【デビト】義眼のメモリア ⅩⅡ | B→Cabinet

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何気なく過ぎる日々から、趣味の話、創作活動について綴っています(´ω`)

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月明かりに照らされた、石畳の道に伸びゆく影。
影は幾つか角を曲がり、ある場所に辿り着いた。
そこは先程、フェリチータと別れた場所。
そこには、長い赤髪を揺らしながら必死に抵抗するフェリチータと、そんな彼女を羽交い締めにしている男の姿が在った。
影の主――デビト――が、叫ぶ。
「バンビーナァッ!!」
「デビトっ・・・」
「もう、来たのかッ!?」
闇の中から現れたデビトに男が、驚きつつ大声を張り上げた。
「動くなッ!」
「チッ」
男がフェリチータを盾に、隠し持っていた銃をデビトへ向ける。
デビトが肩を竦めて、
「なんだァ?そんな、ちゃちなモン向けてどうすンだ、テメェ」
安っぽい挑発。
勿論、男もそれに乗せられる程愚かでは無い。
しかし、男は気付くべきだった。
――銃口を向ける相手を、間違えている事に。
「バンビーナから、その薄汚い手をどけナ、クソ豚ヤロー!!」
デビトは男の手に、照準を合わせ一発撃ち込んだ。
弾は、男の手に収まっていた銃を弾き飛ばす。
「ぎゃあッ」
「こっちに来な、バンビーナ!」
「うん・・・!」
男の拘束が緩んだ隙を突いて、フェリチータは腕を擦り抜け、デビトの許へと駆けた。
デビトが、倒れ込む様にして駆けて来たフェリチータを抱き留める。
そのまま、強く抱きしめた。
「怪我とかはしてねェか、フェリチータ?」
「大丈夫」
けれど、言葉とは裏腹に、フェリチータの小さな肩は微かに震えている。
デビトが苦笑しながら、
「嘘が下手だよなァ、フェルは。・・・もう、離さねェから」
「ほんと?」
「ああ。――イヤ、“離さねェ”じゃ無くて“離せねェ”だナ」
フェリチータの悲鳴が聞こえた瞬間、総てが止まった様に感じた。
大切なものを失うかもしれない恐怖。
もう感じる事は無いと思っていた恐怖を、憶えてしまったのだ。
あんな思いはもう、したく無い。

「くそっこんな筈は・・・」
「オイオイ、どこに行く気だ?」
「!?」
その場から逃げようと、背を見せた男に銃口を向けたまま、デビトが問う。
男はゆっくりと振り返り、デビトを見た。



《続く》