金融緩和強化と積極財政を掲げる安倍政権への期待から円売りが続いているが、この日で年内の取引を終える東京市場では、相場急騰に対する警戒感も広がり始めている。
<アベノミクス期待が支配>
新規材料が見当たらないなか、ドル/円は早朝の安値86.08円から一気に86.64円と2010年8月以来の高値を付けた。86.30円、86.50円、86.60円にあったストップロス(損失確定のドル買戻し)を巻き込み上げ足を速めた。円売りの推進役である海外短期筋は「85―86円台ではいったん(ドルを)売って、20銭下がったところで買い戻すなど、小刻みに売買を繰り返している」(外銀)という。
市場は引き続き「アベノミクスに対する期待が支配している」(外為アナリスト)ものの、急ピッチな円安に対する警戒感も広がっている。「投機的に風船が膨らんでいるのでいつはじけてもおかしくない」(同)といった声や、「ファンダメンタルズとは無関係に、年末に一方的に上がった相場の調整は必ず入る」(運用会社)との指摘が出ていた。
<白川日銀総裁が財務省訪問>
麻生太郎副総理兼財務・金融・デフレ脱却円高対策担当相と白川方明日銀総裁は28日午前、財務省内で会談し、今後の連携強化に向けて協議を進めることで一致した。財務相と白川総裁は午前10時ごろから10分程度、大臣室で会談した。
麻生財務相は就任時に安倍晋三首相から「政府・日銀間で、明確な物価上昇目標を含めた連帯強化の仕組み構築に向け、あらゆる取り組みを進めること」との指示があったことに触れ、今後の連携強化を要請。会談終了後、記者会見で「政策調整などいろいろな話を(政府・日銀間で)しないといけない。そういったことを(財務相と日銀総裁の)2人でやっていくことになる」と日銀総裁に伝えたことを明らかにし、「相互で了解した」と話した。
市場では「安倍政権は、本当に実現するのかという政策を次から次に打ち出しているが、それによって景気を押し上げたり、所得を増やしたりする効果は期待できない。ただ金利だけが上がるリスクがある」(運用会社)と、円安進行よりも、将来的な金利上昇を懸念する声も上がっている。
<調整時は85円がリトマス紙>
足元のドル/円に調整リスクがあるとすれば、「財政の崖」交渉の行方と、1月4日発表の12月米雇用統計だ。米雇用統計は前月並みの数字が予想されているが、参加者からは「『財政の崖』交渉の年初へのずれ込みと雇用統計の下振れが同時に起こる場合には、ドル/円が85円割れへ調整をみせるリスクがあり、そこでの下値の堅さ・円安基調の強さが注目されるだろう」(外銀)との声が聞かれた。
これについて、IGマーケッツ証券為替担当アナリスト、石川順一氏は「85円は日本発の円売り材料が今後もマーケットで意識されるかどうか判定するための、いわばリトマス試験紙としての性質を帯び始めている」と指摘。その上で「85円は自民党の石破茂幹事長や日本商工会議所の岡村正会頭が望ましい水準とした下限であり、ここで下げ止まるようなら日本の政局と金融政策をマーケットが今後も強く意識するシグナルとなるだろう」との見方を示した。
<ドル円は7年ぶりの大幅上昇>
2012年のドル/円は1月2日の始値77.05円からきょう午後3時現在の86.47円付近まで約12%上昇した。このままいけば、年間では2005年以来の大幅な上昇となる。
(ロイターニュース 志田義寧)
ドル/円 ユーロ/ドル ユーロ/円
午後3時現在 86.45/47 1.3239/43 114.46/50
正午現在 86.38/40 1.3238/42 114.36/40
午前9時現在 86.49/51 1.3246/50 114.57/61
NY午後5時 86.08/13 1.3234/39 113.95/99
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