まだ正式に由紀ちゃんの担当ではないけど、由紀ちゃんに少しずつ理解してもらえてる気がした。


ただ、一度だけ。

他の小児科でちょっと暴れてる男の子のヘルプを任されて、その間に由紀ちゃんおしっこで呼んだんだけど、すぐにいけなくて。

駆けつけたときには、由紀ちゃん泣いてて。

「ごめん、呼んでたのに遅くなっちゃったね。ごめんね。」


おむつから尿が漏れてしまっていた。

「小嶋さん、すいません。」

パジャマもぬれちゃったし、そのままお風呂へ。


「由紀、ごめんね。すぐいけなくて」

「漏れちゃった」

「私たちが悪い。ごめんね。気持ち悪かったね。」


下だけをシャワーで洗い流して洗う。

「気持ち悪いとこはない?」

「はい。」

新しいおむつとパジャマに変える。

「なるだけ気をつけるから、ほんとにごめんね」

「そんな謝らなくて大丈夫です。宮澤さん、いつも私のために動いてくれてるから感謝です。」


あの子の笑顔にドキってすることが増えた。


ただの清拭の日は、自分で拭ける場所は拭く?って聞くんだけど、

「宮澤さんお願いします」って言われて。


「私がやると嫌じゃない?」

って聞くんだけど、もう毎日されたら慣れたし、宮澤さん気を遣ってくれるから安心してるし」って。


いつも私が痒いから拭いてって言う場所は念入りに拭いてくれて。


タオルを何枚も変えて、お風呂に入れた気分になれるように拭いてくれる。


一通り拭いてくれたあとに「まだ拭き足らないところは?」って。

「もう大丈夫です。」

いつも思う。

中学生にしては、マジでスタイルいいなって。


「宮澤さん?」

「あっ、ごめん。パジャマ着ようね」


「宮澤さん、ありがとうございました。」

「うん。」


消灯までまだ時間があったから、お勉強していた。

帰るタイミングで、宮澤さんが

「早く寝なよ」って声をかけてきて。


翌日、宮澤さんが私の正式な担当になるかの試験をやるから、ごめんね協力してねって。


清拭の仕方、入浴など細かく確認されていた。


1日終わって翌朝、陽菜ちゃんと宮澤さんが来て、

「今日から正式に宮澤さんが由紀の担当になってもらうから、よろしくね」

「由紀ちゃんお願いします。」

「こちらこそ。」 

宮澤さんが忘れ物で一旦抜けたタイミングで、聞いたら、「由紀のことよく見てくれているなって伝わったんだよね。おしっこの取り方もだし、清拭も由紀に多分言われたこと以上のことしてくれてるなってわかったから、任せることにした。


まあ小児科にはいるから、呼びたくなったら呼んで。話は聞くよ」

「うん。ありがとう。」

正式に宮澤さんが担当になったことが決まったから、

「佐江ちゃんって呼んでくれないかな?」

って言われた。


できたら、佐江ちゃんのほうが距離が近くになれるから嬉しいなって。


「佐江ちゃん」

「呼んでくれるの?嬉しい。」

「これからもお願いします。」

「はい。」


朝ごはんを食べ、おしっこを済ませたら

リハビリの時間。

なるだけ早めに疲れないで歩けるようになりたいから練習をする。


「由紀ちゃん休憩しようか?先生が言うけど、早く外出許可もらえるようになりたい。」


「じゃああと少し歩いたら休憩ね。足が悲鳴をあげちゃうよ。」


案の定少ししたら、支える力が弱くなってきて。

「由紀ちゃん今日はここまでかな。

廊下2往復できただけですごいよ。頑張った。」


夏から秋になってきて、やや肌寒くなってきたからトイレも近くなっていた。


「佐江ちゃん」

「今行くね」

状況判断してくれる佐江ちゃんのおかげで、助かっている。


「あの、佐江ちゃん。」

「どうした?」

済ませたあとに話しかけられた。

「えっと」

なんか言いたそうにしている。


もじもじ、、。

「由紀ちゃんどうした?言いたいことあるなら言ってほしいな。」

「あの、なんか最近痒くて。ここが」

手で押さえる。

「ちょっとよく見ていい?」

多分細菌とかの炎症かな。


「由紀ちゃん、婦人科あるからちょっと先生に離すから待っててね。」


状況判断して、先生に話してくれて忙しい中先生は来てくれた。

「ごめんね。ちょっと見させてね。あー、カンジダだね。薬塗れば治るよ。」

「ほんとですか?」

「結構痒かったでしょ?」


先生が薬を持ってきてくれて、塗ってくれた。

「毎日、痒みが酷いときに塗って少し塗れば治るから、かいたりしないでね。」

「ありがとうございます。」


「由紀ちゃん、痒かったなら早く言ってくれて大丈夫だからね。恥ずかしいことじゃないから。」

「はい。」


清拭して、夜ご飯食べたあとに佐江ちゃんが、薬を塗ってくれて。

「これでよし。」


佐江ちゃんはそのまま帰っていった。