臨終後は一気に事務的になった
致し方ない
看護師からの案内で
退院のための葬儀社手配を
病院委託か個人でするか聞かれる
手配予定の互助会の連絡先は
手元にないので
弟の指示で
母と一旦家に帰ることに
※互助会とは
正式名称「冠婚葬祭互助会」
結婚式や葬儀等の費用を積立て準備しておくための制度
エンジェルケアといわれる
退院の身支度待ちと
退室の片付けを弟が勝手出てくれた
何もかもを彼が背負う
非力な姉は申し訳なく思いながらも
彼の覚悟をみた気になり
母に寄り添いながら
とことん裏方に回ることにした
できることをやればいい
そう思いながら外へ出ると
もうすっかり日が昇っていた
幻想的で美しい朝だった
帰り道の景色も
驚くほど優しくみえた
所々で桜の花びらが舞う🌸
こんなにも長い期間咲き続けた桜を
私は知らない
父が起こした奇跡のように思えた✨
結局その後の諸々を
弟が全部綺麗に片付けてくれた🕊️
母と私は
掃除や父のお布団を敷いたり
弔問客へのお迎え準備など
思いつくことをやるだけやって
弟と父の帰りを待った
そのうち
葬儀社の車が何台も付けられ
事前の下見と挨拶に来
対応に追われた
母に言われるまで
父が家に帰れると思っていなかったので
葬儀会場に安置されるのかと思っていた
帰ってきた時にはなんだか嬉しかった
因みに知人の体験によると
東京では火葬待ちで葬儀も3週間後
とても自宅に戻れるなんて選択肢はない
父は
きれいな
きれいな
穏やかな顔をしている
もうすでに仏さまのように
着ているのは
家を出た時の稲葉シャツ
削除されるかも💦
よく似合ってるけどさ
後で着替えられるだろうか
綺麗な花がたくさん飾られ
枕飾りの前に安置された父
今時の掛け布は
印刷技術の賜物か
色合いも素敵で高級そうにみえる
素材はポリっぽくてとっても薄いけど
華やかでいいね
ちょっとマツケンサンバっぽいけど
お父さん似合うね!と話しかける
お揃い柄の座布団も置かれた
順番に線香をあげ終えると
葬儀へのスタートが切られた
まずは
通夜、葬儀の2日間 一般プランと決めると
葬儀日程を仮決めし
火葬場を押さえる(仮予約)
菩提寺有無の確認と
住職への葬儀日程の相談について指南
びっくりするくらい遜った
文言を渡される
あくまでも
ご住職のご都合を重視しています
こちらの日程で火葬場に空きがあるようですが
ご都合はいかがでございますか的な
………
住職の機嫌を伺う落語かと思うほど
それから
オプションの
エンバーミングのススメがあり
納棺師の整えの説明があった
ここでお着替えができる
ここまでの説明を
ベテランの霊柩車運転手がする
細かいプラン決めは主担当がしますと
先に暇した
紹介に預かった主担当は
笑顔が不自然すぎる若手
う〜ん
黒いな黒いよ相当だな
ドデカいウィングとぶっ太いマフラー付きの
真っ黒ヤン車で参上した
バブル期の元旦日の出暴走で
八王子IC付近で検挙された中に見たようなタイプ
前髪をびっちり7:3で塗りつけている
ドレスコードなのか
ディスってないです笑 素直な印象です
そして物腰柔らかな
彼の上役ポジションの太め黒縁メガネの方
昭和の上方芸人さん風
ディスってないですってばさ笑
この方が一番信頼できそうなタイプ
この二者
家族の関係と呼び方のために書かされた書類の
私の住所欄をみて
黒ウイング:
うわ〜!ichicoさん 一緒ですぅ
僕ここの出身なんですよ〜
就職してコチラに配属されたんですよ〜
黒メガネ:
私も20年前〇〇に住んでました
へえ〜
営業トークかも知らないけど
私:
めっちゃ山の手じゃないですか
区内広いですからね
うちなんて名乗っていいのかって所なんで
コレはディスですわ
黒ウイングくんは
中でも相当な高級住宅街育ちだった
この辺から私の警戒スイッチは
🔛からバリアにパワーアップした
そして
話は唐突に飛ぶ
先にススメられた
エンバーミング
別の専用施設に連れていって
1日かけて
生前と変わらぬ姿に整える技術
その金額 15万円也
若くしてのお嬢さんなら
もしくは
事故で辛い見た目になってしまったりしたら
アリかもだけど
80才を超えて生き
触れるだけで痛みを訴えた父に
痛い思いはさせたくない
必要ないと母も強く訴えた
納棺師の整えはプラン内
清拭と化粧などの整えもやってくださる
それで十分じゃないかな
再確認をされた時に
私が断ろうとすると
………かふかふ
なんだろ
急に声が出なくなる
空気の音だけしか出ない
あれれ
首元にレイキを当てる
温かいけど
音だけを奪われたような
何もない感じ
咳払いも音が出ない
黒ウイングくんの嫌な笑い顔は
別次元のモノにみえる
へ?
返事の時だけ声が出ないって
もしや
コレ
知ってる
YouTubeで何度か見た👀
必要な情報を伝えようとすると
邪魔が入るってやつだ
余計な情報ですよ
っていう
神さまストップとは全く逆の
黒い勢力が
聞かせたくないものの邪魔をする
という案件
その返事だけ音にならない
声出ないの変ですねって
すぐ後のは発せられるが
じゃあ改めてNOを伝えようとすると
また出なくなる
おいおい
真っ黒だなあ!!!
って思った
笑顔がクロいから
そうだろうと思ったけど
そんなビックなバック付だとは
操作してやる
って意思が聞こえた気もする
三日月🌙みたいな
デフォルトの漫画みたいなイヤな目が
ミエタ
私もついに白さが際立ったか
なんて
呑気に喜べもしなかったわ
喉元に印を描いたら
ようやく返事ができた
そんな
不思議体験はまだまだ続くのである