「その人が扉を開いた瞬間、~温かい夜風が吹き込み、ぐるりと店内を一巡りした。」
乃嶋沙彩は半年間勤めた会社を辞めた後、伯父の忠成さんのダイニングバーを手伝っています。
最近、不思議な雰囲気の美人が店にやってくるようになりました。
彼女の周りにはかすかな羽音が聞こえ、温かくて柔らかい羽毛のような感じがあるのです。
誰でもずっと頼ってきたものを手放すのは怖い。
そんな日のためにおいしい料理やこんなお店があるのだと沙彩は言います。
環境の変化をおそれて一歩踏み出すのをためらってしまう、そんな人たちの背中をそっと押してくれるお話。