─たかのりサイド─



ある日の撮影


まだ薄暗い早朝から
ロケバスに乗って移動。



バスの車内で

後部座席のお前の隣に座った



10年ぶりの再会から
同じ職場


なのに全然嬉しそうじゃない

なんでだ?

もう少し喜んでくれてもいいのに‥‥。



たかのり『ねーねー、
あいつどうしてんの?ヤス。』

『ヤス?』


たかのり『仲良かったじゃん?』


『あー‥‥知らない。』


たかのり『ゆかちゃんとか美樹とか‥‥連絡とってる?』


『‥‥よく覚えてるね』


たかのり『だっていつも一緒に居たよね?』

『‥‥居たけど』



たかのり『懐かしいな~(笑)
あのさ、バーベキューん時買い出し行って迷子になったじゃん?お前?』


『‥‥ぅん』



たかのり『足血だらけになって帰ってきてさ、テントの中でわんわん泣いてさ~』


『‥‥そうだったっけ』


たかのり『そうだったよ!
お前よくケガしてたよなぁ~。

『‥‥ぅん』


たかのり『あっ!
俺さぁ~久々アレ食べたい!
お前の卵焼き(笑)』

『‥‥卵焼き?』


たかのり『合宿んときモメてたじゃん!
甘い派としょっぱい派(笑)』

『‥‥?』

たかのり『俺はお前の作った卵焼きが好きだったけどな!』

『‥‥』




たかのり『‥‥覚えてない?』


『‥‥たかのり?‥‥


たかのり『ん?』


『なんでそんなに知ってるの?』

たかのり『え?‥‥
だってずっと見てたもん(笑)』


『何を?』


たかのり『え?‥‥俺‥‥
言ったよね?‥‥あん時‥‥』


『‥‥ん?‥‥何?』


たかのり『‥‥いや‥‥何でもない。』


『‥‥そ?変なの‥』


まさかのまさか


たぶんこいつは覚えてない



仲間に頼んで無理矢理作った接点も

やっと自分の思いを伝えたあの夜の事も




ま、だいぶ強引な事をしたのは
確かだけど‥‥

酔ったお前に
酔ったフリして部屋に送らせて



そのまま連れ込んだわけだし‥‥



ていうか‥‥



酔ってて‥
覚えてなかったのか?


最中に言ったと思うんだけど‥‥






っていうか




もう昔の話


まだ
覚えたての口説き文句を
まき散らしてた頃の


過去の話。




10年の月日は

君を変えてしまってて


同じように


俺も

もう変わってしまってて



別に仲良しこよししたい訳じゃないけど




お前のその冷たい態度と
ふと気を許した時の


俺に向けられる笑顔が



ざわざわと



俺の心に
波風をたてるんだ。




そして


それに

気づかないふりしてるのは


俺。


俺自身。




なんていうの?

焼け木杭に火がつくっていうやつ‥‥





なんか

誰にも触れられたくない部分があって


昔の事とは言え


体を重ねたのは事実。



こんな時
女の子って男よりサバサバしてるよね。


何もなかったと言わんばかりの態度



まじで女ってわかんない。