「あぁ、どうしたら良いんでしょうか・・・」
「フッ・・・私は、どちらでも構わないがな」
「貴方という人は・・・」
ここは、ルカの実験室。
普段であれば、ジョーリィを部屋に入れる事などしない。
しかし、それを拒否出来る状態では無かった。
「私には堪えられません!」
そう言って、頭を抱えたのはジョーリィ――の姿をしたルカ――だ。
「ククク・・・選ぶのは、ルカ、お前だ。好きにすると良い」
ルカ――ジョーリィ――が馬鹿にした様子で、笑う。
「選べる訳無いでしょう!?貴方に、お嬢様のお世話が出来るとは、思えませんし・・・。かと言って、私がこの姿でお嬢様のお世話をするのは・・・」
それは、それで嫌だ。
周りの目もあるが、寧ろ、個人的な気持ちの問題だった。
「それなら、本人に決めて貰え。いい加減、入って来たらどうだ?お嬢様」
扉を開けて入って来たのは、フェリチータだ。
「お嬢様っ!?」
「二人の声が聞こえたから・・・もしかして、二人共入れ替わってる?」
フェリチータが怪訝そうな顔で、ジョーリィ――ルカ――を見上げた。
「はい。原因が、解らないのですが――」
「ところで、お嬢様は私とルカ・・・どちらに、傍にいて欲しいかな?」
唐突過ぎるルカ――ジョーリィ――の質問に、一瞬驚いて目を瞠る。
「そ、傍!?」
驚いて、変な声が出てしまった。
いきなり、何を言い出すのか。
ジョーリィ――ルカ――が慌てて、
「ジョーリィ・・・言葉は選んで下さい!お嬢様に、誤解されるじゃないですか!!」
「本当の事だろう。・・・で、お嬢様は?ルカの姿をした私か、それとも、私の姿をしたルカか・・・」
少し間を置いて、可笑しそうに言う。
「どちらに、世話をされるのがお好みかな?」
「え・・・」
フェリチータが、困った様に視線を泳がした。
突然、そんな事を言われても・・・。
居心地が悪くて、その場から逃げたくなった。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
ジョーリィ――ルカ――に顔を近付けられ、サングラスの奥の瞳と視線が合った。
途端に、フェリチータの頬が紅く染まっていく。
「だ、大丈夫だから!元に戻るまで、傍に付かなくて良い!」
そう早口で言うと、フェリチータは勢いよく部屋を飛び出して行った。
「ククク、フラれたな」
「貴方の所為でしょう!大体、私の姿で煙草を吸わないで下さいよ!」
「フッ、くわえているだけだ」
二人の無意味なやり取りは続いた。
《Fin》