これは、まだ私がフェラ男と付き合っていた頃の話である。

まだ失望と絶望の域には達していなかったが、幻滅することが多くなってきた初めの方の出来事。

つまり、かなり最初の時期だね。


当時は完全週休5日制ではなく、隔週だった。

まだ付き合い始めの頃で、まだ「フェラ男の家に行く日はストレスでお腹が痛くなる(笑)」ということにはなっていない頃。

学校のある土曜日は、絶対にフェラ男の家に行かなくてはいけない(=性行為デー)という妙な決めごとすらもない時だ。


学校から自転車に乗って、私とフェラ男はフェラ男宅へと向かう。

何度か過去記事で書いているが、フェラ男の自転車に2人乗りである。後輪部分に足を置く部品を取り付けていた。

自転車を使えば、フェラ男宅まで30分ちょっとくらいだったかな…何しろ記憶があいまいだ。別れてからドロドロしてた記憶が濃くてな(笑)。別れてから自転車で二人乗りって状況にはなってなかったからな。




そんなある土曜日のことだった。

いつものように二人乗りをして、フェラ男宅に向かう。

自転車の運転はフェラ男で、私は後輪部分に足をかけて乗っていた。

途中、自転車専用道路のような道を通っていた。周りは緑に囲まれていてな、ほどよい住宅街って感じ。


そして、事件は起こった。

何の前触れもなく、自転車が転倒。

私はそのまま地面に叩きつけられた。


何事か、と思って視線を進行方向に向ければ、道路には縮こまった毛虫が1匹

自転車の位置と毛虫の位置を考えると、自転車がそのまま通過していれば、毛虫はあの世行きだったことが分かるような状況。


「ちょっと…これどういうことなんですか」

と、われに返った私はフェラ男に問う。だって、普通に走っていた自転車が何の前触れもなく転倒するなんて、余程のことである。事情を知るのは当然だろう。


すると、

「このまま走ると毛虫を轢き殺してしまうと思った。それはいけないことだと思って急ハンドルを切った。でも自転車のバランスを崩してしまい、転倒してしまった。転倒する瞬間、お前の頭が落ちる位置を読んでその場所に俺の腕を置いた。お前は俺の読み通り、俺の腕の上に頭が落ちた

だって。


毛虫を轢き殺す~…については、まあいいとしよう。

お前の頭が落ちる位置を読んで~…のくだりだが、どんだけ「俺がお前を守ってやる」思考なんだろう。と幻滅した覚えがある。


そして、フェラ男のもう一言。

「毛虫は、卵から蝶に孵化するまでの期間が長く、蝶になってもそんなに生きられない。それを思うと轢き殺すことなんてできなかった」

と言っていた。


私はあの時、まだいい子ちゃんを演じていたので「そうですか、分かりました」と言ってフェラ男のいい分を理解したふりをしていた。

が、本当は。

「要は、私より毛虫の方が大事ってわけか。馬鹿か」

と思っていた。


無傷だったからいいけどさ、場合によってはケガしてたよな、私。

私<虫

という図式が何だか許せなくてな。

ペットに負けるのも腹立たしいが、虫って…。




とりあえず、かなり昔のことである。