あームカツク



何がよ



似てんだよ‥



んー?なにがー?



お前が



だから誰に?



さっきから話してる
俺の‥好きな女に




ふふっ



あ‥!ちょっとだけだけどな!



別にうれしくなーい



はぁ?





凜のふらつく足元




後ろから

様子を見ながらついていく






突然
凜の足が止まった。







『‥‥?』



いきなり

俺の腕をつかむと



そのまま俺を引っ張るように
歩き出す




『ちょ‥‥おい!なんだよ!』





凜『いいから‥‥ほら!誰かに見られるよ?』



『へ?‥‥って‥‥おい!』




後ろを見ると誰かが来る
こんな所見られたらマズい‥‥


一瞬ひるんだ俺は
凜に引かれるまま
目の前のホテルの入り口に
足を入れてしまった








───────





『マジ‥‥お前ふざけんなよ』


凜『‥‥なにが?』


『‥‥はぁ』

冷蔵庫から
冷たい水のペットボトルを出す凜




クスクス笑いながら




あれ?開かないなぁ‥





なんて言ってる‥‥





『‥‥』







凜『ね‥‥開けて?

‥‥登坂さん。』







『‥‥』




何かがはずれた。






俺を呼ぶその声

見上げる瞳


甘い香りに




どこにもしまえなかった
苛立ちを

吐き出すだけの行為に変えて



俺は

お前によく似た女を


抱いた






─優しくしないでいいから─





ただ‥‥

忘れさせて欲しい‥‥








そう言って

凜は部屋の灯りを全て消した








心のない行為に
何の意味もない事ぐらい
お互いわかってる





『‥‥っ//』



暗闇の中

探りあって服を脱がせる


『ホントに‥‥優しくしねぇかんな‥‥』


『‥‥ぅん‥‥』




俺の首に腕を回す。




凜の冷えきった身体は


すぐに熱を持って



時折漏れる声は

涙混じりの

切ない鳴き声





そして
凜は

俺じゃない男の名前を呼ぶんだ。




何度も何度も



消えそうな声で。









お互い
慰めあうようなこの行為に





何も残らないと言ったこの行為に





意味を持たせようと

ためらいながらも1度だけ重なった唇が




俺の胸をきつく締めつけた。













お互い果ててしまった後


俺はそのまま朝まで眠ってしまった










目覚めた時


隣には誰もいなかった。







テーブルの上のメモ紙に




ありがとう



の文字を残して




凜は居なくなっていた












ホテルを出て

朝の冷え切った空気に
肌が触れる


『‥‥さみぃ‥』





─何も残らない─



そう言っていた
寂しそうな凜の横顔を思い出す






『‥‥何にも残んないとか‥‥
嘘じゃん‥‥』



この後

凜と会う事は

二度と無かった。




タクシーを拾って
家に向かう途中


頭の中をグルグル回るのは




─前に進むしかない─


この言葉で




凛との出会いも
あいつとの出会いも

俺にとっては 


ちゃんと意味があって



あいつと向き合おうって



素直にそう思えた。





凜‥‥

ありがとうな