「みんな明日健康診断するから、9時に体育館ね。」
ご飯中高橋さんがみんなに話す。
「体育館でやるんですか?」
「時間短縮するために、全学年一気にやるからね。色々覚悟してよ。うちの学校年4回やるから。2回は体型チェックなんだけどね。」
その意味が翌日になりわかった。
先輩たちは下着姿で待っている。
「3期生も下着姿で待っていて」
意味がわからない。健康診断で。
女医の先生と看護師さんが来た。
いきなり下着を脱がされたから、びっくりする同期。
「先に3期生やるから、宮澤さんちょっとフォローしてあげて。動揺して泣いちゃってるから」
「わかりました」
うちの学校の健康診断は裸になり、すべてを見る。
いろんな仕事ができるように、スタイル面、体調管理を維持するためだ。
一人目で号泣し、なかなか検査がうまくいかないため、宮澤さん手本見せてと看護師さんに言われた。
バスト、ウエスト、ヒップサイズ、身長と体重を裸のまま測る。
「宮澤さん、この間よりなんか胸大きくなった?」
「そうですか?」
「次ベッドに四つん這いしてね。」
機械を当てられている。
こんなこと私たちできないよっていうみんな。
「大事な検査だから、乗り越えて。」
「宮澤さん、声結構だすわね。」
看護師さんに言われた。
「たまってたみたいですね」
みんな同期は震えていた。
そのあと、優子さんもやっていて。
結構機械あてられて声を出していた。
そのまま私の番。
宮澤さんがそばにいてくれた。
さすがにベッドに四つん這いは恥ずかしくて。
泣いちゃったら、宮澤さんがギューってして
「恥ずかしいよね。頑張ろうって。」
機械を当てられ、こんな感覚はじめてだったから、泣いちゃって。
「もうちょっとだから頑張ろう」
なだめられる。
「声出しても大丈夫ですよ」
変な感覚になり声が出ちゃう。
我慢して頑張ったら、終わりましたよって声が聞こえた。
「柏木ちゃん、偉かったね」
ギューって宮澤さんは抱きしめてくれた。
同期にとってはじめての経験でびっくりしたけど、みんななんとか健康診断を終えた。
授業が終わる頃、担任の篠田先生から呼ばれた。
「今日、健康診断やって何人もの先輩たちや先生からあなたにお願いしたいって言われたことがあって。」
「なんですか?」
「グラビアやってみない?スタイルいいから、柏木さんいいと思うんだけど。明日、体験でもいいから、2期生の大島さんいるし、どうかしら?」
「私ですか?」
「体験ってことでもいいから、行ってみたら?」
「そこまで言うならわかりました。」
「大島さんと小嶋さんには話しておくから」
部屋に戻り、宮澤さんにグラビアやってみたら?って言われた話をした。
「来てすぐに話かかるなんてすごいことだよ。やってみなよ。」
優子さんにも話がいき、
「私が篠田先生に話しといたんだよ。柏木ちゃん、めっちゃスタイルいいって。それに可愛いし、大丈夫だよ。」
よくわからないけど、とりあえずやってみることに。
スタジオにいき、更衣室に向かう。
「しのぶさん、柏木ちゃん。三期生です。」
「スタイリストのしのぶです。
外仕事をやる子たちの水着や衣装は私が用意してるの。柏木さんの水着はこれね。」
「はい」
そして、着替えてグラビア撮影をする。
「柏木さん、スタイルいいわね」
「言ったでしょ?あの子向いてるって」
優子さんがしのぶさんに話す。
緊張してる私にカメラマンさんも笑顔でいてくれる。
水着を3着着て撮影してみた。
めっちゃ緊張はしたけど、楽しかった。
グラビア担当のマネージャーさんが
「柏木さんどうだった?」と声をかけられた。
「緊張しました。」
「表情もすごくよかったし、ぜひやってほしいって。まあ、あなた次第だけどね。
どうする?」
「少し考えていいですか?」
わかったわ。
撮影を終えて着替える。
「そういえば2人付きあってるんですよね?」
「うん」
「あんまり、そういう雰囲気出ないから。」
「さすがに仕事のときは出せないからね。
それに、同性恋愛をあまり良くないって思う人もいるから」
優子さんは一旦トイレに向かう。
「小嶋さんは、優子さんと付き合うって決めたのはなんでですか?」
「優ちゃんからの猛烈なアプローチと、こんなに好きって言ってくれてるって嬉しいなって思って。優ちゃん、何度も涙こぼしながら告白してくれて嬉しかったんだよね。」
「そうだったんですね。」
「付きあってよかったですか?」
「まあ、付きあってまだ浅いけど嬉しいよ」
優子さんが戻ってきた。
「なんの話?」
「優子さんが大好きって言ってましたよ」
「ただ、付きあったきっかけ話していただけだよ」
ふーん。
着替えて、学校に戻る。
レッスン中だったみんなの元へ。
「柏木ちゃんおかえり」
「ただいま」
休憩時間になり、グラビアの写真を見せた。
「めっちゃ可愛いじゃん。」
はーちゃんが言う。
「宮澤さんに見せたほうがいいよ」
ご飯休憩のときに、宮澤さんに会って写真を見せた。
「えーめっちゃ可愛い。スタイルいいし、ピンクも白も似合うね。」
「佐江、メロメロじゃん」
「違うし。」
逃げた宮澤さん。
「佐江ちゃんね、去年まで前田さんに恋してて、まあ振られたんだけど。
佐江ちゃん、柏木ちゃんに出会ってなんか楽しそうでさ。だから、柏木ちゃんよろしくね」
「はい。」
お風呂も入り、あとは寝るだけ。
「柏木ちゃんが嫌じゃなかったら、グラビアやってみたら?水着可愛かったよ」
「恥ずかしかったんですよね。グラビア。まだ迷ってて。」
「こんなに早くオファーなんて来ないし、色々可能性になるチャンスだよ。
まあまだ悩んでいいと思うからいつでも相談して」
「ありがとうございます。」
寝ようとしたとき、ふと宮澤さんの隣にいたくなった。
「今日一緒に寝ちゃだめですか?」
「ううん、いいよ。」
「どうした?寝れない?」
「夜になると、急にお母さんいない寂しさがきて。」
「柏木ちゃん家、実家鹿児島だもんね。余計にさみしいね。」
「ごめんなさい。邪魔して」
「柏木ちゃんはすごいよ。覚悟を決めてきてるんだから。佐江もママに会いたいって思うし、淋しいなって感じることあるから、いつでも話聞くし言ってよ。」
「ありがとうございます。」
宮澤さんの隣で寝るとゆっくり寝れて幸せなんだ。