Racing Maniax Arenaと称したT625MことコメットRMは、結果から言うと今年のスポーツクラス全日本でもビリであった。
ただ、昨年11月のような、「ダメだこりゃ」というう圧倒的敗北感はなく、大きく舵を切った方向に間違いがなかった、オレたちの戦いは今始まったばかりだ、という清々しさが残るだけであった。
思えばボタンの掛け違いというか、このビリに至る伏線はすでに6月初旬から始まっていたのだ。
初見イベントに参加したT625Mであったが、その船出は暗澹たるものであった。
谷田部では問題なく走っていたセットのままマニアリに乗り込んだわけであるが、前日の練習ではどうにもお尻が落ち着かない。
どうもリヤスプリングがマニアリの高グリップに対し全くレートが低く、立ち上がりで腰砕けを起こしているという指摘をサポート(というか見物に来たら巻き込まれた)してくれた燃える小羊さんから受けた。
それに基づき、ダンパーを効かせることで対処することにし、まあボチボチ耐えうるところになった。
ところが、レイアウト変更後にコースを走らせると、またしてもピクピクがで始めた。
どうやら前後のタイヤのグリップバランスによるところのようで、タイヤ本数をあまり持っていかなかったことから、その場での完全な解決を得られぬまま(適切なバランスのタイヤでのセットアップは叶わなかった)、フロントに新品を組んでしまった結果悶絶ハンドリングとなりD/Rを減らすという付け焼き刃の対処で、最終的にはリヤサスアームを壊して帰ることとなった。
リヤのナーバスさはもちろなんとかしたいところではあったが、現地で気になったのが、フロントのまるで宙を浮いているかのような手応えのなさであった。特にそれは高速コーナーで顕著であり、高速でも低速でも、どこに飛んでいくかわからない車になっているのであるから、これは何とかしないことには本番は地獄であろうことは容易に想像がつく。
実はこの初見イベントの間中、迷走しかねないのでフロント周りは一切手を入れなかったので、谷田部で良かったロール剛性が高く減衰も高いセットのままであったのだった。そこで、フロントのスプリングをアソシのイエローに変更し、オイルも#400とした。
そして本番の前日。いつも通り金曜から前乗りである。
前回走行したレイアウトであり比較がしやすいので、変更したフロントの効果はテキメンであった。リヤのセットも高速セクションの多いこのレイアウトではボチボチ安定している。
リヤの追従性も上げるために、ダンパーオイルを#700から#500に変更した。
コレは良いのではないか?
そんな気持ちで宿に帰ったものである。
そう、この夜までは。
本番1日目。CPから何かがおかしい。
前日から打って変わって高速セクションが減った本番コースであるが、曲がらない。とにかく曲がらない。
小さいコーナーが特に曲がらない。
発狂しそうになりながらも、ペースを落として何とか無事走り切る。
頭の中は????であり、車を確認しても特段異常は見られない。
原因は前回のテストからそのままにしていたD/Rであった。85%では小さなコーナーが曲がらない。とはいえ1周でも19秒台にも入っているので、そんなに悪い状況でもなさそうである。2回目ともなると、まずい結果もプラスに考えられる余裕も出てくるのである。
予選1回目ではD/Rを92%程まで上げたところ、今度は切り始めが異常にシビアになってしまった。
そして立体交差から落ちた拍子にコネクタが外れリタイヤ。どうも今日は流れが悪い。
3ヒート目にサンワの大野さんにアドバイスを請い、ステアリングカーブでの対応をした結果、切り始めのシビアなハンドリングは解消したものの、今度はリヤが落ち着かない感じになってきた。
4ヒート目は1発勝負で、リヤのロール剛性をドカンと上げるためにスプリングをT624用に作った12mmボア向けの7.08ポンドを無理やりブチ込み、スタビ径も1.8mmとした。
ところがこのスタビ径のアップで、保持部の動きが渋くなり、スタビが左右同相でストロークする時までバネとして働き、結果ほぼ動かないサスが出来上がってしまった。高速コーナーでは最高であったが、小さなコーナーでは当然リヤが大暴れするのは道理である。
とはいえ、良い点もあったわけで、そんな結果を持ち帰り明日はこうしてやろうなどと考えながら上田カレーを食するあたりはさすがは2回目の余裕である。
この失敗した結果を踏まえ、出来上がったのが決勝のセットアップであって、スタビは1.8mmから1.4mmに変更、リヤの荷重抜けを極力抑えるためにダンパーオイルは#700番に変更。そして、1番の大博打はバッテリ位置を前端から1番後ろにずらすことであった。
バッテリは元々前後10mmずつずらせるようにしていたが、とうとう「その時」がやってきたのだ。
とにかくリヤの落ち着きを得るため、減速時にリヤタイヤが地面に残り続けるためのあらゆるアイテムをブチ込んだのである。
決勝のポンダーチェックラップでドキドキしながら確認すると、コレだよコレ!という手応えを得た。減速事のリヤの安定性は抜群であるし、高速コーナーの安定性も最高である。
最後にして最高の状態を得てしまったわけだが、得てしてこういう時は好事魔多しなのであって、前のめりになることは現に慎むべきなのである。
1周目の最後の舐めジャンプ着地で他車と絡み、イン側に押し込まれ角材に当たってタイロッドが外れリタイヤであった。
よくよく動画を確認すると、T624では絶対に不可能なコーナリングが出来ていたり、これはこのまま磨いていくだけの価値はありそうだ、という確信をも得ることができるあたりも2回目の余裕といったところであろう。
ちなみに、前日の予備検でリヤの全幅が引っかかり、決勝前夜にヤスリがけを行う余裕もまた2回目のなせる技なのである。



