6
7
8
9
アップします。


━広臣サイド━





正直びっくりした



まさかこんな所で会えるなんて
思ってなかった‥‥





友達にドタキャンくらって
一人で入ったいつものバー




カウンターに座る
小柄な女‥‥



すぐにわかった





どうにかして話をしたかった女だったから。






2年前

声の調子は悪いわ

たまたま集まったパーティー
での写真は売られるわで‥‥




何かとうまくいかなかった。



精神的にも限界が来てたあの時期。



あまりの悔しさと情けなさで
堪えきれず

1度だけ会社の非常階段で泣いてた俺。





うずくまって頭を伏せて。







カンカンカン‥‥






ここを通る人はほとんどいないのに。




うずくまる俺を不審に思ったのか
足が止まる。


なんだよ‥‥
行けよ‥‥




トントンと俺の肩を叩く。




その女は
俺にハンカチを渡してくる。




いらないと断って
立ち上がった。





だけど
こともあろうか

その女は

背伸びをして
俺の頰の涙をハンカチで
拭った。




広臣『なっ‥‥ちょ‥‥』




『大丈夫?』


『っ‥‥‥‥』


すぐに誰かに呼ばれた女は

『‥‥逃げたい時って‥‥あるよね。
だけど頑張ってたらきっと良いことあるよ!


そう言って
声のする方へ走っていった。











その時見たのは

手首の少し上のホクロ


大きな澄んだ瞳


吸い込まれそうな‥‥

そんな瞳だった。







その日から探した。





なかなか見つからなくて

諦めてた。




あの子は誰だったんだろう。



どこかの部署の子でもなさそうだし。

受付にもあんな子は居ない。



いつだったか忘れたけど

がんちゃんとトレーニングルームで
汗を流してたときだった。



がんちゃん『臣さん臣さん‥』


広臣『あ?』


がんちゃん『俺‥‥あの子ぐらいの身長がタイプッス』



なんの話だよ。



そんな事を思いながら


トレーニングルームのあちこちを掃除してる
小さな女を見てた。



あれ?






もしかして‥‥?






見つけた。。






三角巾に
マスク



地味なエプロン姿。



顔はほとんど見えない。


束ねられた髪は
少し茶色がかってるけど

なんの飾り気もない
シンプルすぎる姿。




がんちゃん『掃除のおねーさんって感じっすね。結構可愛いいっぽくない?』



広臣『あー‥‥興味ねぇ。』






その日から他のメンバー達も
掃除のおねーさんを気にしはじめる



直人さんに至っては
掃除のおねーさんは可哀想だと

エプロンさんって
あだなまでつける。





あれマスクと眼鏡とったら
美人なパターンだって!

ちっちゃくて守りたくなる!


磨けば光りそう!






見えないからこそ
想像と妄想がかき立てられるんだろう。




いつの間にか
彼女は
エプロンさんって呼ばれてた。






一切興味ないフリしてたけど

俺は
1度話してみたくて‥‥



偶然どっかで会わないか‥‥


できれば俺が独りの時に。



なんて
ありもしない事を考えてた。





そこありもしない事が

目の前で起きてしまった。