臣『あのさ‥‥』


ただひたすらに
 わたしの髪を撫でていた
臣の手




指の間に髪を通しながら



ふっとまた‥‥

耳元で話しかける




『変えた?』

『え?』

臣『シャンプー‥‥』

『‥変えたよ。‥あっちには‥‥なかったから。』

臣『あ‥‥そっか。』

『臣は‥‥変えた?』

臣『‥‥変えてない。』

『‥‥うん。変わらない。』



ソファーで私を抱きしめたまま
なかなか離れようとしない臣‥‥


少し体勢を変えようと動いた



臣『なに?トイレ?』



『‥‥え?違うよ!!』





臣『つーかさ。。風呂‥‥どーする?』




『ん‥‥汗かいたし‥‥シャワー浴びたいんだけど‥。』




痛めた足に目をやる‥‥

臣『よし‥‥洗ってやるよ。』



そう言って立ち上がり
私の頭をくしゃっとひと撫でする。



『えっ?!いいよ‥1日くらい‥』




臣『我慢できんの?風呂だけは絶対入ってたのに?』



そう‥‥ 
よほどの事がない限り
お風呂に入らないと眠れない私‥

覚えてたんだ‥‥

『んー‥‥』



スタスタとバスルームに向かう臣


臣『いいじゃん。甘えとけ。』

ドアから
ひょこっとかわいい顔を覗かせた。






浴槽にお湯を張りながら
聞こえてくるのは

臣の鼻歌‥‥

懐かしくて
目を閉じる。

こんな事‥‥

前にもあったなぁ‥‥。

決まってこの後は

入浴剤なんにする?って聞いてくる。

ピーチ?

ラズベリー?

グレープフルーツ?

ローズ?

ラベンダー?

沢山聞いてくるんだけど

バスルームからは
もう入浴剤のいい香りがしてて‥‥

結局

俺の気分セレクト。

 

少しスパイシーなのが

臣のお気に入りだった。







ガチャガチャ‥‥

『なぁ、お前着替えは?』



『あ‥‥』


全部ホテルだ‥‥


臣『いいよ、コレ着とけ。』

『‥‥うん。』

やば‥‥下着‥‥ないや‥‥。


 

?!

ん?!

コレ着とけ?!

臣の腕に無造作に掛けられた‥‥

『それ‥‥バスローブ?!』



臣『だって‥‥足。』



『‥‥あっ‥そっか。。』


ズボンは着にくいよね‥‥。


臣『俺のだから‥‥ちょっとでかいけど‥。ないよりマシだろ?』



『‥‥うん』



臣『脱衣所に置いとくわ。』


俺の?‥‥

バスローブ‥‥着るんだ‥‥

‥‥//

臣のバスローブ姿を想像しちゃって
一気に上がる体温。

臣『なに?』

はっ!
気づかれた?!

『なんでもない‥‥//』

ブンブンと首を振る

臣『俺のセクシーなバスローブ姿でも
想像した?

扉の前で
悪戯な顔‥‥

クスクスと肩を揺らして
私をからかうその表情‥‥

あーもぅ‥‥

なんだかんだ

いつまでたっても

こんな臣に

私は弱い‥‥。







あれ?

今日は聞かないのかなぁ‥‥

少し寂しいな‥‥



臣『なぁ‥‥

入浴剤なんにする?






『‥‥』


あれ‥‥




臣『ん?今日は何の気分?』




なんでだろ‥‥

私‥‥泣いてる?




『どした?』




振り向けない。。



『‥‥なんでもない‥‥臣に‥任せるよ。』






声だけの返事。



  

何気ない日常だった
この会話。

胸がキューーーっと
締め付けられた。




私‥

本当に‥ここに

帰ってきたんだ‥‥









臣『ふぅ~ん‥‥』



『わっ‥』



急に私にかけられた臣の重み‥‥
  

後ろから抱きしめられてる‥‥




臣『なんでもなくないじゃん‥‥』




『‥っ‥足‥‥痛かっただけだもん。』



臣『うそつけ』 



『嘘じゃないもん。』

  




臣『‥‥』




『‥‥』




私の後ろに居た臣は

ソファーを超えて
目の前に子犬のように座ると

私を見上げてこう言った。




臣『‥‥なんで泣いてんの?』 




『‥‥』




『言え。』



『‥‥足が』


『違う。』


『‥‥』



臣『これ‥‥何の涙だよ‥‥』

えっ‥‥‥‥


『やだ‥‥‥なんで泣いてるのぉ‥‥』

臣が‥‥泣いてる‥‥


臣『俺が聞きてぇ‥』



この涙のわけ‥‥

後から考えても

よくわからなくて‥

だけど



臣『なんだよこれ!』

って

2人とも泣いてるのが

途中でおかしくなって

笑いあって‥‥

‥‥






臣『おかえり‥‥』

 

勝手に出て行って

突然戻って来た

こんな自分勝手な女に‥‥





『っ‥‥ただいま!』



何も変わらない笑顔。




臣『お前‥‥パンダみたいになってるw』




メイクもグチャグチャ‥‥



『‥‥うるさい‥‥。臣が泣かしたんだもん。臣だって鼻赤いし!トナカイみたいになってるし!』




臣『‥‥は?』

サンタにトナカイに‥‥

なんてクリスマスだ。

あ。。

『クリスマスだね‥‥』

臣『だな。』




ピーー

ピーー

ピーー




『ん?!』



臣『あ‥風呂。』





『大丈夫。一人でいけるから。』


片足を曲げてピョンピョン。


あ‥‥

椅子‥‥置いてくれてる。



ガチャ!

へ?

『脱いだ?』

『‥‥っまだ!!!』

危ない危ない‥‥。




臣『椅子座って‥‥風呂浸かったら呼べな?』


『‥‥』



臣『‥‥な?』


『‥‥う‥‥ん//』


臣『入浴剤ミルクにしてっから。』

『?』

『本当は見たかったけど?』




え?!


『‥ちょ‥やっぱり‥い‥』



臣『 うそうそ!‥‥髪‥洗わせて?』




ドアから顔を覗かせたままの臣。




『‥‥わかったから‥‥脱げないから‥‥出て‥‥待ってて。ちゃんと呼ぶから!//』

やっと納得したのか
ドアを閉めてくれた。


視線を下ろすと

クレンジング?‥‥

まとめられた化粧品も。


何もかも用意してくれてる‥‥

本当‥‥意地悪なんだか
優しいんだか‥‥。






ーーーーーーーーー




チャポン‥‥





はぁ‥‥




すごい‥‥
広いお風呂‥‥//


痛めた足は浴槽の縁に上げた。

白いミルク風呂‥‥
甘くて良い香りにホッとする。


『おみーー?』

臣『はーい!』



ガチャ‥‥

臣『大丈夫?』


腕まくりして張り切ってる(笑)


浴槽の椅子に座ると

私に頭だけ出すよう催促する


滑らかなカーブの浴槽は
体に無理なくフィットしてて

美容室のシャンプー台みたい‥‥

臣『‥‥髪‥伸びたね。』

『‥‥うん。』


臣『足痛む?』


『うん、少しだけね‥‥』

話をしながら私の髪を器用に洗う



臣『‥‥流しまーす。』


『‥はーい』


シャワーの音がしたかとおもったら

ガタガタと何かを取りに行く。







臣『ちょ‥‥っと‥‥見えてまーす//』



そう言って私の胸元にタオルを掛けた。




は?


『えっ?!!!!』

バシャバシャ!!

リラックスしすぎて忘れてた-!!

臣『ぶっっ‥‥』

くくくっ‥‥





私の頭にクルクルタオルを巻きつけながら
必死で笑いをこらえる臣。




『‥‥もぅ!!』

恥ずかし過ぎるー!

臣『あんまり足温めんなよー。』


そう言うと

ご機嫌に出て行った。


『わかってるって!』


痛めた足を使わないように
そっと上がると
すぐ手の届く所に用意された

タオル‥‥

バスローブ‥

用意された化粧品達‥。

コンコン‥‥



臣『出た?』

『うん‥』



化粧水をつけながら返事をすると
ドライヤーを片手にやってきた。


臣『なんか‥‥久々だな。』


『‥‥ね。』

やっぱり上手‥‥

優しい手の感触に
つい‥ウトウトしてしまう。。




臣『よっ‥‥と‥‥』


『ん‥‥』

体がふわっと浮いたかと思ったら

『今日は‥‥もう休め。』

耳に甘く響く臣の声‥‥

フワフワのベッドに私を下ろす。

首に掛けていた私の腕‥‥

臣『‥‥こら‥‥。』

離れたくなくて
ほどけない


『‥‥//』

臣『‥//』

『一緒に‥‥寝たい//』

臣『ダメ‥‥』

『‥‥なんで?』

臣『‥‥』

『足なら大丈夫だよ?‥‥臣どこで寝るの?』

臣『いや‥‥足もだけど‥‥お前さ‥‥』


見てみ?

って


私の今の格好を指さす‥‥



ん?

なに??


‥‥
あっ‥‥!!

臣の大きすぎるバスローブ。

私の胸元も足も‥‥
かなり開放的になってる‥‥!

『あっ‥‥//』

首から腕を外すと
慌てて胸元と足を覆う‥‥//


臣『んなエロい格好して‥‥

朝まで我慢できる自信ねぇわw

『‥!!』

臣『シップだけ‥‥貼らせてな。』

病院からもらった痛み止めのシップを
足首に貼る。

『ありがと‥//』


臣『早く治るといいな‥‥』


『‥‥うん。明日は‥一緒に寝ようね?』

臣『‥‥//』

『‥‥?』

臣『お前さ‥なんか‥‥』

『なに?』

臣『大胆になってない?』

『へ?』

臣『いや‥だから‥‥//』

『?』

臣『‥‥わかった。明日な?//』


おやすみ‥

そう言うと


おでこにキスを落とす。

そこじゃないよ

ここだよ?

臣の頬に両手を置いて引き寄せる


『おやすみ‥おみ』

臣『ん‥おやすみ。』


やっぱり私‥
少し大胆になってるのかも‥。


ドキドキする胸に手を当てて
目を閉じる。




臣のシャワーを浴びる音を
聞きながら
安心したのか、


いつの間にか私は眠ってしまっていた。