が創価大学に入る時の入学資金・学費にする」
との事だったので、
「どの口が言ってんねん!」
って思いながらも、
怒りは心の奥底に閉まって、
マイホームとペットを守る為、
喪失感も心の奥底に閉まって、
俺がつまずいたって誰も何も感じない日常を過ごしていた。
《つづく》