☆3日後 夕方☆




ピンポーーン




ガチャ‥‥




岩田『‥‥はい』


『あの‥‥ありがとうございました。』




鍵を返す


岩田『‥‥うん。』


『いろいろ‥‥お世話になりました。』


お辞儀をする。




岩田『来週‥‥ロスに行く事になったよ。』


『来週‥?』

岩田『俺も‥‥お礼させて?
賞とれたのは君のおかげだと思ってる。

ありがとう。』



『いえ‥‥私もすごく‥‥楽しかったです。』



岩田『‥‥あのさ‥行くとこ‥わかってる?』




『‥‥』


広臣の所には行けない‥‥

近くのビジネスホテルに‥‥



岩田『怒るよ?』

『え‥‥』



岩田『‥‥はい。』



なんだろ‥‥



『‥‥』


岩田『臣さん‥‥待ってるよ。』


『‥‥』


受け取れないわたしの

腕を掴んで握らせたのは


広臣の部屋の鍵



岩田『行くの?行かないの?』



『‥‥でも』



岩田『臣さんとこ行かないでその辺のホテルに泊まるつもりなら無理矢理ロスに連れてくよ?


『えっ?』





岩田『嫌でしょ?ほらっ!行って行って!』



『ちょ‥岩田さん!』




岩田『もう‥‥ダメだよ?』


『‥‥?』


岩田『ここにも
屋上にも
立ち入り禁止だから









『‥‥岩田さん‥‥?ちょっと待って!』




豆腐の原料は?


岩田『‥は?‥大豆‥‥』



やっぱり‥‥!!!


岩田『(笑)もっとまともな質問ないわけ?』


『‥‥全部?‥‥全部聞こえてたんですか?』


岩田『ん‥‥時々だよ。』


『‥‥ちょっとびっくりしすぎて‥‥』




岩田『黙っててごめんね。
準備があるから、もう‥いい?』


『あ‥‥はい。。』

岩田『鍵ね‥‥1回俺が臣さんに返したんだけど。
渡してくれって頼まれたんだよね。』




頑張ってね‥‥


私の頭にポンっと大きな手で触れる




ドアが閉まる

ひょこっと顔を出した岩田さんは


岩田『臣さんにはナイショだよ。』


いつもの可愛い笑顔だった。






いろいろ迷惑かけてごめんね。




ありがとう。




━━━━━━━━━━━━━━━━


ガラガラガラ‥‥


ガラガラガラガラガラガラガラガラガラ‥


 ゴンッ!



ガラガラガラガッ‥‥





タクシーを降りて

広臣のマンションまで来たけど‥‥




インターホンの前でウロウロ‥



他の住人の人が数人来たけど

絶対怪しまれてるんだろうな‥‥



やっぱり‥‥



どこかホテル探そうかな‥‥って




スマホを出した時だった




ガラガラガラガラガ


へっ?!


『あの!それ私のっ!‥‥えっ?!』









広臣『んなうるせぇ荷物‥‥ 
俺以外で誰が欲しがんだよ。』




『‥‥』




広臣『なに‥』


不機嫌そうにロックを解除すると
私の荷物をガラガラと引いていく




広臣『相変わらず‥何入ってんのコレ?』


その後ろを
私はついて行けない



開いたドアの向こうとこっち



広臣『早く来ねぇと‥‥閉まんぞ』




『‥‥いいの?』




広臣『‥‥ん』



エレベーターの前の広臣


大好きな大きな背中に
思いっきり抱きついた



広臣『おわっ‥‥ちょ‥まだ外だっつーの!』


『ありがと‥』


エレベーターが来て中に入る








広臣『‥‥おい‥‥あっついんだけど。』



『うん』



広臣『別に‥‥良いけど‥‥///』





見上げた広臣の
かわいい耳が

初めて赤くなるのを見た。




エレベーターの中

まだ背中に張り付く私




広臣『おい‥‥1回離れろ』


『‥‥やだ』




広臣『キスもできねぇじゃん‥』



『‥‥?!』


腰に回った私の腕を掴むと



広臣がくるっと体を反転した





‥‥‥////





わたしの背の高さまで

頭を下げると

そっと触れるだけの

優しいキス








広臣『おかえり‥‥』


なんて

言いながら
私に背中を向ける。








『ただいま‥‥』






広臣『泣き止めよ。俺が悪い男みてぇじゃん‥‥』


『だって‥‥』

エレベーターを降りて廊下を歩く私達。





ブツブツ言いながらも


わたしの右手は
しっかり広臣が握ってて


それはずっとずっと憧れてた
恋人つなぎで‥‥




嬉しいんだけど



なんか


現実じゃないみたい‥‥




広臣『まだ泣いてんの?』

部屋の中で涙を拭く私


『‥‥もう泣いてない』

広臣『じゃあ‥‥もういい?』

『‥‥?』

広臣『抱きしめたいんだけど』


『えっ///』






誘われるまま

あなたに埋もれる。








あなたに好きと言われる人が
うらやましくて


あなたの好みに少しでもなりたくて



でも




そんな努力は
全部無駄だったんだと思った


私は一生あなたには想われないんだって‥‥


自分に言い聞かせて
ここまできた。



『広臣‥‥‥これ夢じゃないよね?』


広臣『‥‥確かめる?』





どうやって?