本日49から52までアップします




─あなたサイド─


「何してんの?」


‥‥?!

なんで今‥‥来るの‥‥





来ちゃダメ‥っ





ゆっくりと私の隣まで。



まるで私を守るように

少し前に立った臣。


ジャケットの裾に触れて


後ろに引っ張った。



何だよ



そう言いたげな視線を無視した。




ごめん臣‥



あなたでも


 この男には敵わない。



~~~~~


立ち去ろうとする会長



せいぜい今のうちに楽しめと‥‥



恐ろしい言葉を投げつける。



付き添いの秘書のような女性が

バックを受け取り


変わりに差し出したのは杖。





足を‥‥


怪我してた。




─刺されたんだ。あいつに。─



そう言うと


ニヤリと薄笑いを浮かべる。



あいつとは
あの社長の事。


つまり
私のせいで
怪我をしたと‥‥


そう言う事。




すれ違うその時




臣は視線をはずさなかった。


瞬きする余裕もない



ゾッとするような
視線の交わり。







「‥‥」


「‥‥おい




「‥‥なんだよ」


「お前ひとりで何ができる」

「‥‥」

「俺はこの手ひとつで
あらゆる物を動かしてきた。
人、社会、もちろん億の金もだ。


覚えておけ



邪魔をする奴は



潰す。」





呼吸をするのも忘れそうだった。




彼は関係ない
お願いだから
彼の心に立ち入らないで




恐くて


へたり込みそうな足に


ぎゅっと力を入れる。




ロビーに響く

鉄を打つような
杖の音が消えるまで



私達は



その場に立ち尽くした。


「あれが‥‥



怪物‥‥?」



小さく頷くのが

精一杯だった。


「‥‥はぁ、、


お前あんな奴の下で働いてたのかよ。」

「‥ん‥‥ごめん今は‥‥」



「刺されたって‥‥あの黒い車にあいつも乗って‥」




「ごめん臣‥‥」

「‥‥言いたくない?」

「‥‥」


「‥‥わかった。


後で‥‥聞くから‥‥

いっとくけど、
お前ひとりでどうにかしようとか
考えんなよ。」



そう言って
マネージャーさんに呼ばれた臣は
行ってしまった。


何度も何度も


心配そうに
こちらを振り返りながら。


‥‥



すーーっと息を吸う



息はしてるのに
息苦しくて


うまく呼吸ができない。










こんなに弱い私じゃなかったのに。



どんなに強く生きてきても


大切な物が出来た途端

こんなにも人は弱くなる。




過去は変えられないと
わかっていても



どうしようもなく
後悔する事もある。



あんな男の右腕として
働いてきた事



そして


こんなにも
あなたを想ってしまった事。



‥‥




愛し方がわからなくなるような

生き方を


私が







してきたこと‥‥。






どれだけ後悔しても
仕方ないのはわかってる。

後ろを振り返っても
どうにもならない事だって。







戻って来ない母親に
見切りをつけたあの時と同じように

私の心は
居場所を無くしてしまった。



フラフラ

ユラユラ


ズキズキ




痛む心を

全部彼のせいにした


そしてまた

開きかけたドアに
鍵をかけた