柏木ちゃんが佐江にべったりくっついてきて、めっちゃドキドキした。
だって可愛いし、ほっとけないコ。
どかせずに佐江は一時停止かのように動けずにいた。
ベットから降りてきたあっちゃんたちが、
「佐江ちゃん、柏木ちゃんこんなに佐江ちゃんのこと好きでそばにいたいんだから避けないであげて」って言われる。
避けるつもりなんて無いよ。だって、嬉しかったんだもん。
まだ中3の私たち。
べったりくっついていると、ドキドキが止まらなくなるよね。
翌朝、柏木ちゃんに起こされた。
「佐江ちゃん朝だよ」って。
君のせいでドキドキして寝れなかったぞと言いたい。
なるだけいつもどおりに接してるはずなんだけど、柏木ちゃんがそばにいるだけでドキドキがとまらない。
いきなり、柏木ちゃんに手を繋がれたとき、思わず離してしまった。
「あっ、ごめん」
悲しそうな顔をしていた。
「嫌じゃないんだ。びっくりしただけだから」
もう1回柏木ちゃんの手を握ろうとしたけど、柏木ちゃん泣きながら走っていった。
やっちゃった。
避けるとかしたくなかったのに。
自分の気持ちに正直になりたかったのに。
探さなきゃな。
急いで合宿所を探してるけどなかなか見つからない。
救護室、空き部屋も見た。
どこだ?
しばらくして、めっちゃ誰も来ないような階段から泣き声が聞こえて柏木ちゃんだとわかった。
「さっきはごめん。嬉しかったのに、びっくりして手を離しちゃった。避けること絶対したくなかったのに。ごめんね。」
柏木ちゃんを抱きしめる。
「迷惑だよね。佐江ちゃん、男の子っぽい部分もあるけど、やっぱり女のコだし。」
「ううん、すごくドキドキして佐江、夜柏木ちゃんにずっと抱きしめられて寝たからドキドキ止まらなかったんだよ?可愛いし、いい匂いするしさ。どうしようって思って。」
「佐江ちゃん」
「佐江、ほんとに柏木ちゃん嫌いじゃないから、泣かないでほしい。避けてない。びっくりしただけ。ごめんね」
「わかった。探しに来てくれてありがとう」
その場で告白しなかったのは、まだ勇気がなかったから。
合宿最終日の最後の授業を終えて、ご飯を食べたら帰るだけ。
「ねえ、佐江ちゃん?柏木ちゃん気にしてるんだよね?最後だし気持ち伝えたら?告白されたんだし、佐江ちゃんから言えば大丈夫だよ」
「緊張するんだもん」
佐江は、柏木ちゃんのそばに行く。
「ちょっと話があるんだけどいい?」
「うん」
誰もいない部屋を見つけて鍵をかけた。
「柏木ちゃんに告白されてから、自分の気もちをゆっくり考えてたんだけど、今日手を繋がれてめっちゃドキドキして、一緒のベットで寝てめっちゃ抱きしめられて尚更ドキドキが止まらなくて。
佐江、柏木ちゃんのことが好き」
「えっ?」
「嫌いじゃないのに、突き放している自分がいてでも目で追ってる自分がいて。
そばにいてくれるのこんなに嬉しいんだって。
だから、柏木ちゃんのことが好き」
「佐江ちゃん」
「ホントの本当?」
「うん」
「付きあってください」
「はい」
涙をこぼしてキスをした。
「ご飯食べて帰るよ」
「うん」
手をつなぎみんなの元へ。
「あれ?2人?」
「付きあうことになった」
「おめでとう」
陽菜ちゃんと優子ちゃんは先に付き合いはじめて、またカップルができた。
バスの中で寝ていたら、佐江ちゃんが、寝言を言ってるのかそれで目が覚めて。
「柏木ちゃんちょっとー」って言われてびっくりする。
口はあんぐり開いてるしね。
女のコなんだから、口は開けちゃだめだよ。
思わずキスをする。
「えっ?もう着いた?」
って目を覚ましたんだけど、佐江ちゃん口開けすぎって言ったら、あっごめんって。
翌日から、佐江ちゃんは元々人気者でいつもみんな話しかけに言ってて、私はいくら恋人になったと言っても、あんなムードメーカーの佐江ちゃんをおいでってできないから、近くで見守っていた。
でも、仲良しは構わないけど抱きつきにいかれてるのを見るのはちょっと嫌かな。
自分から、佐江ちゃんと付きあってますって迷惑かけることしたくないしね。
「柏木ちゃん、大丈夫?」
「佐江ちゃん、友達多いし人気者だからさ。今までならすごいなって思ってたんだけど、一応付きあったから、やっぱり私で良かったんかな?って。」
急に涙が。
「やっぱり同情だったのかなって思ったり。佐江ちゃん優しくて、ほんとに素敵だから。私みたいな地味に本気で好きにならないよね」
自信をなくして、佐江ちゃんがチヤホヤされてる光景を見たくなくて。保健室に行った。
「あっ、転校してきたコよね?」
野呂先生が話しかけにきた。
「どうした?」
「合宿を通してみんなと仲良くなって、そしたらそれ以上の気もちになって。気持ちが不安定で。ちょっと休んでいいですか?」
「いいわよ。好きに使って。話したかったら呼んでね。担任に連絡しとくから、クラスと名前だけ教えて。」
「3-Aの柏木由紀です。」
「寝てていいわよ。」
佐江ちゃんに優しく抱きしめてもらったときのことを思い出す。
やっぱり好きになっちゃって、だからこそ不安で。
しばらくしたら、「すいません柏木由紀っていますか?」って。
「あら、佐江ちゃんどうした?柏木さん寝てるわよ」
「あっ、ちょっとあって」
「柏木ちゃん」
佐江ちゃんは迎えに来てくれた。
「急にいなくなってたからびっくりしたよ。どうした?具合悪くなった?」
「佐江ちゃんさ、私のことを同情で付きあうって言ってくれたの?」
「えっ?」
「佐江ちゃん、朝からずっとみんなから佐江ちゃんって声をかけられていて、佐江ちゃんがムードメーカーで人気者でみんなから好かれてるのは知ってるし、私みたいな地味なコにも分け隔てなく声をかけてくれる優しい佐江ちゃんだから、好きになった。
でも、こんなにムードメーカーで佐江ちゃん、佐江ちゃん言われたら自信ないというか。
私じゃないほうがいいと思って。」
「そんなことないよ。柏木ちゃんが好きだよ」
「私、佐江ちゃんの恋人になれたのかな?ってあれを見たら考えちゃった。
好きなだけじゃだめなんだって」
「柏木ちゃん」
話を聞いていた野呂先生が入ってきた。
「聞く気はなかったんだけど、佐江ちゃん、柏木さんはさ、佐江ちゃんがみんなからチヤホヤされていて嫉妬したんだよ。それで苦しくなった。佐江ちゃんは当たり前にみんなに優しくて挨拶みたいにしてるけど、柏木ちゃんからしたら、チヤホヤされてるし私なんてって。少し距離を考えないと、付きあうってそういうことかな。」
「嫉妬?」
「恋人ほっといて、抱きつきに言ってたら佐江ちゃんだって嫌でしょ?佐江ちゃんは当たり前の挨拶って多分思ってる。それを柏木ちゃんは嫉妬して、不安になってる。」
「ごめん。でも、たしかに挨拶だったから恋愛感情をみんなに感じたことはなかった。
今日も15分近く由紀をほっといてみんなと話していた。気をつけるから、佐江から離れないでほしい。」
「柏木さんはどう?」
「佐江ちゃんが来てくれたのが1番嬉しかった。さっきからずっと淋しくて。気をつけてくれればもう大丈夫。」
「由紀」
「仲良くしなよ。」
そう言って先生は出ていった。
「佐江ちゃんが由紀って呼んでくれた。」
「佐江の中で大切な人だからね」
ハグをしてから、キスをした。
「授業始まるから教室戻ろうか?」
「うん。」
そのあとも、佐江ちゃんはたしかに周りから人気者で話しかけられていた。
けど、少し経ってから他のクラスのコとかに
「由紀と付きあってるから、程々にしてほしい。」ってみんなに紹介してくれて。
私の気持ちが落ち着いた。
「佐江ちゃんありがとう」
って後で言ったら気をつけるねって。
優しい佐江ちゃん。