本日34
35
アップします。

大きな荷物と共に
私は会場となるホテルに向かった。


飛行機の中でも


タクシーの中でも



考えるのは


脚光を浴びる登坂さんの姿

楽しみ

それと‥少しの不安。



今は
余計なことは考えないようにしなきゃ‥。





ホテルに着いて
受付を済ませる。




案内された部屋は


‥‥



「‥‥わぁ‥‥‥‥」



まるでお城の中みたいで‥‥


薄く揺れるカーテンとか

そこから見える森とか



冷たいけど良い香りがする風も


部屋のアンティークなランプも


ソファーの小さな刺繍も



全部が全部‥‥


夢みたい‥‥


「‥‥素敵‥‥‥‥」







ピカピカのシーツの上に
スーツケースを投げ出す


明日

あの人が着るスーツ‥‥



パリパリのシャツ‥‥
 

シンプルで嫌味のないアクセサリーに


まっさらな靴下


まだ未発表の新作の靴



品のある時計に

彼の為に作られた香水







どれもこれも‥‥



素敵すぎて‥‥




‥‥


‥‥





気づかずには

いれなかった。















私には‥‥




どれも不釣り合いだって‥。






「もぅ‥‥早く‥‥来てよ‥‥」


こんなに心細さを感じたのは
  
はじめてだったかもしれない。






すっと抜けた力。



ベットに沈んだと思ったら




そのまま


私は眠ってしまってた。



彼が来るまでの数時間‥‥


不思議な夢を見た。







カーテンが揺れて




部屋の花瓶が倒れるの





あなたが部屋をノックして



起きてって言うんだけど


私は起きれなくて



言葉が出ないの。



私を抱きかかえての森に
連れてってくれるんだけど




~・~早く森に帰らないと
あなたを食べてしまう

だから
私を置いて

あなたは早く帰って~・~






何度もそう言おうとするのに
言えなくて



そのまま
私を降ろしたあなたを

目覚めた私が


食べてしまう‥‥。




そんな夢。







そのまま森に放って欲しかった。








夢の中の私は



狼だった。





「‥‥ぃ‥‥おい‥‥起きろって!」





「‥‥っ‥‥!」




「おわっ‥‥つ///」



思わず力いっぱい抱きしめてしまった。


「こらっ‥いきなり甘えてくんなって‥‥///」



「‥‥よかった‥‥」



「なに‥‥そんな寂しかった?」


「夢‥‥すごく恐い夢みた‥‥」



「ん?‥‥どんな?」


「私が‥‥食べちゃうの‥‥登坂さんを‥‥


「‥‥なにそれ‥‥(笑)」


「‥‥‥‥っ」




「いいよ‥‥?」


「‥‥?」



「お前にだったら食べられても‥‥。」



「‥‥‥‥なにいってんの」



ふふって肩を揺らして笑う‥‥



すっと回された腕は
優しくて

背中に触れたそれだけで

不思議な安心感を感じた




「あ‥‥今夜は会食って‥‥」


「聞いた~。アレだろ?
メディアシャットアウトの。」

冷蔵庫を開けてミネラルウォーターの
蓋をあける登坂さん



「7時からだから‥‥遅れないように
お願いしますね。」


「お前は?」


「私は‥‥近くのお店に‥‥」

「は?‥‥ダメ。」


「えっ!」


「じゃあ俺も行かない!

「なんで!」

「行っても行かなくてもいいって
マネージャーに言われたしっ」

「そんな‥」


「明日に備えて今日は
お前といるって決めたし!」

「‥‥」



「だいたい「臣くんが食べたいっ」って
言われてんのにそんな知らねぇ奴と
飯なんか食ってる場合じゃねぇし!」


「‥言ってないし!」


「あー早く夜になれ~」


「‥もぅっ!」


わかってる

私を心配してくれてる事ぐらい。


嬉しいのに
こんな態度しかとれない私の事も


きっと
彼には全部お見通し。