21
22
アップします。




「別に明日じゃなくても‥‥」

「明日がいい」


目を閉じたまま

まるでわがままな子供みたいな言い方(笑)



「‥‥」


「着いたら、起こして?」

「‥‥はーぃ」






私の意見は聞かずに 
何でも勝手に決めて‥‥



でも

全然嫌じゃなくて


心地よさなんか感じちゃってる。




人に恨まれるような


そんなやり方で生きてきた私が



心地よさなんか‥‥

居心地のよさなんか感じちゃいけなかった。




守れる武器も

鋭い牙も


何もかも失った私に


あなたを守る事なんて


出来やしないから。







────



次の日



────



なかなか仕事が終わらなくて


時計を見たらもうとっくに退社時間を過ぎてた



また残業か‥‥


納得いくまでしないと気が済まない性格



─ここで待ってるから─


そう言って
お昼にお店の名刺だけ渡して

登坂さんは
別の仕事に向かった。









別に急がなくてもいい

もしかしたらもう帰ってるかもしれないし


待って‥‥ないかもしれないし‥‥










時計の針が進む音が
こんなに煩わしく感じたのは
久しぶりで


帰ってこない母親を待ってた
あの時を思いだす




‥‥



‥‥



あー‥‥もう!





ダメだ。
全く集中できない。

こんな時はいくら仕事をしたって
時間を費やしたってダメ。


広げた資料も写真も
パソコンも閉じて



気持ちの向かうまま

今、

会いたいあなたの元へ







ドタバタと準備をして

大きな荷物を抱え



会社の廊下を足早に進む




ふと

まだ灯りのついたトレーニングルームから

ちょうどたかのりが出てくるのが見えた。



たかのり「あー‥今帰り?」

「‥‥うん」

たかのり「飯いかない?」



「えっと‥‥ちょっと予定あるの」

たかのり「‥‥臣さん?」


「‥‥ん、」


たかのり「気をつけてね。
臣さん女の人いっぱいいるから‥‥」


らしくない


こんな事

そんな言い方


する人じゃないのに



「‥どうしたの?」


たかのり「‥‥」

「なんか‥あった?」


たかのり「いや‥‥ごめんごめん(笑)
呼び止めて悪かった‥
いってらっしゃい。」


「‥うん。
疲れてるんじゃない?」


たかのり「そーかもね(笑)」






たかのりサイド



あーあ

何言ってんだろ。



あんな事言いたい訳じゃなかったのに


イライラしてた‥

理由はわかってる



突然のイベント出演のキャンセル‥



さっきスタッフが来て突然そう言われた


ひさしぶりの
ダンスイベントだったのに


これだけじゃない

近頃頻繁に出演のキャンセル‥


しつこく聞いたら
スタッフが教えてくれたけど


何かが

得体の知れない何かが

動いてる。




出る杭は
打たれる


ってやつ?

なんにせよ
俺達にとって今は大事な時期


今までだってこんな事
なかった訳じゃない


だけど何か‥‥

引っかかる。



─取引先が次々とうちの会社から
離れてってるみたい─



スタッフの言葉が
離れない



けどま‥‥大丈夫っしょ。。


今までだって
なんとかやって来てるし



俺らが


ちゃんとやることやって
しっかりしてれば

こんな事

何てことない。





この時は
まだ


なにもわかってなかった。


まだまだ

序章に過ぎなかったって事が。