アルコール依存症の夫ワサビ(イギリス人)、今も絶賛断酒中。

無事に一年を過ぎ、今は週に1回自助グループAAのホームグループに顔を出し、新型コロナの副産物、オンラインミーティングには出られる時はしょっちゅう参加している。
日中もAAの仲間からのメッセージや電話も多く、
年末にSOSをしてきた知人ともまだ定期的にやりとりをしている。彼は何とかご両親と無事に帰国して、それ以来約5ヶ月お酒を飲んでいないらしい。

断酒を始めた時は、90日間、90回ミーティングに行くようにとアドバイスされて、毎日は行けなくても一日に2、3回出るなどしながらなんとか90回通いきった。毎回顔を出すことで仲間との絆も構築して、以前にはなかった帰属感が生まれていた。海に投げ出されないためには船の一番安全な場所に自分を置く必要なある、良くそう比喩していた。

AAにはずっとそれまでも通ってはいた。
でも、ほとんど気休め程度だったと今は言う。
スポンサーもつけず、仲間とも顔を知っている程度の付き合いに留めていた。自分と同じ時期にAAの門を叩いた仲間や後から来た人々も、5年、10年と、どんどん断酒年数を重ね、それを横目で見ながら自分は同じところをグルグル回っているだけだったと。船には乗らず、船から放たれている救命浮き輪に辛うじて掴まって船に引っ張られていたのだろう。

初めてAAに参加して、そこからすんなり断酒できる人もいれば、一度来たきり全く来なくなる人もいる。そして、ワサビのように付かず離れず通いながらも全然やめられない人もいる。

自分はなぜ、何十年も断酒できている部類に入れないのか、最後は藁にもすがる思いで、やると良いとアドバイスされた事は全て素直に受け入れた。
すぐにスポンサーも見つけ、毎日欠かさずその日有難いと感じた事3つを報告していた。

一年たった今は、AAの12stepsに真剣に取り組んでいる。

お酒を飲まずにいられる生活を手にしても、ワサビはまだまだ前に進もうとしている。

「今は飲酒願望がないとしても、安心して何もしなければ必ずまた飲みたくなる。今はお酒が問題ではなくなっただけで、本来あった生きていく上での生きにくさやストレスがなくなったわけではない。いままでは、そういった問題からは背を向けるためにお酒を飲んでいたわけだけど、これからはその手はもう使えない。だから、僕は成長しなきゃいけないんだ。16歳でお酒を飲み始めてから今まで、僕はしっかり自分の問題と向き合う事をしてこなかった。40後半の中年男でも、問題の処理能力は16歳で止まっている。そこをどうにかしない事にはまた絶対にお酒に手が伸びる。

自分の弱点や今までの過ちと向かい合って、大切な人を傷つけた背景にあった自分の曲がった価値観を変えなければ、遅かれ早かれまたスリップする。AAの12 Steps はそのためのものなんだ。ただお酒を飲まないようにするためだけのものじゃない。お酒を飲まずとも自分の心の平安を見つけるためのプログラムなんだ。」

今のワサビは2年前では考えられないところに行きついている。

ワサビは言葉よりも行動の人だ。
言葉にする時はもう既に半分行動を起こしている。

自分が今まで傷つけてきた人々全てに償う事はできないかもしれない。
でも、その代わりに我々に同じ思いをさせないように、日々努力してくれている。

結果として一番目に見えるのがバナナとの距離感だ。daddy大好きで、すっかりdaddyがいる時はママあっちに行って!と言われるまでになった。
2人が一緒にいると、子供2人がはしゃいでいるかのような笑い声が絶えない。

家にいる時間の心地よさといったらない。


一年後、ワサビはずいぶんまたレベルアップしているのかな。

少しずつでいい。少しでも自分自身を受け入れて、認めてあげられるようになってほしい。
自分を認められるようになる事が、ワサビには一番難しいのかもしれない。

自分を許す事、そこからなんだろう。

自分で思っているほど、お酒飲んでる時だって酷くなかったよ。
今のワサビを私は心の底から尊敬しているよ。

いくら外野がそう言っても本人が自分でそう思えない事にはダメなんだろうけど、でも、いつかきっとね、自分も満更じゃないって思えるようになってほしいな。